小津映画と女優の足裏の美
正月は、YouTubeで小津映画三昧を決め込んでいます。観るごとに新たに発見があるのが、黒澤と小津。
いつも観て思うのは、女性の後ろ姿の美しさというか、品という意味のエロティシズム。僕は付き合う女性にみんな、小津映画を観てよ、と言っているが、わかってくれていたかどうか。『秋刀魚の味』の冒頭に出てきた”田口くん”というOLの履いていた白いハイヒール、あれは恋人にぜひ履いてもらいたいなあ。なかなか見つからないんだよな、あのスタイルのヒール。
フェティシズムの視点から見ると、小津アングルといわれる独特のローアングルと畳の間、女優さんの足の裏がこれほど見れるのは小津映画ぐらいでしょう。たとえば、職業婦人役の原節子のナイロンストッキングの足の裏、おなじく娘役、原節子の素足の裏、あるいは岡田茉莉子の若妻の白ソックスの足裏の薄っすらした汚れとか、演技・演出を超えた”何か”が映っているんですよね。やはり、原さんの足の裏は美しいわ。
歩き方の美しい女性、足裏に品が見える女性、それだけど、僕、惚れちゃうかもしれないな、と思いました。
何十年ぶりかに『東京物語』を観直しました。今回気がついたのは、団扇(うちわ)。ほぼ、全シーンに、団扇と香取線香が出てきます。初夏から秋口までの物語設定といえば、それまでだけど、これが非情に印象的なのね。
感情的なものを極力抑制するのが、小津演出の特徴のひとつですが、団扇のあおぎ方が感情表現になっているのね。優しさとか、慈しみとか、いらだちとか、不協和音とか。やっぱ、すごいな、小津演出。また、新たな発見があるかもしれません。そのつど、ここで発信させていただきます。
2004年が、みなさまにとって躍進の年でありますように。
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