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短気と中二病

劇場版→→→https://www.youtube.com/watch?v=rLTG9s03J00&t=86s


男には生涯でかかる病気が3つある。水疱瘡と、おたふくと、、

           中二病だ。


たいちゃんとバハマが縁側で暇そうに座っている。


バハマ  「暇だなぁ」
たいちゃん「暇だなぁ~」
バハマ  「お前はずっと暇だろ、ニートなんだから」

そう、たいちゃんは仕事を失くし、現状ニートである。
バハマの発言に少々腹が立ったたいちゃん。こういう時はいつだって仕返しを考えるタイプの男だ。

たいちゃん「なぁ」
バハマ  「ん?」
たいちゃん「俺がさ、、」
バハマ  「うん、、、」
たいちゃん「コーヒーって言ったら、ココアって言って」
バハマ  「なんだそれ笑。暇よりきついゲームだな」
たいちゃん「ココアって言ったら、コーヒーって言って」
バハマ  「いいよいいよ」
たいちゃん「ココア」
バハマ  「コーヒー」
たいちゃん「コーヒー」
バハマ  「ココア」
たいちゃん「ココア」
バハマ  「コーヒー」

永遠とココアとコーヒーの攻防が続く。

たいちゃん「、、、」
バハマ  「、、、」
たいちゃん「じゃあピザって10回言って」
バハマ  「さっきのは何だったんだよバカ野郎!」
たいちゃん「いいから!」
バハマ  「わかったわかった。ピザ10回?」
たいちゃん「ピザ10回」

ピザを10回言うバハマ。突然肘を指さし、たいちゃんが声を張り上げた。

たいちゃん「ここは?!」

ずっとその言葉を待っていたかのように、バハマが目を見開き、渾身のドヤ顔を披露した。

バハマ  「ひじぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

肘を指さすたいちゃん。ドヤ顔の止まらないバハマ。睨み合う両者。
流れる沈黙。

たいちゃん「、、、コーヒーでしたぁ!ばぁぁぁぁぁかぁぁ!!!!!!」
バハマ  「てめぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

逃げるたいちゃん。追うバハマ。

ちょっぴり縁側が寂しくなった。


            【~短気と中二病~】


バハマが一人、浮かない表情で縁側に座っている。たいちゃんも縁側へやってくるが、様子がおかしい。

たいちゃん「、、、やりすぎじゃない?」

たいちゃんの全身に数えきれない量の絆創膏が張り付けられていた。
短気なバハマを怒らせた結果だ。

バハマ  「、、、見境がなくなって、、」
たいちゃん「でも爪って、、」
バハマ  「ごめん」
たいちゃん「爪だけって!!」
バハマ  「ごめんって!」
たいちゃん「お前こんなことして許されると思ってんのか?!」
バハマ  「いやぁ、思わないけどさ、、」
たいちゃん「許す!!」
バハマ  「許すんかい!!」

意外な回答に困惑しつつも、バハマは安心した。

たいちゃん「なんかさぁ~、なんかさ。かっこいいじゃん?こういうのっ
      て!わかる?」
バハマ  「は?!」
たいちゃん「なんかさ、そのさ。封印されてる的な?」
バハマ  「なにが?」
たいちゃん「、、、力が、、」
バハマ  「、、、はぁ?!!」
たいちゃん「わかるだろ?な?言いたいことはわかるよ、あれだろ?」
バハマ  「中二病じゃん」
たいちゃん「中二病っていいたいんだろ?そうやって言いたいんだよお前は
      でもわかる?お前だってあったんだよきっと、そういう時期が
      あったよ、な?」
バハマ  「、、、まぁ、あったよ」
たいちゃん「だぁろ~?これ!それみたことかそれ!それそれ!それぇ~」

思った通りだったことに喜ぶたいちゃんだが、バハマは歯がゆさを感じていた。

バハマ  「いっていい?」
たいちゃん「いいよ、今日の俺無敵だから」
バハマ  「絆創膏じゃん!」

沈黙が流れた。

バハマ  「いやいや、包帯とかならわかるけどさぁ」

沈黙が流れた。

バハマ  「でも、今日のお前絆創膏だぜ?そりゃ~ね、眼帯とかね、包帯
      とかなら本当はわかるよ。でも、今のお前」
たいちゃん「うわぁぁぁぁぁぁぁああ!!もういいよ!!!!!
      うるせえな!!!うるせぇなお前!!!!」

歯がゆさが取れたバハマは気持ちよさそうに笑っていた。たいちゃんは自分自身でも何がかっこよかったのか、何がさっきまでの自分を満たしていたのか、何を封印していたのか、よく分からなくなり漠然とした怒りと恥ずかしさに包まれていた。同時にバハマから受けた傷の怒りが沸々と蘇っていた。

たいちゃん「もぉ~うるさい!もぉ~うるさい!」
バハマ  「お前今日無敵っていったじゃん!」
たいちゃん「無敵でしたぁ~!もう雑魚です~!で、器も小さいですぅ!
      だからもうお前のこと、絶対に許さん!!!」
バハマ  「いや!許すって言ったじゃん!男に二言はねぇんだぞ!」
たいちゃん「雑魚には二言があるんだよ!」
バハマ  「じゃあお前男じゃないってことか?」
たいちゃん「男じゃねぇよ?女だよ?
      女ですぅ!はい!ばいばーい!ばいばーい!!」

たいちゃんは自暴自棄になっていた。バハマの頭を何度も叩いた。

バハマ  「てめぇ!!!!」
たいちゃん「お前はなぁこんなことしといて普通許されると思ってんのか?
      おい!!馬鹿かお前はぁぁぁあああ!!!!!!!!

強めに、高圧的に、バハマの頭を叩いた。

バハマ  「お前!!!!!!!クソ!!!」

逃げるたいちゃん、追うバハマ。

また縁側が寂しくなった。


           ~数分後~


縁側でたいちゃんとバハマが座ってタバコを蒸かしている。おかしい。

たいちゃんの顔は包帯で巻かれ、目と口しか露出していなかった。

表情が読み取れないたいちゃん。なんだか申し訳なさそうなバハマ。

バハマ  「、、、それなら、、、かっこいいぞ、、」

ゆっくり時間をかけて首を回し、バハマを睨むたいちゃん。

バハマは何とも言い難い表情をしていた。

流れる沈黙。

バハマ  「ごめん」

そういってたいちゃんの肩に手を置くバハマ。

たいちゃん「ぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁあああ!!!」

      満身創痍のたいちゃんには、かなり痛かったようだ。

END
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