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目からビーム!60 永田町と芸能人水泳大会~
芸能人が政治的発言しても、それ自体にむろん問題があろうはずがない。ただし、薄っぺらな発言だとバカにされるだけだし、タレントに色がつくことを嫌うスポンサーやプロデューサーもいるということぐらいは念頭に入れておいたほうがいいだろう。
リチャード・ギアは、チャイナマネーに汚染されたハリウッドから事実上追放の憂き目にあいながらも、中国のチベット弾圧について抗議の声を上げ続けているし、黒人ミュージシャンのカニエ・ウエストは、トランプが「人種差別者」のレッテルを貼られ叩かれているときから支持者であることを高々と宣言していた。ここまでの覚悟と信念をもつ日本の芸能人がはたして何人いるだろうか。もうしわけないが、僕には国会前でデモるタレントたちの言葉が、政治的意見というよりも、時流に乗った安易な政権ディスカウントにしか聞こえないのだ。
第二次安倍政権以後、反原発、反安保法制、反改憲などのプラカードが国会や官邸前を取り囲む光景をよく見るが、その中には芸能人の顔も目立つ。はっきりいえば、「なつかしい」顔ばかりで、ああ、これは平成・令和の『芸能人水泳大会』なのだなと思ったものだ。キャリアの終わった芸能人が、存在を再アピールする場として国会前のデモが機能しているのだと合点したのである。
電気楽器の演奏グループで一世を風靡したある音楽家は、反原発デモで「たかが電気」と発言し、僕を仰天させた。まあ、アンタは足踏みオルガンでも弾いてればいいだろうが、電気がなくなって困るのは演奏家だけではない。劇場やライブハウスは機能しなくなるし、ライブを見に来る客の足も奪われるのだ。いや、都市生活そのものがマヒしてしまう。少なくとも彼は、どこぞの劇作家のように政府の自粛要請に文句をいうべきではない。
この音楽家は、安保法制反対デモでは、「まるでフランス革命だ」とはしゃいで見せた。あの革命でどれだけの無辜の首が飛んだのか想像もしたことがないのだろう。戦争の人殺しは悪だが、革命の人殺しは善だとでも言いたいのだろうか。むしろ国会や官邸を襲うのだから二二六事件がふさわしかろう。
反戦平和を訴える日本の芸能人の知性のほどを思い知った次第だ。
初出・八重山日報
(追記)
坂本龍一さん(71) 「なぜこの国を運営する人たちはこれほどまでに原発に固執するのだろう」テロやミサイル攻撃の標的になりかねないと「むしろ時間が経たてば経つほど危険性は増す」
ん? 9条があれば、ミサイルは飛んでこないんじゃなかったっけ?
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そもそも、フランス革命で、フランスはオーストリアに宣戦布告したんだよな。
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