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母乳をめぐる中東の慣習にカルチャーショック!『ハネムーン、のようなモノ?』【クウェートのラブコメ映画】

Netflixで中東・クウェートのラブコメディ『ハネムーン、のようなモノ?』(英題:HONEYMOONISH)が世界的にバズっている。
 
恋人に裏切られた女主と、父親から1カ月以内の結婚を命じられた男主が、友人の紹介で出会い、お互いの利害を隠しながら結婚。そしてハネムーン(新婚旅行)へ……という物語だ。

いってみれば、東アジア圏で王道の「打算的な結婚から本当の恋愛へ」をそのまま、クウェートに持ってきて、現地化したような感じ。
 
クウェートの活動的な女性が主人公なので、色彩豊かなファッションやメイクを視覚で楽しめるし、未婚女性の積極的な恋愛観や肌の露出度から、広大なイスラム圏の多様性が垣間見える。
 
他国のドラマでもおなじみの、昔ながらのしきたりを重視する家族も出てくるが、このドラマでカルチャーショックを受けたことがある。

それは、イスラム教の「母乳」に関するしきたりだ。

イスラム教のシャリア法では、同じ女性から3~5回以上母乳を与えられている子ども同士は「乳を吸う兄弟」とみなされ、結婚できないという。
 
主人公の2人に、過去に同じ乳母の母乳を飲んでいた、きょうだい疑惑(milk-siblings/milk kinship)が生じる。そして、「きょうだいかもしれないから、結婚できないのではないか」と言い出す身内も出てくる。
 
母乳は血液から作られるといわれるが、同じ母乳を体に取り込めば、血のつながりができるとみなされる、みたいなこと……なのか? この法、地域や国、宗派によって遵守度の違いがどのくらいあるのか、気になる。このテーマの論文やニュースがあれば、コメント欄で教えてほしい。
 
ちなみに、この映画、興味深いことに、英語の世界の映画データベース『IMDb』で、地域ごとのレビュー(★の数で評価)を参照してみると、アメリカよりも、クウェートのレビューのほうが★1(低評価)の割合が高い。

アメリカからのレビュー(IMDbより)
クウェートからのレビュー(IMDbより)

主演女優nour(インスタグラムのフォロワー数は1114万人!)のコメント欄に書き込まれたアラビア語コメントをネットで翻訳してみたら、彼女の露出度高めの服に怒っているコメントが散見された。

ハネムーン先のビーチやプール、酒を飲んで踊れるクラブや西欧で開発されたED治療薬なんかが登場するが、どこかに中東の視聴者のカンに触れたポイントがあったのかもしれない。

クウェートの『ハネムーン、のようなもの』。いつもと違う国のラブコメの世界を楽しみたい人におすすめだ。


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