知的資産経営ガイド
第2部 知的資産経営ガイドより
「明確な目標の無い組織は、舵の無い舟のようだ」
P.F.ドラッカー
知的資産経営という言葉について、ご存じでない方やなじみのない方も少なくないかもしれません。一般的な知的資産経営についてはあらためてご説明いたしますが、本書はより実践的な知的資産経営への取り組みについて記載しておりますので、ここではまず簡単に本書での扱いについてご紹介いたします。
知的資産経営とは、強みを活かす経営といわれています。
しかし、本書では、もし知的資産を強みと考えるとすれば、知的資産経営に知的資産(強み)は使うが、知的資産(強み)を使うことだけが、知的資産経営ではなく、ましてや、知的資産経営報告書を作ることでもない。という立場で話をすすめます。
一言で言えば、強みという言葉にこだわらなくてもよいのではないかということです。
2005(平成17)年8月10日「知的資産経営の開示ガイドライン」が経済産業省より公表されました。
ここで、企業の超過収益力、企業価値を生み出す源泉として、有形資産以外のものを総称して「知的資産」と定義されました。
マイクロソフト社のビルゲイツは、「当社の最も重要な資産である開発能力は、バランスシートには掲載されない」と述べています。企業が収益を上げるための最も大きな源泉である知的資産を認識することが非常に重要な時代になっています。
(追記)
上記の知的資産の定義として「企業の超過収益力、企業価値を生み出す源泉として、有形資産以外のものを総称」のうち、超過収益力、企業価値を生み出す源泉というところが、私としてはちょっと引っ掛かるところです。
なぜなら、ここでもやはり超過収益力、企業価値を金銭評価しようとしているのではないかと言う点です。金銭評価しようとすると、いつの会計年度にどの程度の金銭価値をもたらすのかを考える事が必要になり、結局、金銭評価できそうなものだけを知的資産と考えるような動きになるからです。
その結果、年度の金銭評価が困難なものは、最初から知的資産と考えない、さらには価値があるものと考えないことになる恐れがあると感じるのです。
この記事は、「知的資産経営の実践」大学教育出版 2014年初版
から抜粋・追記して記載しています。データ等は当時のものです。