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sparrow tearsの読書

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#82年生まれキムジヨン

【読書感想文】『妻が怖くて仕方ない』はノンフィクションと思いきや、サスペンス小説だった

 推理作家アガサ・クリスティの『春にして君を離れ』は、大きな事件が起こらないのに、恐ろしい物語である。   主人公の女性が一人語りでひたすら自らの夫婦関係・親子関係を振り返っているのだが、途中、妻が事実をひとりよがりに解釈した「自分の物語」を語っていることに気付かされる。読者は断片的な情報からぞっとする夫婦関係の想像をかきたてられるのみ。   最近、『妻が怖くて仕方ない』(ポプラ社)という本を読んで、類似の読後感を味わった。   なぜなら、妻からの視点が丸ごと抜け落ちたルポだ

『1982年生まれ、キム・ジヨン』を読んで泣く日本人女性が怒った理由

「女が賢すぎると会社でも持て余すんだよ。今だってそうですよ。あなたがどれだけ、私たちを困らせてるか」 これは以前、日本でも話題となった、1人の女性の半生を描いた韓国の小説『1982年生まれ、キム・ジヨン』に登場する“エラい男性”の言葉だ。 この本を読んだ女性のリアクションは日韓で異なり「韓国人女性は怒り、日本人女性は泣く」のだという。 しかし、『1982年生まれ、キムジヨン』を読んで、泣いたであろう日本人の女性が怒っている。 先日、五輪の委員会で“エラい人”がこんなこ