実務未経験エンジニア、選考に通過する人と通過しない人の違い
2024年4月18日にスパイスファクトリー株式会社が主催した、未経験エンジニア向けのイベントレポートをお届けします。スパイスファクトリーでエンジニアとして採用業務も兼任しているMORITAさん、人事採用担当のYAMADAさんにエンジニア採用に携わる採用担当者が見ているポイントを解説いただきました。
このイベントレポートで得る情報が読者の皆様の就職活動のヒントになったり、希望の会社に入社するための役立つ情報として持ち帰っていただけると嬉しいです!
【読了目安:この記事は約10分で読めます】
また、こちらのイベントは、エンジニアへのキャリアチェンジを目的として転職・就職活動中、またはこれから活動する方に向けた内容となりますが、全職種の採用に共通する内容も含まれております。
登壇者紹介
ファシリテーターを務めた人事のYAMADAさんと、登壇したエンジニアMORITAさんの紹介です。
お二人ともキャリアチェンジを経験されてスパイスファクトリーに入社されました。
選考に通過しない人の面接パターンを実演
まずは数多くの面接を見てきたお二人から、選考に通過しない人の面接パターンを事例として面接を実演いただきました。
※架空事例(YAMADAさん:面接官 MORITAさん:選考を受ける候補者)
・面接対応のNGポイントは?
上記の面接対応がNGであると人事が判断するポイントは3つあります。
1.質問に対する回答のずれ
2.伝えたいことを簡潔に表現できていない
3.説明から主体性やストーリーが見えない
<1.質問に対する回答のずれ>
始めのYAMADAさんからの質問では「チームで解決した課題」を聞いています。しかし協調性や協働性を知りたい質問に対してMORITAさんは「一個人の成果」について回答しています。これは質問に対して回答がずれており、チームで働く力については触れられていません。質問をよく聞いて、焦らず聞かれたことに対して答えていくことがポイントです。
<2.伝えたいことを簡潔に表現できていない>
伝えたいことを簡潔に表現できてるか、結論が明確かどうかがポイントです。
チームの課題を聞いているYAMADAさんの質問対し、まずは「膨大なデータを手作業で整理していたので業務が煩雑化していたことがチームの課題である」と結論を伝えた後に具体的などんな取り組みをしたのか具体的に話せると回答の流れとして良くなると思います。
<3.説明から主体性やストーリーが見えない>
今回の会話ではどう乗り越えたのかの部分がわかりにくく、何が大変でどう克服したのかについてストーリー性があるとより伝わりやすくなります。周囲に影響されて行ったことではなく、自ら率先して何を考えてどんな行動をするのかが話せるととてもよい印象になると思います。
選考に通過しない人【書類・面接】NGポイントを解説
先ほど紹介した事例以外も含め、採用選考に通過しない人に共通する「書類・面接」のそれぞれのNGポイントについても解説していきます。
・面接でのNG事例
1.エンジニア職への志望動機が抽象的・浅い
2.質問に対する回答のずれ
3.会社の方向性・MVV(Mission・Vision・Value)と合致しない
4.主体性が見られない
ひとつずつ解説していきます。
<1.エンジニア職への志望動機が抽象的・浅い>
未経験からエンジニアになろうとするとき、志望動機は一番聞かれる部分であり、その部分が抽象的だと解像度が上がりません。自分の志向性や、なぜエンジニアである必要性があるのかを具体的に話せることが大切です。
・なぜエンジニアになりたいのか?
・他の職種は選択肢になかったのか、それはなぜなのか?
・エンジニアに向いているかも、とどんなところで思ったのか?
などを整理しておくと回答を深堀されたときに「何となく…」とふわっとした回答になったり、「IT業界は伸びている業界なので」と浅い回答にならずにすむのでオススメです。自分らしい志望動機を探して回答を持っておきましょう。
<2.質問に対する回答のずれ>
2番は先ほど説明した通りなので割愛します。焦らずに何を質問されたのかを考えて回答しましょう!
<3.会社の方向性・MVV(Mission・Vision・Value)と合致しない>
会社の方向性やMVVと合致しないと入社後のミスマッチにもつながり、お互いに不幸になるポイントです。長期的に会社で活躍してくれることはとても重要なポイントなので、選考する上でとても重要なポイントです。
<4.主体性が見られない>
先ほども説明した通りですが、エンジニアは自分で課題発見をして解決をしていかなければならない職種です。言われたことだけ対応するなど主体性が見られない場合、自走力がないのではないかと判断されることになる可能性があります。主体的に取り組む姿勢を過去のエピソードなどで伝えられるようにしましょう。
・書類でのNG事例
5.自己PRのストーリーがない
6.簡潔な表現ではない文章
7.技術的なアウトプットが少ない、継続性が見られない
8.基本的な書類提出のチェック漏れ
<5.自己PRのストーリーがない>
自己PRではまず自分の強み、それを活かしてどんな課題を自らどんな行動をして、どのように解決し、こんな成果を出しましたという、起承転結を抑えて流れがわかる文章になっているだけで非常に伝わりやすくなります。
<6.簡潔な表現ではない文章>
先ほどの面接実演でもお伝えした通り、簡潔に伝えることは文章においても重要になります。また、伝えたいことを絞るということも時として必要です。
<7.技術的なアウトプットが少ない、継続性が見られない>
これは例えばGitHubのコミット履歴やリポジトリが少なかったり、本や動画での勉強の経緯しか見られないような方が該当します。これは企業の選考基準にもよるかもしれませんが、キャリアチェンジでエンジニアになりたいという方には、継続して学習しよう、吸収しようという意欲は大切になります。
未経験からスパイスファクトリーで活躍しているエンジニアも研鑽を積んできたという話も前回のイベントで行いました。こちらのイベントレポートもぜひ参考にしてみてください。
<8.基本的な書類提出のチェック漏れ>
最後に一番基礎的な部分ですが、レイアウト崩れや誤字脱字などがないか、当たり前の事だと思っても意外とケアレスミスが目立つ方が多いので注意してください!未経験エンジニアの採用に限らず、ビジネスパーソンの基礎能力として最低限のチェックができているのか判断されてしまうところなので、確認は念入りに行いましょう。
採用人事が注目する採用選考のポイント
最後に採用人事担当者が「ここは見ている!」重要なポイントについて、YAMADAさんとMORITAさんが解説してくれました。
1. 会社の方向性・MVV(Mission・Vision・Value)との合致
YAMADA:
MVV、または経営理念や企業理念、行動指針などと言われることもありますが、この会社の方向性との合致が何より重要です。何を目指し、どんな存在意義を示している会社なのか。従業員にはどんな行動スタンス・姿勢が求められるのか。それは自分とどんな親和性がありそうなのか、なぜ合っていると思うのか、これを整理することで志望動機の深堀にも活かすことができます。具体的に伝えることで面接担当者からも「うちの会社で活躍してくれそうな方だな」と会社との親和性を感じやすくなります。
前提として採用は双方のマッチングだと私は思っています。実は採用は恋愛にたとえられることが多いのですが、どちらか一方に話を合わせることは長期的に見たときにお互いにとって良くありません。応募前に自分の志向性ややりたいことが合致しそうかを選考や応募時に確認するのがご自身の満足度にもつながると思います。
2. エンジニアとしての行動力を伝えられるか
MORITA:
行動力を伝えるには2つの方法があります。
1つ目は、技術的なアウトプットを継続して行うことです。
技術は日々進化していくため、エンジニアを続けていくには学び続けることが不可欠です。加えて、実際の業務の中で、学んだことのアウトプットが求められるため、ポートフォリオや技術ブログの作成などの技術的なアウトプットを数か月継続できていると良いと思います。
また単に量をこなすだけでなく、質にもこだわることも重要です。例えば、自身で開発したアプリが初見の人から見ても改善すべきポイントがあるのにそのままにしていたり、本質的ではない機能にこだわりすぎていたりすると、そのアプリ開発が単なる転職活動の道具としてのアウトプットに見られてしまいます。自身のプロダクトにこだわれない人は、顧客のプロダクトに本気で取り組むことができるのかという疑惑にもなるので、量だけでなく質も追及することが重要になります。
2つ目は、志望理由や自分の強みなど、面接で必ず聞かれることをを言語化しておくことです。
言語化できるということは物事を論理的に整理し、構造化できると言い換えることができます。加えて言葉にすることで自身がエンジニアとして働くことへの熱意をより適切に採用担当者に伝えることができます。
また、言語化の過程で、改めて志望理由やエンジニアとして楽しく仕事をできそうかということを自己分析して見つめ直していただきたいです。
こちらは選考を通過するだけでなく、エンジニアとして転職した後、エンジニアとして働いていくうえでのエネルギーの源泉にもなります。
エンジニアはトライアンドエラーを繰り返して物を作り上げていく仕事なので「作り上げていくことに対して達成感を得ることができるか」という点については特に大切だと思います。エンジニアとして楽しく仕事ができるのか素直に自分の心と向き合って考えてみていただきたいです。
3. ビジネスパーソンとしての基礎能力
YAMADA:
ビジネスパーソンとして必要な能力はいくつかありますが、ここでは「相手に自分の考えをわかりやすく伝える力」と「ドキュメンテーション力」に触れたいと思います。
「相手に自分の考えをわかりやすく伝える力」
まず、「相手に自分の考えをわかりやすく伝える力」ですが、前提として面接の場では一回の質問で全てを伝えようとする必要はないと私は考えています。まず採用担当者が何を聞いてきているのかを抑え、そこに対する回答・主旨を簡潔に伝える。そこから具体的な内容を話すと自分の伝えたいことが明確に伝わると思っています。面接は双方向性のあるコミュニケーションの場であり、何故そう思ったのか?など面接の会話の中で深堀されていくので一気に答える必要はありません。
また、なぜそれをしたのかという行動の根拠、その時の自分の考えを自信をもって話せることが大切だと思っています。話す前に、自分が伝えたいことを書類に簡潔に起承転結を軸にして記載してみると、伝えたいことが整理しやすくて良いです。面接だけでなく書類についても、伝えたいことをたくさん書くよりも、何を伝えたいのか絞って記載すると相手にとって伝わりやすい書類になります。
スパイスファクトリーではクライアントコミュニケーションを全てのメンバーにしてもらうので、そういった「相手に自分の考えをわかりやすく伝える力」は特に重視しています。これは当社でなかったとしても、どこでも活きるビジネススキルだと思います。
「ドキュメンテーション力」
次に「ドキュメンテーション力」ですが、選考過程だと接点を持つことができるのが書類選考・面接と限られます。その中で、はじめに提出した書類の誤字脱字やレイアウト崩れなど基本的なミスが目立つと、受け取り手側は入社した後の仕事のイメージをしているので、「この方は仕事のスタンスが雑なんだな、任せるのが心配だな」と受け取られてしまう可能性もあります。これは事前に十分防げることです。書類を提出することが目的になっていないか、誤字脱字など企業に提出する前に一度確認してみてください。
未経験エンジニア転職だけでなく、転職活動や仕事において大事にしたいこと
今回のセミナーは「未経験エンジニアの転職活動でどんな人が通過するのか、通過しない人との違い」についてお話ししてきました。
しかし振り返ると未経験エンジニアだけでなく、以下のポイントは転職活動やビジネスパーソンとして活躍する際に当てはまるポイントではないかと思います。
質問されたことに的確に、簡潔にまとめて伝えられること
なぜこの仕事をやりたいのかというストーリーや理由が論理的に言語化されていること
好きなことややりたいことを学び続ける熱意と持続力
ビジネスパーソンとして、書類不備がないことや確認ができる基礎能力
会社の方向性やMVVに自分のやりたい方向性が合致していること
スパイスファクトリーでの採用でもこういった基準は大事にしていますが、これは当社のみならずどこの会社でも採用選考や実業務で見られるポイントです。このセミナーに参加した方、このレポートを読んだ方にとって何か気付きになり、今後の転職活動やその後の業務がより充実したものになることを私たちは願っています。
イベントの中では沢山の質問をいただきました。今後開催されるイベントも合わせて、質疑応答内容をまとめたnote記事の公開も検討中です。ぜひ、お楽しみに。
~スパイスファクトリーでは未経験エンジニアの採用も積極的に行っています!その他の職種も積極採用中です!~
Writer: [Corporate Design Div. PR ] EIKO YAEGASHI