カレーライスと、走馬灯
今日は久しぶりにカレーライスを作った。
野菜とお肉を煮込むだけの簡単ジャワカレー。
お腹が空いていたから、勢いよくカレーを口に運んだその瞬間、
ふとその味から色々な過去が蘇ってきた。
味覚は、びっくりするほど、無意識に過去の記憶を引き戻してくる。
一人で暮らしていた日々。
1Kの小さなキッチンでカレーを作って食べていた。
市販のルーから作るカレーは簡単で美味しくて
リーズナブルだけれどわたしの心を満たしてくれた。
思えば、一人暮らしをしていた頃は、
生きることで毎日必死だった。
会社勤めの日々は、ストレスが多く、合わない環境だったこともあったし、
いつも体調が悪かった。
ちょうど心理セラピーも集中的に受けていた時期なので、
過去を棚卸ししている中で、色々なトラウマが吹き出してきて、生活にも支障がでるほどだった。
だから、職場でも途中休憩させて貰ったり、早退したり・・・
かなり周りの方には迷惑をかけてしまっていたなと思う。
(でも、周りの方はみんな本当に親切にしてくださり、ずっとその感謝の気持ちを忘れないようにしたい。)
投薬治療や心理セラピーを受けることと並行して、働く日々。
収入が不安定だったので、毎月家計簿をつけて節約生活をしていた。
そして、凍てつくような孤独を知ったのもこの時だったかもしれない。
毎日朝に起き、お弁当を作り、仕事へ行き、洗濯をして、掃除をして、
買い物をして・・・・ただただその繰り返し。
正直、心の支えは何もなかった。
自分を頼りにしたかったけれど、そこまで心を強くできなかったし
余裕もなかったんだ。
でも、生活って止まらない。
自分が動いていかないとどんどん滞ってゆく。
自分が動くしかないんだ。
身体が動かない、起き上がりたくない、歩きたくない。
だけれどそれでも今日が来るから、立ち上がらざるを得なかった。
人をうまく頼れなくて、一人ぼっちだった。
というか、この自分の心の内を話せる人がほとんどいなかったなあと思う。
孤独、圧倒的な孤独。
言葉で表すことができないほどの。
刺さるような寂しさを知った。
でも、言い換えれば、
この四年間は、とことん自分と向き合わざるを得ない状況だったとも言える。
自分の気持ちを知ることができるのも自分だけで、
自分を救ってくれるのは、自分だけだった。
ずっとノートに自分の気持ちを書き綴っていた。
誰にも明かさない自分だけの秘密を。
一人暮らしの4年間で、B5ノート20冊分くらいの独り言を残した。
自分について、人生について、わたしはどうして生きたいか、
どうなりたいのか、どこに行きたいのか・・・・
誰にも話せない分、自分一人で何もかも解決して生きていこうとした。
でも本当は、それを自分の内側に溜め込むんじゃなくて、
誰かに話して聞いて欲しかったんだと思う。きっとそう。
ああ、ただカレーを食べただけなのに、
こんな風に走馬灯が蘇るなんて。
ちょっと笑っちゃうよ。
でも、改めて本当によく生きてきたなあと思う。
精一杯生きていたなあ、って。
毎日「これじゃダメだ、もっと頑張らないと」と自分を責め続けていた自分自身を俯瞰することができる今。
当時、自分を褒めてあげることができなかったのだけれど、
今からでもきっと遅くないよね。
過去の自分をぎゅっと抱きしめて、愛してあげたい。
生きててくれてありがとう、って言いたい。
凍てつくような孤独。
あの頃に戻りたいかと言われたら、絶対に戻りたくない。
でも、あの経験があったからこそ、
今日のわたしがいるのも事実だろう。
あの日々をすごしたからこそ、今の自分がいて、今の穏やかで平穏な毎日があるのだし、素敵なパートナーにも巡り合うことができた。
あの時の毎日の積み重ねが、今と地続きとなり、
今日のわたしを救っている。
あそこまで自分と向き合うことってなかなかない。
苦しかったけれど、よく生きた過去。
一人で、よく生きた過去。
わたしには大切な大切な思い出だ。
不完全でも、もがいていたんだな。
そして、お疲れ様、自分。
もう少し休んでてね。
ふと今日は、こんなことを感じていた。