竹富島・西桟橋がら落ちた話
白杖の白状(こくはく)
沖縄県は竹富島、石垣島から更に船で10数分、ここに竹富島という美しい島があります。
沖縄の原風景そのままの島の集落には、白砂の道を挟んで、堅固な珊瑚石で組まれた外壁の家々が並び、その赤瓦の屋根にはどこも、ユニークが顔をしたシーザが鎮座しています。
空の青、海の深緑、砂浜の白、光り輝く太陽のオレンジ、解放的な南の島では、いつも真白で良く見えない僕の視界にも、脳がそれそれの色をささやくように教えてくれるような気になります。
つまり、何となく解るってことです、
天国の扉は限りなく透明に近いブルー
この小さな島に、西桟橋という今は使われていないコンクリートの桟橋があります。100メートルくらいある、長い桟橋です。
ここから見る海も本当に綺麗です。
真骨頂は、日本有数のサンセットスポットしても選ばれた夕日です。
その美しさを満喫するために、夕日マニアのワイフは、この竹富島2泊を強制予約しました。
水平線に傾き、濃くなるオレンジの夕焼けは、僕の目にもしっかりと色を持って映ります。
その美しさに酔いしれながら桟橋の中央まで進んだところで突然辺りの景色が、限りなく透明に近いブルーに変わりました。
一体何が起こったのか、全くわかりません。
突然現れたその風景をリアルな現実とは理解できず、どこか俯瞰して、幻想的に感じました。
その感覚の表現として”限りなく透明に近いブルー”という表現がぴったりだったと思います。
数十秒にも感じたその一瞬は、妻の叫び声で現実に引きもどされました。
僕は桟橋がら足を踏み外し、海中に落っこちたのでした。
多分、死ぬってこういうことなんだろうな
あの限りなく透明に近いブルーの光景を引きずりながら、浅瀬なので足のつく海中に立つことができました。
あのまま逝くのも悪くはなかったのかな、我に帰りながらも、呑気に考えながら立ち尽くす私を、周りの観光客の人たち力を貸してくれながら桟橋の上に引き上げてくれました。
冷静に考えると、推進1m強くらいの浅瀬で溺れ死ぬのは間抜けだし、用意した桟橋の上で夕日を見ながら飲むワインも飲みたいし、一瞬にして煩悩の世界に戻ってまいりました。
目を離したことを謝りながらも、叱り続ける妻の小言を聞きながら、擦りキスで済んだことに感謝して、予定通り桟橋ワインを敢行
なんくるないさ〜、死ぬこと以外は擦り傷
日の沈んだ桟橋を、千鳥足で再び落ちないように気をつけながら、後にしました。
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