
リーダーと知的資産経営
5.リーダーと知的資産経営
さまざまな場面において、経営者(リーダー)には、その行動の根本に位置する理念がまず大切であるといわれています。これを企業に当てはめれば経営理念ということになり、中期経営計画としてのビジョンが具体的目標になります。
一般的に、知的資産経営は企業の強みを生かす経営と言われていますが、この強みとか弱みは、どんな理念に基づき、どんなビジョンを持っているかによって異なってきます。企業の進む方向が明らかでなければ、何を強みと言えるのかが決まらないからです。
したがって、知的資産経営では、経営者(リーダー)の果たす役割は大きいと言えます。
中小企業の経営者の中には、経営者自身が社で発生する問題の原因である場合もありがちです。
例えば経営戦略について言えば、
・戦略が現実不可能(ギャンブル):社員(メンバー)が努力しようがない。
・戦略の議論、可視化、伝達が不十分:社員(メンバー)が誰も知らない。
・戦略は立てたがチェックはしない:かけ声だけで反省がない。
その結果、結果オーライまたは組織という船が沈むまでそのまま進み、この間に優秀な人材は、沈みかけたこの船から脱出していくので、ますます沈没が早くなるのです。
自社の有形資産(動産・不動産等)を、その他の知的資産と組み合わせてどのように使うかを決めるのは、経営者が何を目指し、それを、どう使い、どう生かすのかという知的資産の活用戦略が重要であり、これが将来の利益を生み出します。
つまり、一言で言うなら、知的資産の把握・活用にはリーダー(経営者)の理念と判断が必要であるということになります。
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この記事は、「知的資産経営の実践」大学教育出版 2014年初版から抜粋・追記して記載しています。データ等は当時のものです。