PENTACLES VIⅠⅠ (ペンタクルの8)
〈意味〉
石の彫刻をしている作業風景。 目の前のことに集中して取り組み、日々の鍛練を地道に積み重ねる時です。そうすることで、スキルや独自の力を身に付けることができます。
〈逆位置の意味〉
野心の欠如 虚栄心 強要 高利貸し 仕事で手を抜く 完璧主義 決まり切った 遅延 反復的な作業 技術の欠如 乱雑 不正直 怠け癖 重要な事に目をそらす アバウト 能力の出し惜しみ 無気力 あきらめる 努力しない 小手先でごまかす おおざっぱ
自分が惹かれる作品の共通点は「生活」だった。主に小説や漫画を指すが、映像、音楽もその要素が入っていると興味が湧く。
印象的な生活描写といったらジブリ作品。時代に寄り添っているのはもちろんだけど、物の散らかり方やそこに暮らす人の癖(脱ぎ捨てられた上着とか)が何となくわかるように描かれているのがすごい。
生活描写だけで見て好きな作品を挙げるなら「耳をすませば」一択である。主人公の雫とその家族が暮らすのは集合団地である。広さは2DKか2LDKくらいでリビング、廊下洗面所以外は畳という団地らしい内装。子供部屋は広めの畳部屋で中央に二段ベッドを置き右側を雫、左側をお姉さんが使用している。親の部屋は、ほぼ登場しないがあちこちに本が積み上がっている。リビングの描き分けも細かいし、冷蔵庫にはられたメモの経年劣化具合まで完全に再現していて
内装、外装ももちろんだが、そこに暮らす登場人物たちの馴染み方が自然そのもので見てて安心する。
村上春樹作品も生活と切り離せない。長編、中編には必ずと行っていいほど丁寧に生活描写が書かれているのだが、それが本当に緻密で一挙一動が想像できる。よくあるパターンは、家事全般が得意(主人公がやらなければいけない状況な為。そして本人のこだわりが強い)。シャツに丁寧にアイロンをかけ、レコードかラジオをかけながらパスタを茹でる(茹で具合はアルデンテ。時折謎の女から電話がかかってくる)。近所のプールで泳ぐかランニングを日課とし、帰りに妻の預けたスカートを受け取りにクリーニング店に寄るのを忘れない。夜には行きつけのバーか自宅でウイスキーを一杯嗜む。
発表された時代を生きる男性にしては丁寧すぎる気もするが、主人公が対面する天変地異や修羅の壮絶さに比べたらこれくらい丁寧な方が逆に安心する。生活描写をしっかり書くことで彼が現実世界とつながりを保っている唯一の証明になっているのだ。
又吉直樹の小説に書かれる生活も本物なんだよな。特に「劇場」
ほぼニート状態の売れない劇団員である男(顔はいい)と彼の才能を信じて支える彼女の同棲生活。半同棲の時は男が酔った勢いで工事現場にあったコンクリートブロックを持ち帰り、それを見た彼女は「なんでそれ持ってくるの!?ウケる!」とケラケラ笑っていたが本格的に同棲が始まると男はプレイステーションのサッカーゲームに時間を割くようになり、文豪だらけのチームを組む。イエローカードを一枚もらった三島由紀夫の代わりに萩原朔太郎を投入するも、「朔太郎入ったら、もう終わりやで」と呟く。ケラケラ笑っていた彼女は口数も場面に登場する回数も減るが、限界ギリギリまで側にいた。一番安全な場所を守るため。
さて、場面が変わって私の生活には何があるだろう。昔から変わらないものと言ったら枕元に積み上げられた本、1日2回飲むコーヒー(親の影響)、あとは...ゲームをしたり漫画読んだり?その2つも好きだけどのめり込むタイプではないのよね。アニメやアイドルもはまらなかった。グッズを買ったりイベントや続々と出されるCD、雑誌を揃える気にならなかった。中学時代は買ったりしたけど、ふと「このアニメ終わったら(飽きたら)どうやって手放せばいい?」と処分方法について考え込んだのを境に過剰にグッズを買うことはなくなった。
面倒くさがりというか物欲がないというか、同理由で服や化粧品も過剰に買わないし、1着買ったら1着手放している。性格云々より、臨死体験で人間限度があるって悟ったからに近いのかな。そっちのがしっくり来る。
最後に私の好きな詩の一説を引用して終わりますかね。