前科もの#05
I留置所は、D留置所と違うところは、床がカーペットではなく、プラスチック製の畳、そしてこちらは座れるトイレではなく和式。
ここはトイレットペーパーが付いているのだけど、古い施設な為、しょっちゅう紙が出てこなくなり、その度に担当さんを呼ばなくてはいけない。
どちらでも同じだけど、トイレにちゃんとしたドアは無く、上半身は丸見え。
そして此処は一切会話禁止。
そして、Dには無かった、居室点検というのが毎朝実施され、その度ごとに外に出て全身チェックされてから戻らないといけない。
そして、自分の番号が6番から22番になった。
此処では同室の人は居なく独り。
初めは気楽で良いかもと思ったが、段々と毎日、あらゆる細々したことで怒られ続け、睡眠もとれて3時間がDの時から続いていて身体もココロも疲弊。
過去の自分の全てが嫌になり、後悔や今後の不安で、人生終わったなと思うと、もっと誰々に会っておけば良かった、言っておけば良かった、あの時こうすれば、子供の頃の記憶、などなど、もうどうにも成らないことで頭が埋め尽くされ1週間ほど嗚咽し続けた。
その後はもう動く気力も無く、毎日横になり目を瞑り続けた。
トイレの窓ガラスに頭を突っ込んで割れば首が割れたガラスで切れ死ねるだろうか、首吊り対策で衣類の紐は全部抜かれているが、Tシャツで首を吊る人もいるらしくどうやるのだろうか考える。
能が疲弊してバグっているため、そのような事を考えるようになる。
叫びたい衝動に駆られる。
しかし、そのような事をすると、しっかり更なる地獄用に懲罰室というのが用意されて居て、何人か叫びながら連れていかれてるのを聞いているので堪える。
新聞は平日は廻ってくるが、もう見たくなく読まなくなる。
もう自分は別世界に居て、いつまで居るか分からないのだから。
起きた瞬間から地獄が始まり、早く夜になってくれと願う。
眠っている3時間だけが救いだ。
やればできる、だの、何とかなる、だの、そんな言葉はここでは通用しない。
動く事は無論、何かを見たり書くことも喋る事も音楽を聞くことも何もできないのだから。
私は呼吸をしているだけで、死んでしまった。
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