【読書感想文】村田沙耶香の『信仰』があぶりだした「とあるカルト」のカテゴリ
カルトという言葉に苦手意識がある方は多いと思うが、英語の「cult」は多義語である。
「閉鎖的な新興宗教集団」の他に、「流行」「熱狂的支持」「狂信的な崇拝」「礼賛」「祭儀」などの意味も含む。
つまり、「祭礼」から「やや日常」まで広い場面を覆う言葉なのだ。
村田沙耶香の短編集『信仰』(文藝春秋)に収録されている表題作は、そのあたりをものすごくうまく突いていて、思わず「うわっ、そうきたか!」と声が出た。
登場人物は「カルトで金もうけしようとしている人」「金を搾