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あなたは砂漠をつくる?それとも多様性をつくる?
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<あなたは砂漠をつくる?それとも多様性をつくる?>
耕作放棄地をまた田畑に戻そうとするとき、それはとても労力がいる。人力ならなおさらである。耕作放棄地の弱点はその土の硬さ。特に過去に何度も重機が入っていたり、農薬や肥料が使われていると土中生物が全然いないため、土はどんどん硬くなってしまい。
ぱっと見、草が生い茂っているので良さそうだが、土を掘ってみると硬くしまっているせいで雑草すら根を深く伸ばせていない。これでは野菜を植えても育たない。根が深く張れてこそ、自然農は可能だ。そのため思い切って耕す。農業数千年の歴史で耕し続けてきたにも理由がある。
それでも耕作放棄地に生える雑草たちはそこを選んで生きている。彼らはそんな土地に好き好んで生えてきて、土を浄化し、森林になろうとする。それが自然遷移と呼ばれる陸上生物の協働作業だ。あらゆる植物が育つ団粒構造の土を作るのが雑草だ。つまり雑草無くして森林なし。
私たち人間というのは残念なことにその自然界の摂理に気がつかないために、彼らの仕事を邪魔したり、何かで塞いでしまったり、最悪、アスファルトやメガソーラーなどで砂漠を作っていく。
農業は環境破壊だと言う方もいる。それは確かに耕したり草を刈ったりする行為は破壊かもしれないし、砂漠を作っているとも言えるだろう。しかし、そこにタネをまき、野菜を植え、ハーブを植え、草を敷いていくことで
微生物が増え、虫が集まり、植物が伸び、動物が喜ぶ。こうして確実に生物多様性の里山を築いていける。それもまた農業の姿。自然農の姿だ。
私たちが雑草の働きを理解し、その役目を終わらせ、代わりに野菜やハーブたちで再現するとき、彼ら雑草は静かにその場を譲ってくれる。だからこそ私の講座では雑草を理解するところから始まる。自然遷移の物語を読み解く。
1960年代までの日本の農家はひとりで300種類ほどの農産物を作っていると言われていた。世界一器用で賢いとまで賞賛されていた。
ヒトがイキイキと生きられるエリア(人間圏)は極相林と荒地や砂漠の間、つまりエッジであることから、人間圏の開発と創出には限界がある。世界中の残された極相林は現在世界遺産や国立公園、自然保護区として保全されていることから開発は不可能だ。もし開発できるとしたら砂漠だが、砂漠は雨が降らない地域のため実現可能性は低い。
半砂漠地帯なら緑地化は可能だし、現在中国やインドなどで積極的に行われているが、この地帯はもともと灌木地帯だったところを開発によって半砂漠化したにすぎない。次に開発できるところは、人間が積極的に砂漠化してきた都市部だろう。アスファルト砂漠を森林もしくは田畑に切り替えることができれば、まだ人類は生き残ることが可能だ。
しかし、結局のところ人間圏の拡大にはやはり限界があり、そのとき養える人口がはっきりと分かるだろう。そのとき、人類は海に戻ろうとするのだろうか、それとも宇宙へ行こうとするのだろうか。それはまだまだ先のことだ。それよりもまずは絶滅しないために、食糧戦争をしないために手元から多様性を作り出さねばならない。砂漠を作っている場合ではないのだ。
あなたは日々の暮らしのなかで砂漠をつくりますか?それとも生物多様性をつくりますか?「消費から循環へ」は言い換えると「砂漠づくりから生物多様性づくりへ」。あなたの手が作っているのはどちらですか?
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