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つきまとわれて。
本格ミステリの名手・今邑彩の短編集。
・結婚を躊躇う姉の真意を探るうちに見つけた「幸せな結婚ができると思うな」と脅迫めいた手紙の正体とは。
・漫画家の兄に宛てられた毒入りチョコレートを食べてしまった妹の死の真相をアシスタントに語り始める、という話。
・深夜三時に突如マンションの住人から届けられるお告げは誰も知らない筈の秘密を見透かしたような内容だった。
など、家族や日常の謎を題材にした全8編。
ロジックが冴える謎解きモノだけじゃなく、人間の意外な一面にぞくりとさせる結末など、本格推理小説の面白さが存分に堪能できる完成度だと思う。厳選された言葉のシンプルさ、瞬く間に本格推理の世界を作り出すセンスの良さ、ミステリ的なアクロバットの上手さ、改めて今邑彩の凄さが分かる作品だった。
本作の特徴の一つに、各話の登場人物が他の話にリレー形式で次々に登場するという趣向が挙げられる。(西澤保彦にもそういうのなかったっけ?)何か大どんでん返し的なミスリードかと構えてみたけど、ややダークでサバサバした全体の雰囲気に対して意外と良いアクセントになっていたと思う。
あとネットショップで買ったので表紙が死ぬほどダサくて死ぬかと思った。北見隆版が欲しかった。章扉挿画を見て心を落ち着かせている。