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#映画感想

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鑑賞した映画の講評、感想などを書き連ねています。
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「オレのはなしをきけ」『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

「オレのはなしをきけ」『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
原題 Little Women
監督 グレタ・ガーウィグ

 我々世代は、世界名作劇場で知っている「若草物語」と、その後を描いた作品。(原作では、第四作くらいまであるらしい)
 ドラマティックな仕上がりのなかに、「ジョー」と言う主人公=シアーシャ・ローナン=ルイザ・メイ・オルコット=監督のグレタ・ガーウィグの姿が見える。
 時系列があちこち飛んじ

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90年に一度の奇祭があるんだ。こない?

 雑監督こと、アリアスターがおくるヒーリングシネマ。それが「ミッドサマー」。

 以下、鑑賞した際に書いた覚え書きを元にしております。

 アリアスターは別にホラーを撮っているわけではないと思うし、これは過去の恋人への強烈壮大な意趣返しなんだろうなって思いながら見てたんですが、雑監督の割には、「ホラーにおける被害者の男女逆転」にこだわっている。

 あと、パンフレット、美麗作家ヒグチユウコさんが描

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映画「タレンタイム」講評

映画「タレンタイム」講評

こちらは「元町映画館」映画レビュー入門講座の課題で出したものになります。

「血がみたい」
「タレンタイム」を鑑賞している間、私はずっと韓国映画「アシュラ」が見たかった。屑しかいない映画。墜ちていく汚職刑事ドギョンをチョン・ウソンが熱演している。どいつもこいつも、どこに出しても恥ずかしい倫理観のない奴らだ。利権をめぐって人を殺すなんて、へっちゃら。だからこそ、そこには純粋な悪がある。純化された悪は

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映画感想「くる」

映画感想「くる」

「くる」
2018年
中島哲也監督

 複数の人から「意味が分からん! 見て!」と言われたので、2019年映画初めに選びました。
 原作もななめ読みしたのですが、大きな改変があり、原作ファンは戸惑ったのではないでしょうか。何より「怪奇に関しては、実は人が行っていましたって言うのが、いやなんですよね」って語っていた原作者の意図を歪曲した印象です。原作者は物語の作り手としてうまく嘘をつく、それらしいこ

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JKローリングと湊かなえの「精神的な暴力性」について

 Twitterで「JKローリングは小林靖子説」を提唱したところ、フォロワーさんが「いや、湊かなえです」と突っ込んできた。
 膝を打ち抜く思いだった。

 小林靖子さんはジョジョの奇妙な冒険シリーズ、仮面ライダーシリーズ、進撃の巨人シリーズなどの構成、脚本を担当しており、「死んだほうがましだと登場人物に思わせる」設定を用意する一方、「イケてる男の死に場所」はちゃんと作ってくれます。
 そこがローリ

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映画感想「スリー・ビルボード」

映画感想「スリー・ビルボード」

Three Billboards Outside Ebbing, Missouri 
2017年
監督 マーティン・マクドナー

 アメリカの片田舎、ミズーリのとある街でアンジェラ・ヘイズと言う若い女性がレイプされ、焼き殺された。喪失感にさいなまれる母親のミルドレッドは、犯人が捕まらないことに業を煮やし、三つの立て看板を立てる。
「RAPED WHILE DYING」(娘はレイプされて殺された)

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映画感想「メアリーの総て」

映画感想「メアリーの総て」

Mary Shelley 2017 ハイファ・アル=マンスール監督

 ゴシックホラー「フランケンシュタイン」の作者、メアリー・シェリーがいかにして作品を執筆し、出版するのかどうか……までをメアリーの個人的な観点で描いた物語。
 確実にMetoo運動の影響も感じさせるのですが、「フェミニズム」の論点からは甘いんじゃないか、時系列があちこち飛んでないか……と言う印象です。ただ、200年以上経っている

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