目からビーム!2 「尖閣あげます」に優しい「沖縄を愛してる」人たち
既にさんざ叩かれているので、僕ごときの出る幕もないと思っていたが、やはり一言二言、言いわざるをえない。ウーマンラッシュアワー村本大輔氏のことだ。
「(中国が攻めてきたら)尖閣を差し出します」「(沖縄は)もともと中国から取ったんでしょ?」
大晦日の『朝まで生テレビ』での彼のこの発言は、単なる無知や不勉強ではすまされるものではない、明らかな利敵行為である。案の定、中国共産党の機関紙・人民日報系の環球時報がこの発言を取り上げ、「沖縄=中国の一部」のプロパガンダに利用していた。これに合わせたわけではないだろうが1月11日には中国軍艦が尖閣の接続水域に侵入している。
当の村本は新年そうそうバッシングの声を逃れるかのように沖縄入りしたようだ。不勉強の汚名を返上するために、その目で、足で、沖縄に触れようとしたといえば聞こえがいいが、要は沖縄には彼の傷を慰撫してくれる左翼活動家のおじさんおばさんがいっぱいいるというだけのこと。親に叱られた子供がおばあちゃんの部屋に逃げこむのと変わりない。
彼曰く、辺野古の基地反対派に「プロ市民なんて一人もいなくて、 辺野古高江をただ愛してる優しい人たちだった」。正月とは別の意味でおめでたい発言だ。村本がツーショット写真を上げた大袈裟太郎は、誰もが知るプロ活動家ではないか。「尖閣を差し出す」という仰天発言した男を、何ら問い詰めるわけでなく笑顔で迎え入れる者たちが「沖縄をただ愛している優しい人たち」であるわけがない。すべての活動家とはいわぬが、彼らにとってまずはイデオロギーありきで、沖縄のことなど実はどうでもいいのである。
僕の知り合いにも「沖縄は差別されている」と言ってはばからぬ、お花畑平和主義者のおばさんがいる。ある日、彼女とこんなやりとりをしたのを覚えている。
「薩摩藩は禁武政策で琉球から抵抗のための武力を奪いましたが、どう思います?」
「琉球から独立自尊と自決の精神を奪い隷属を強いる許しがたい政策です」
「憲法9条てまさにそれですよね」
おばさんの絶句と目玉を丸くした表情が忘れられない。
(初出)八重山日報