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3.11 無理やり被災地に連れて行かれた
3.11に被災した身からして、ここ数日の空気感は本当に気が参ってしまうものです。
まず、今回被災された方には心から早く安穏な日々が戻って欲しいと願うばかりです。その一方で被害が比較的軽かった方も、しんどい思いをしてまで情報を入れる必要はないと思います。それでPTSDになる人もいます。私がそのうちの1人です。ここ最近落ち着かず、明日も仕事だと言うのに睡眠薬が効かずに眠れないので吐き出させてください。
私は3.11の被災者です。当時中学生で東北に住んでいましたが、山がちな場所に住んでいたこともあり自身は津波の被害に関しては一切ありませんでした。
ただ、机の下に隠れても机ごと動いてしまうような激しい横揺れと、蛍光灯がガタガタ揺れて落ちる、と思ったら停電して一気に有事であることを理解しました。
被災当日は電気が止まり、ガスがかろうじて使えましたが、断水してしまいました。冬の東北は寒く、昼は湯たんぽをこたつに入れて、夜は蝋燭で過ごしました。
とはいえ、初日はまだ店が空いている時間に帰れたため、地元の商店街で買ったレトロパウチのお粥やカップ麺を食べた記憶があります。
なにか大変なことが起きている。
本能的にそう感じたのは、親がラジオを永遠につけて津波の被害を報告するニュース報道を流し込んできたからです。
怖いから辞めてくれと訴えても、『大事なことだから』『勉強のためだから』と消してもらえることはありませんでした。
そこから1週間して物資が安定すると、今度親は津波被害のありめちゃめちゃになった地域がでかでかと写し出され、ショッキングな見出しと共に一面を飾っている新聞を購入してきました。
岩手や宮城は比較的行きやすく、見知った場所も多かったのですが、跡形もなく全て瓦礫と汚泥に塗れていたことを覚えています。
電気も復旧し、テレビでは永遠に被災地の映像とACのCMが流れる。
直接的に被災したわけではない。食べ物もあって、避難所生活ではない。家が流され街が消え、もっと大変な人がいる。頭ではわかるけれど、耳障りで心がずっとざわざわしていました。
そこから2週間して、突如親に岩手や宮城の被災地に車で連れて行かれることになりました。
別にボランティアなどではないです。ただ単純に、被災した現場を見に行くのだと言われました。拒否する私を引きずるように車に押し込め、早朝の暗い時間に地元を出発しました。
正直、そこで見た風景は思い出せません。頭が思い出すことを拒否しているように、もやがかかっています。
ただなんとなく、どう足掻いても暗さがついて回るような重苦しい空気感と、心がただただ苦しかったことを覚えています。
あれから10年以上経ちました。
そして、1/1にあのような痛ましい事態が起こってしまいました。
別に私が被災したわけではない。
いつも通りの仕事始め、いつも通りの生活。
それなのに不安感が募るのはなぜでしょうか。
これは3.11の時に、無理やり被災地へと連れて行かれた空気感を覚えてるからだと思います。
そして何事にも代えられないものが亡くなり、被災先で心の痛みと闘っている人を知っておきながら、流暢に『これはひどいね』と言っていた両親のグロテスクさ。ただでさえ暗い雰囲気のある狭い世界で、恐怖心を無視されて無理やり被災現場に連れて行かれると言う不謹慎さ。
『もっとひどい人もいる』『経験として連れていく』とまるで被災地をコンテンツのように扱っていた大人の無責任さと自身の苦しさののギャップが、今更になって心に突き刺さります。
勉強として知っておくことは大切かもしれません。守れた命を今後守るために知識をつけておくのは正しいかもしれません。でも、少なくともあのタイミングではなかった。混乱と痛ましい現実を消化しきれないままの、被災していないと言い切るには難しい場所にいる子供にそれを見せる必要があったのか?というのは、未だに疑念が拭えません。
そしていくら被災地から離れているからといって、日本の現実だからといって、自己の心が不安定な時に生々しい映像を知ることは必ずしも被災者のためになりません。
幸いにも現在Twitterでは心を守るように必要以上の情報を入れなくても良いという言論が出回っています。これは昔なかった良い空気感だと思います。
一方でもし、嫌がっている子供を差し置いて『勉強のため』とか言って見せてる大人がもしいたら、今すぐやめるべきだと思います。
3.11から何年も経っているのに、このヒリついた空気感は怖いです。吐き気がします。涙が止まりません。もう大人になったのに未だに消化しきれません。
私が弱いからでしょうか。
こう言う時だから、大人として現実を見るべきでしょうか。
葛藤していますが、結局おどろおどろしい恐怖心を無視することはできませんでした。
まとまりがなくなりましたが、有事だからと言って全てを自粛せず、日常生活を送りたい人はそうするのが1番だと思っています。
私がされたのは圧倒的に不適切な行いでした。心を守るべきです。新たな被災者を産まないためにも。
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