一般的な知的資産経営の説明
一般的な知的資産経営の説明
本書でご紹介する知的資産経営は、中小企業にとって最も大切な、今の経営に役立つものを目指しており、後でより実践的なツール等をご紹介いたしますが、ここではまず、一般的な知的資産経営の説明を近畿経済産業局のホームページより抜粋して参考までにご紹介いたします。 これは、本書でご紹介するものとは内容がかなり異なる部分があるとお考え下さい。
(1) 知的資産
「知的資産」とは特許やブランド、 ノウハウなどの「知的財産」と同義ではなく、それらを一部に含み、さらに組織力、人材、技術、経営理念、顧客等とのネットワークなど、 財務諸表には表れてこない目に見えにくい経営資源の総称を指します。「知的資産」は企業の本当の価値・強みであり、企業競争力の源泉です。企業経営・活動は、知的資産の活用なしには成り立たないものなのです。
(2) 知的資産経営
そのようなそれぞれの会社の強み(知的資産)をしっかりと把握し、活用することで業績の向上や、会社の価値向上に結びつけることが「知的資産経営」なのです。
企業が勝ち残っていくためには、差別化による競争優位の源泉を確保することが必要です。差別化を図る手段は色々ありますが、特に大きなコストをかけなくても身の回りにある「知的資産(見えざる資産)」を活用することによって、他社との差別化を継続的に実現することができ、 ひいては経営の質や企業価値を高めることができるのです。
(3) 知的資産経営報告書
「知的資産経営報告書」とは、企業が有する技術、ノウハウ、人材など重要な知的資産の認識・評価を行い、それらをどのように活用して企業の価値創造につなげていくかを示す報告書です。
過去から現在における企業の価値創造プロセスだけでなく、 将来の中期的な価値創造プロセスをも明らかにすることで、企業の価値創造の流れをより信頼性をもって説明するものです。
(4)「知的資産経営報告書」の作成・開示
従来の財務諸表を中心とした評価では、中小・ベンチャー企業の真の姿(価値)を知ってもらえないことがあると思います。 また、経営者にとって当たり前のことでも、周りの人が必ずしもそれを知っているとは限りません。
知的資産経営報告書は、中小・ベンチャー企業が有する技術、ノウハウ、人材など重要な知的資産を的確に認識し、相手(ステークホルダー)に伝えるために大変有効なものです。
企業の存続・発展にとって、ステークホルダー(顧客、金融機関、取引先、従業員等)に会社の優れた部分を知ってもらうことは大変重要であり、 正確な財務諸表に加え、非財務の情報(自社の持つ知的資産の優位性)を伝えることが必要です。 伝えたい相手に自社の優位性をきちんと伝えるために、「知的資産経営報告書」を作成し、開示することで自社の真の姿(価値)を知ってもらいましょう。
また一般的な知的資産経営へのステップとしては
1.自社の強みをしっかりと認識する
2.自社の強みがどのように収益につながるかをまとめる
3.経営方針を明確にし、管理指標を特定する
4.報告書としてまとめる
5.知的資産経営の実践
となっています。
以上が近畿経済産業局のホームページに掲載されている、一般的な知的資産経営の説明です。これを踏まえた上で、より実践的な知的資産経営について考えて見ます。
この記事は、「知的資産経営の実践」大学教育出版 2014年初版
から抜粋・追記して記載しています。データ等は当時のものです。