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目からビーム!172スポーツと肉体~IOCはLGBT五輪を
スポーツとジェンダーの問題が提起された事例は意外に古い。
昭和29年1月、女子ヤリ投げのホープでオリンピック候補ともいわれていた堤妙子が性転換手術によって男となった。“彼女”は尿道下裂症という性器の奇形で、それゆえ取り上げた産婆が「女の子」と見間違えたために以後女性として育てられたが、生物学的にはまったくの男性だったという。本人も女性として生きていくことに違和感を覚えており、自ら医師の診断を仰いだ結果、手術を決めたという。何より日本陸上界からの期待が高まるにつれ、「偽りの賞賛」に耐え切れなくなった、と術後に語っている。“清貴”という男性名を得て退院した妙子だが、同時にこれまでの“女子”としての記録はすべて抹消されている。
堤のように栄誉を捨ててルールに従おうとしたケースはむしろ世界的には珍しい。2019年、中国の陸上大会で400メートル女子リレーの優勝チーム4名のうち2名が骨格、足腰、声からして男性ではないかという疑惑が起こりニュースでも取り上げられたが、あの問題はその後どうなったのだろうか。中国では、国際大会に出場する女子選手に大量のテストステロン(男性ホルモン)を投与し男性化させることはよくあるらしく、二人もそれに該当するかもしれないが、それだったとしても出場資格が問われるケースだろう。
今回のパリ五輪では、女子ボクシングで前代未聞の不祥事が起こった。昨年の世界大会(IBA主催)で、ジェンダー適格性資格検査で不合格となった二人の選手が出場し、共にメダル獲得が確実視されているのだ。IOCはIBAの資格検査の信頼性を疑問視しているとのことだが、素人目には、二人の選手が「男性」にしか見えない。疑念は残る。
LGBTQだの性自認だのという言葉がもてはやされるようになってから、世の中の常識が崩れていった。百歩ゆずって、「肉体の性」の他に「心の性」があるとしよう。しかし、スポーツという肉体が主役のジャンルでは、肉体の性が優先されてしかるべきではないか。特にボクシングのように体重によって細かく階級が分かれる競技ならなおさらだ。
障碍者アスリートのためにパラリンピックがある。「体は健常者だが心は障碍者だ」と主張する者にもパラリンピック出場への門戸を開けなどと言ったら、噴飯ものだろう。
IOCは今後のためにも、パラリンピック同様に、LGBTQの競技者のための国際スポーツ大会を作るべきだ。自認女性も性転換者もそこで鍛えぬいた技を競い合えばいい。
健全な精神は健全な肉体に宿る、のである。
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