純喫茶「一服堂」の四季。
一服堂は、極度な人見知りな美人店主・ヨリ子さんが営む古民家風のいわゆる純喫茶。接客もままならないヨリ子さんだが何故か猟奇殺人事件の推理を聞くと豹変し目の覚めるような珈琲と鮮やかな推理を披露して…という話。春と夏と秋と冬の事件を扱った連作短編集。
正統派な安楽椅子探偵かと思いきや、おのれ東川篤哉、なかなか汚い手を使ってくるじゃないか。意外と丁寧なミスリードと安楽椅子探偵の特性を存分に活かした面白ミステリー小説。
正直、邪魔に感じるくらいのギャグとミスマッチな猟奇殺人事件は、烏賊川市シリーズを彷彿とさせて、やっぱ東川篤哉はこういうのが一番しっくりくるなーと感じた。鎌倉に行ってみたくならないし、珈琲も別に飲みたくならないが、ただただツッコミを入れたくなるという、不思議な読了感がある。
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