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♧8 流れ、スピードに乗る

ゆーらゆーら。川の流れに体をまかせる某ラッコのように揺蕩うの好きです。
能動より受動的に生きていたい。好きな本を読んで、たまに文を書いて音楽聴いて過ごせてれば良し。をモットーにぬくぬく生きてたらいつの間にか私の一部として人生の半分くらい一緒にいてくれたものがありました。
たとえどんな道を歩んでも出逢うことは必然だろうなと思わせる不思議な存在について語ります。

【ジブリ】

親から初めて与えられた創作物がジブリ作品。なんの映画だったかは忘れたけど、ジブリを起源に私の読書、音楽好きが広がった。風の谷のナウシカ、となりのトトロ、千と千尋の神隠し……と有名タイトルが連なる中「特に好きなのは?」と聞かれたらOn Your Markと紅の豚の2作を挙げる。

On Your Mark 
耳をすませばと同時上映された短編アニメーション。CHAGE and ASKAとのタイアップ企画で作られた「知る人ぞ知る」幻の作品である。
最初のOn Your Markは音と映像どちらが先か覚えてない。どちらが先であれ「とんでもないものをみた!!!」と衝撃を受けたのは、はっきりと覚えている。
謎の細菌に腐敗した近未来の世界。防護服を纏う人々とは対象的に呑気に居酒屋で駄弁る2人の青年。秘密結社へ囚われる羽の生えた少女。少女を救うべく青年たちは躍起になり駆ける。ドローンのような機械に闇に浮かぶ悪夢のようなネオン…たった6分の映像なのに5時間くらいの大作を見た気分になり呆然としていた。この作品に出会わなかったら私の世界は狭いままだった。

P.S. 2年前に突如発表されたジブリ公式による「画像配布します」の一覧にしれっといて驚き、勢いで放った呟きがほわっとおバズりしました。

On Your Markガチ勢が沢山いて嬉しかった。

紅の豚
ちゃんとしてない、バカバカしいのにカッコいい豚と大人が出てくる。唯一の常識人は誰もが息を呑む美しさを武器に凛と佇むはホテル・アドリアーノを経営する未亡人、マダム・ジーナである。彼女を目の前にすればちゃらんぽらんに喚いていた空賊も姿勢を正し店に飾ってある薔薇を差し出す。
しかしそんな彼女に対しても一切態度を変えない男…いや、豚こそ主人公のポルコ・ロッソだ。その動作は彼の不器用さからか、ジーナを意識しないようにあえてそのように振る舞うのか真相は黒眼鏡の奥にある。

ジブリ全体を見ても紅の豚は大人向けなため、積極的にテレビ放映されない。幼い頃はレア枠な作品としていつ放送日を待ち侘びていた。視聴回数と人生が重なるごとに「ちゃんとした大人よりダサいことで笑える大人になりたい」と望むようになった。だから今でも変なことで格好つけているんです。大人ってそんなもんだから。

【音楽】

Scarborough Fair/Simon & Garfunkel

あれ、この曲知ってる。変に凝った構造の音楽室で流れた哀しげなイントロに私の何かが反応して睡魔が消えた。どちらかといえば睡魔を誘発する曲なのに、消してしまった。そして懐かしさを感じた。教科書で曲名を確認する。「スカボロフェア」なんで初見でスカボロって読めたの?英語は得意だけど、長文問題や英検の例題には出てこない。だけど意味を考える前に自然とその単語が浮かんだ。メロディに歌詞が追いついた

Are you going to Scarborough Fair?

Parsley, sage, rosemary and thyme

Remember me to one who lives there

For once she was a true love of mine.

Scarborough Fair/Simon & Garfunkel


聴いた事がある。1度でなく何回も。ある時はYAMAHAの巨大なスピーカーから、またある時はyoutubeから、マニアックな曲を気まぐれに流すのは父しかいない。

くるみ割り人形より 金平糖の踊り/チャイコフスキー
可愛くてちょっと不気味で、踊りたくなるそんな魅惑的な曲ですよね。芸術系の番組やゲームのBGMに使われたり…街で流れてると「おっ?」って足を止めて最後まで聴き入ってしまう曲です。普段クラシックは聴かないのにこの曲は構えないでスッと聴ける。
先日観たバレエの舞台の演目の一つが金平糖の踊りでして、子供のように胸をドキドキさせながら少女が出てくるのを待っていたら隣に座っていた父がポツリと「俳里に初めて買って聴かせたCDがこれなんだよ」

またですか。まるで並んで海を漂うぼのぼの親子みたいじゃない。父親には敵わない。
あ、ぼのぼのは母親から教えてもらった物の中で唯一受け入れられたものだ。

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