目からビーム!124 暗殺犯を「でかした!」といった女
野田元首相による安倍元首相への追悼演説は多くの国民の胸を打った。野田氏にとって安倍氏は政敵であると同時に戦友だったのだなと実感させられた。
しかし、この歴史的な名演説にさえ、ケチをつけたがる元朝日新聞の佐藤某のような下衆も沸いている。思えば、安倍氏の暗殺から国葬、県民葬までの流れの中で、さまざまな人間の姿を見せられた。事件現場に跪いて手を合わせる女子高生、4時間も黙って献花の列に並んでいた家族連れ、はたまた、その横で鳴り物を叩いて国葬反対を叫ぶ一団、犯人を礼賛する書き込みをする者たち。安倍元首相の死は、はならずしも国民大衆の品性を測るリトマス試験紙となった感がある。
国葬儀の前日には、新宿で山上容疑者を主人公にした映画の上映会とトークライブがあった。監督の足立正生は赤軍の残党で元国際指名手配者、現在は生活保護受給者だという。国葬儀を税金の無駄というなら、この男を税金で食わせる方が無駄ではないのかと思うのは僕だけか。映画の方は未見なので論評は避けるが、トークライブの方は動画がアップされているので拝見した。映画の主題が主題だけに、会場には”いかにも“な著名人が観客として訪れていたようだ。「死刑制度には断固反対だが、安倍だけは死刑にすべきだと主張する映画監督」と、MCに紹介されていたのは森達也氏である。同じくマイクを向けられた漫画家の石坂啓氏は「(事件を)知ったときは思わず、でかした!と叫びました」「夫は(容疑者を)山上様と呼んでいます」と唖然となるようなことを嬉々として口にしていた。ちなみに彼女の夫は小学館の編集者だという。
これは安倍氏の生前の話だが、国会で安倍氏に向かって喪服姿で焼香パフォーマンスをしたバカな議員がいる。僕は、演説巧者といわれるこの男の、人心の下世話な部分をくすぐるエロキューションやわざとらしい泣きの演技には正直虫唾が走るだけだし、政治家として人としての評価も軽蔑の二文字しか思いつかないが、たとえ彼が何者かに殺されたとしても、「でかした!」などとは口にしないし、犯人に「様」をつけて呼ぶこともない。それが最低限の人としての道だからだ。約束しよう。嘘だと思うなら、殺して…みるかね?
「でかした」発言(45・00~あたり)
(初出)八重山日報