神様のケーキを頬ばるまで。
家族の関係が上手くいかないシングルマザーのマッサージ師、喘息で走れなかったトラウマで自分の事を話すのが苦手なカフェの店長、パートナーとのコンビ解消に悩む音楽クリエイター、など、夢や理想から離れた所で日常を必死で生きている人々を描いた短編集。
孤独を恐れるあまりに逆に孤立して自分の心に蓋をしているような人に勧めたい話。勇気を持ってつながる事、自分が本当に好きなものを知る事、そんな些細な事で、辛い日常がちょっとだけ前向きになる。
一つの雑居ビルでごちゃごちゃに住み合って緩くすれ違う感じを期待したけど、そこまで大掛かりなギミックではなかった。ただ全体を通して、自己肯定感の低さとか、自分から勝手に窮地に追い込まれていく感じとか、ジメっとした自分の心にシンクロしてブッ刺さった。個人的には四編目の光る背中が好きだった。
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