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第31話:オグリキャップの有馬記念から

「UMAMUSUME PROJECT」は第二次競馬ブームから作った。

否、それに乗っかった!笑

ゲームのメインストーリーは「オグリキャップ」の最後の有馬記念(1990年)から始まる。

(なお、ゲーム内の第1部は90年代で完結した。)

漫画「ウマ娘 シンデレラグレイ」の主人公は「オグリキャップ」である。

本プロジェクトの司令塔かつポイントゲッターがゲームであるとすれば、

漫画はフォワード(FW)にあたる。

またアニメ(第1、2期)では1990年代の競馬が描かれた。

これには意図がある。

2つの狙いがあった。

1つは競馬ブーム期にターゲットを定めた。

もう1つはオグリキャップの現役時代を知っている、あるいは見聞きした(であろう)40歳前後から50歳をビジネスターゲット(人口動態分析では50歳の人口がJRA=日本中央競馬会の売上に比例する)にした。

もっとも「馬券」を買ってくれる年齢=課金してくれる(であろう)人

現在、50歳の人(2022年)は30年前(1992年)は20歳。

もっと分かり易くすれば、2020年に50歳であった人は1990年に20歳であった。

この層は98年世代(ウマ娘のアイコンである「スペシャルウィーク」世代、最強世代=人間のアイドルに例えるならAKB48のセンターが前田敦子であった時代(フライングゲット)、モーニング娘では後藤真希が加入した時代(ラブマシーン)

30歳前後で経験した。

追加で3つめ(笑)

開発者も楽しい(だからキョンシーとかゾンビとか、トップガンとか・・1980年代にブームを迎えた演習も入る)。

以下、証言をまとめる。

シナリオディレクター

「メインストーリーは史実である競馬の熱さ、おもしろさを『ウマ娘』なりに伝えることを目的に制作しています。ですので、競馬史において非常に大きな盛り上がりを作ったオグリキャップのラストランを起点として、そこから時系列を意識しつつ、熱くドラマチックな物語を持った名馬を中心に物語のモチーフを選んでいきました(もちろんすべての馬にドラマチックな物語があるのですが)。また同じタイミングでTVアニメ第2期のシリーズ構成を担当していたこともあり、アニメでは描ききれなかったウマ娘たちのエピソードをメインストーリーに盛り込むなど、クロスメディアコンテンツとしての連動を意識した部分もあります」(Purizm編集部 2021: 13)

ディレクター

「平成初期にオグリキャップから始まった第2次競馬ブームを意識していた側面もあります。当時の競馬人口の多さや熱量、メディアや言説は今よりも活発で、まさに国民的ブームでした。そのため、オグリキャップ以降の名馬たち物語を下地にすることで、現代でも共感できる「競馬のドラマ」の魅力を表現できると思い、第1~3章のメインキャラクターを選びました。また競馬という物語を通じて、当時の若者たちの世代と、現代の若者たちの世代が共感性を持ってコミュニケーションを取れる物語を提供したいという願いもありました。オグリキャップについては、週刊ヤングジャンプで連載中の『ウマ娘 シンデレラグレイ』で活躍中ですので、そちらも楽しんでいただければうれしく思います。ゲームのなかでも、先代トレーナーとオグリキャップの物語はいつの日か語りたいですね」(同上)

このようにアニメ、ゲーム共に競馬売上の全盛期であった90年代に焦点が当てられている。

また史実と照らし合わせて「実際にライバルだったウマ娘たちはライバルとして、血縁関係のあるウマ娘たちは何かしら運命的なモノを感じる相手として、それぞれに関係性を作っています」(週刊ファミ通編集部 2021: 31)

このライバルの部分はアニメにおいては作為的であった(と私は分析した、笑)

(ウマ娘を知らない)競馬ファンに聞いてみたらいい。

アートディレクター・プランナー:

「競馬がわからなくても「美少女を育成するシミュレーションゲーム」として、お楽しみいただけるよう心掛けました」(ポストメディア編集部2021: 74)

この発言は(おそらく)女性であり、これも今まで論じてきたように(美少女)アイドル育成シミュレーションゲームとしての「UMAMUSUME PROJECT」の核心部分をついている。

さて、こんな長話をしておきながら(なんで)1990年に競馬ブームが起きたのでしょうかね?

これはイコール、なぜ競馬が人気になったのか、に繋がります。

人口動態の説明だけでは説明がつかないのは、他の「公営ギャンブル(公営競技、公営賭博)」はあまり伸びなかった。

(競馬以外の物にエネルギーを注ぐ。こんな可能性もあった。)

ギャンブル(競馬)を通して(競馬の)ギャンブルイメージを下げる・・・

他の「公営ギャンブル」と比べて競馬には1つの特色があった。

それは動物(馬)が居たということだった。


参考文献:

Purizm編集部(2021)『Purizm VOL.4』一迅社
週刊ファミ通編集部(2021)『週刊ファミ通 4月15日号』KADOKAWA Game Linkage
ポストメディア編集部(2021)『ウマ娘 プリティーダービーマガジン』一迅社

より詳しくは、

「2025年問題」から考える日本競馬の未来(解説:スぺちゃん@ウマ娘)




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