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目からビーム!107国連の敗北と「新・きれいな核」論

 ロシア・ウクライナ戦争で、誰の目にも明らかになった事実をひとつ挙げるとすれば、国連という組織が紛争解決のために何の役にも立たない無用の長物であるということだ。
 侵略戦争の当事国であるロシアや人権問題で世界から批難を浴びる中国が、拒否権をもつ常任理事国のポストに居座わっているということ自体が茶番そのものだし、日本、ドイツ、イタリアという、かつての枢軸国、つまりは第二次大戦の敗戦国が未だに敵国条項の縛りを受けていることも解せない話ではないか。
 はたして、中露両国が本当に常任理事国の有資格者であるか、天に問いたい。旧ソ連は、不可侵条約を一方的に破り邦人ジェノサイドの末に火事場泥棒的に「戦勝国」となった国だし、中華人民共和国は中華民国(台湾)を国連から追い出しその座を奪って今日にいたっているに過ぎない。そもそもロシア連邦という国も中華人民共和国という国も、第二次大戦終了時には存在していないのだ。
 1991年のソ連邦の崩壊は、共産主義、社会主義の敗戦であると僕は認識している。このときをもって、国連は敵国条項を書き換え、社会主義国のすべてを敵国に認定すべきだったのだ。社会主義国が殺した人間の数は、枢軸国のそれの比ではなかろう。共産主義、社会主義というものの総括を国際社会が怠った結果が今回の戦争であるともいえるのだ。
 日本には合法政党としての共産党が存在する。実はこれは先進国では異例中の異例であり、アメリカ、スペインをはじめ40ヵ国が共産党を非合法としているのである。
 その日本共産党の志位委員長だが、安倍元首相の提言する核共有を、議論すら許されるべきものではないという立場を明らかにしている。日本以外の旧枢軸国、ドイツ、イタリアは核共有を果たしているというのに。
 冷戦時代、日本共産党は「社会主義国の核は自衛のためのきれいな核」という苦し紛れの論理を持ち出してまで、中ソの核保有を擁護した。今、日本に向けて核ミサイルの照準を合わせているのは、この二国と北朝鮮、つまり社会主義国と旧社会主義国という現実をどう見る。
「自衛のためのきれいな核」をもっとも必要としているのは日本ではないか。

初出・八重山日報

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