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curry menu archive 24 胡椒戦争カレー

24皿目は胡椒戦争カレーです。

これまで国の名前をテーマに世界一周カレーをやってきましたが、突然戦争が勃発しました。

カンボジアのカンポット・ペッパーが手に入ったので、どうやってカレーに落とし込むか考えているうちに、インド、イギリス、フランス、スペイン、ポルトガル、オランダの参戦する事態へと発展。

胡椒がテーマとなると一国だけでは収まらなかったようで、多国入り乱れての戦争ワンプレートになりました。

まさかの白基調です。

全体的に繋がっているようにも見えるので、戦争というより融和という感じがしますが、中央のプラオ(インド)を胡椒に見立てて、白いコトリヤード(フランス)が海、そこを欧州列強が大航海して胡椒を奪いにくるというコンセプトだそうです。

インスタから引用しておきます。


メニューは、🇮🇳フレッシュペッパーのベジタブルプラオ、カンポットペッパーを楽しんで頂く為に薄味にしてます。

🇬🇧チキンティッカマサラ、スパイスやヨーグルトに漬け込んだ濃厚なチキンカレー。

🇫🇷コトリヤード、サフランを使わずに、バター、生クリームを使った白いブイヤベースにスパイスを使いカレーに仕上げました。

🇪🇸ガスパチョライタ、冷製トマトスープのガスパチョとライタの融合。

🇵🇹パステス・デ・バカリャウ、じゃがいもと干し鱈の煮物、優しい味。

🇳🇱チコリのアチャール、少し苦味のある野菜を甘酢漬けにしました。


インド代表のプラオは、ピラフの先祖のようです。

プラオがインドから中東、トルコ経由でフランスに伝わってピラフになったとのこと。
よく似た名前のパエリアは無関係なのかと調べてみると、こちらは中東からスペインへ、稲作と一緒に伝承されたということで、経路が違うので別の料理としてカウントされていましたが、もしかしたら祖先はプラオかもしれません。
コンセプト的にはカンポット・ペッパーを抱える「的」の役割を果たしつつ、カレーに合うようにプレーンなベジタブルプラオに仕上げました。

イギリスのチキンティッカマサラは中央の茶色のやつですね。

このプレートの中では一番カレーらしい雰囲気が漂います。
本来のチキンティッカマサラはもう少し水分多めでカレーらしくトロッとしていますが、コトリヤードとのバランスを考えて、かなり煮詰めたようです。

全体を白く染めているのが、フランスのコトリヤードです。
フランスの魚介料理といえばブイヤベースが有名ですが、色を意識してブルターニュ地方のコトリヤードを採用。
ブイヤベースはトマトとサフランを使いますので、赤い色になりますが、コトリヤードにはそういった決まりは特になく、日本の潮汁のようなレシピです。
これにバター、生クリーム、スパイスをプラスして白いカレーにアレンジ。
豪華なシーフードカレーになりました。

中央一番上のスペイン代表のガスパチョライタは、スペイン料理のガスパチョとヨーグルトを合わせた副菜です。
トマトとヨーグルトの酸味ときゅうりのシャキシャキ食感が箸休めに、混ぜれば味変という粋な演出でした。

その左側がポルトガル代表のパステス・デ・バカリャウです。
油で揚げてコロッケにするのが現地ではメジャーなようですが、izonではポテトサラダのような煮物に仕上げました。
個性の強いメンバーの中にはこういった素朴な存在が必要です。

上部右側がオランダ代表のチコリのアチャールです。
チコリはオランダ産のものを使ったようです。
苦味と甘味がアクセントの甘酢漬けに仕上げました。

国をテーマに創作するこれまでの世界一周カレーとは違ったアプローチで、カンポット・ペッパーをテーマにストーリーを創作した胡椒戦争カレー。
”国縛り”がないほうが自由度の高いカレーが作れることが発覚し(当たり前だ)、今後の方向性をどうするか考えるきっかけになったようです。

お客さんにもなかなか好評で、連日売り切れになりました。
私も食べました。味はもちろんおいしかったです。
何より、『ストーリーがそのままカレーになっている』ことに驚きました。

胡椒戦争というストーリーを食べている―—うまく言えませんがストーリーは読むものだと脳が決めつけているところに、ストーリーを食べる訳ですから、「混乱しつつうまい」という人生初の体験で、不思議な気持ちになりました。

ヨシフジがインスタに投稿しているハッシュタグの中に#foodart というものがあります。
「食べ物で遊んだらあかん」と教わったような気がしますが、今や食べ物でどんどん遊んでいこう、という時代のようです。
粗末にするのは論外でしょうが、アートの領域で楽しもうということですね。
ダチョウ俱楽部さんのおでん芸に世界が追い付いた感があります。

胡椒戦争カレーはカンポット・ペッパーが手に入ったのをきっかけに特殊なアプローチで作られました。
次回からも少し変わった趣向のカレーが続きますのでお付き合いいただけると幸いです。

胡椒戦争カレーを食べた記憶のある方からのコメント、ご連絡をお待ちしております。
リアルな感想が発掘できれば随時追記予定です。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。
つづく。

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