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知的資産の適正評価

4.知的資産の適正評価

 知的資産の把握は、情報の開示が目的なのか、経営のマネジメントのためなのかは従来から検討されてきた課題です。本書のテーマはマネジメントをいかに行うのかを目的としていますが、それでも知的資産をどのように評価するのかが大切な問題であることに変わりはありません。

 知的資産の評価については、下記のような指摘がなされています。

知的資産を捉えた実体バランスを根拠とすることで、過去の事業結果である業績のみを評価するスタンスから、企業の将来性などの企業実体を把握した、より適切な格付けや取引方針の設定が可能となる。

リレーションシップバンキングの充実に向けて、企業の技術力や営業力を評価する丁寧な審査が必要になっているにもかかわらず、中小企業そのものが非財務情報よりも財務情報重視の傾向にあり、企業の将来性に関係する事項の情報開示が不十分である。
『知的資産の会計』古賀智敏著より引用 


ここで、リレーションシップバンキングとは、資産担保ベースでなく顧客との関係重視の融資のことを言います。

 評価のための指標として、重要業績指標(KPI)が使われます。これは組織の目標を達成するための重要な業績評価の指標で、定量的計測が難しいものを定量化するのに多く使われます。

 筆者は、この指標は評価に使用するだけでなく、知的資産を発見するツールとしても使えるものだと考えています。

つまり、同業者がどのような指標を用いて評価しているのかを見て、自社を振り返れば、今まで気付かなかった自社の知的資産に気付く可能性があるということです。

また、知的資産経営への第一歩としても、同業者の重要業績指標は参考になると言えるでしょう。

 
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この記事は、「知的資産経営の実践」大学教育出版 2014年初版から抜粋・追記して記載しています。データ等は当時のものです。

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