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2024年度直木賞・芥川賞速報!知られざる歴史と違いを徹底解剖。
2024年度直木賞・芥川賞速報!知られざる歴史と違いを徹底解剖。
直木賞の起源
直木三十五賞(以下、直木賞)は、日本を代表する文学賞の一つで、プロの作家としての才能を持つ新人や中堅作家を対象にした賞です。直木賞は1935年に創設され、同時に設立された芥川賞とともに、文芸界で大きな影響力を持つ存在となっています。この賞は、雑誌『文藝春秋』を創刊した菊池寛によって設立されました。
_創設の背景
1930年代の日本では、大衆文学が急速に発展し、多くの読者を獲得していました。しかし、当時の文壇は純文学を重視する傾向が強く、大衆文学は軽視されがちでした。そこで、菊池寛は、純文学を対象とする芥川賞と並行して、大衆文学を評価する場を提供するために直木賞を創設しました。直木三十五という名は、大衆文学の先駆者であり、菊池寛と親交の深かった作家に由来しています。
_初回受賞者と受賞作
直木賞の第一回受賞者は、1935年に選ばれた川口松太郎と吉川英治です。川口松太郎の『鶴八鶴次郎』は、芸者と三味線弾きの切ない恋愛模様を描き、当時の読者の心をつかみました。また、吉川英治の『鳴門秘帖』は、エンターテインメント性あふれる時代小説であり、大衆文学の魅力を広く伝える作品となりました。この初回の受賞が、直木賞の権威を確立するきっかけとなりました。
芥川賞の起源
芥川龍之介賞(以下、芥川賞)は、直木賞と同じく1935年に創設されました。芥川賞は純文学の新人作家を対象とし、文学的な才能や作品の芸術性を評価する賞です。名称は、日本の文学史に多大な影響を与えた芥川龍之介に由来しています。菊池寛は、文学の多様性を広げるために、直木賞と芥川賞を両立させる形で創設しました。
_芥川賞の特徴
芥川賞は純文学に特化しており、内面的な深さや文体の美しさ、テーマの独自性が評価基準となります。そのため、一般読者に親しみやすい作品よりも、文芸的な実験や挑戦が評価されやすい傾向にあります。受賞作は、文学雑誌や専門的な読者層を中心に読まれることが多いです。
_直木賞と芥川賞の違い
直木賞と芥川賞は、日本文学を代表する二大文学賞ですが、その目的や対象は大きく異なります。
対象の違い:
直木賞は大衆文学を主に対象とし、中堅作家や商業的成功を目指す作家を評価します。
芥川賞は純文学を対象とし、新人作家や文芸的挑戦を重視します。
選考基準の違い:
直木賞はストーリー性やエンターテインメント性を重視します。
芥川賞はテーマの深さや文体の美しさを評価します。
読者層の違い:
直木賞の受賞作は広い読者層に親しまれ、映画化やドラマ化されることも多いです。
芥川賞の受賞作は専門的な読者や文芸愛好家を中心に支持されます。
最新の受賞作
第172回(2024年下半期)
芥川賞受賞作:
安堂ホセ『DTOPIA(デートピア)』
近未来の仮想現実世界を舞台に、人々の人間関係や社会構造を鋭く描いた作品です。新進気鋭の作家による意欲作として注目を集めています。
鈴木結生『ゲーテはすべてを言った』
文豪ゲーテの思想や作品を通じて、現代の若者の葛藤や成長を描いた意欲的な作品です。文学的な深みと現代性が高く評価されました。
直木賞受賞作:
伊与原新『藍を継ぐ海』
地方の小さな町を舞台に、伝統的な藍染めの技術を守り続ける家族と、その周囲の人々の人間模様を描いた作品です。地域社会の再生や家族の絆をテーマにした感動的な物語として評価されました。
最新の直木賞受賞作には、エンターテインメント性と社会性を兼ね備えた作品が選ばれています。例えば、2023年下半期の受賞作である小川哲『地図と拳』は、歴史を背景に人間の野望や葛藤を描き、多くの読者の心をつかみました。一方、芥川賞では高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』が選ばれました。この作品は、日常に潜む人間関係の微妙な機微を丹念に描き、純文学の魅力を再確認させる一冊として高い評価を得ました。
2024年度の直木賞と芥川賞の受賞作
芥川賞受賞作:
朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』 結合型双生児として生まれた姉妹の視点から、生と死、そして自己の存在について深く考察した作品です。医師としての経験を持つ著者ならではの繊細な描写が光ります。
松永K三蔵『バリ山行』 建設会社の社員である主人公が、同僚とともに危険な登山「バリ山行」に挑む中で、人生や仕事に対する考え方を見つめ直す物語です。山岳小説としての魅力と人間ドラマが融合しています。
直木賞受賞作:
一穂ミチ『ツミデミック』 大学を中退し、夜の街で客引きのバイトをしている青年や、失業中の調理師など、現代社会で生きる人々の罪と罰をテーマにした全6編からなる短編集です。各編で描かれる人間模様が深い共感を呼びます。
伊与原新『藍を継ぐ海』 地方の小さな町を舞台に、伝統的な藍染めの技術を守り続ける家族と、その周囲の人々の人間模様を描いた作品です。地域社会の再生や家族の絆をテーマにした感動的な物語として評価されました。
両賞の共通点
両賞は、日本文学の発展を目的としており、新たな才能を発掘する役割を果たしています。また、どちらも受賞後の作家の活動に大きな影響を与え、文壇や読者からの注目を集めます。
受賞作品一覧
第171回(2024年上半期)
直木賞: 一穂ミチ『ツミデミック』
芥川賞: 朝比奈秋「サンショウウオの四十九日」、松永K三蔵「バリ山行」
2024年7月17日発表。
第172回(2024年下半期)
直木賞: 伊与原新『藍を継ぐ海』
芥川賞: 安堂ホセ「DTOPIA」、鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」
2025年1月15日発表。
以下、これらの作品の詳細とその魅力を紹介。
作品の詳細と魅力
第171回(2024年上半期)
直木賞受賞作:一穂ミチ『ツミデミック』
一穂ミチ氏は、これまでBL(ボーイズラブ)ジャンルを中心に活躍してきましたが、『ツミデミック』では一般文芸に進出し、その才能を遺憾なく発揮しています。
本作は、全6編からなる短編集で、各編が「罪」をテーマに描かれています。
例えば、「違う羽の鳥」では、大学を中退し夜の街で客引きをしている青年・優斗が、亡くなったはずの同級生と再会するという不思議な出来事を通じて、自身の過去と向き合います。
一穂氏の繊細な心理描写と、現代社会の闇を鋭くえぐるストーリーテリングが高く評価され、直木賞受賞に至りました。
芥川賞受賞作:朝比奈秋「サンショウウオの四十九日」、松永K三蔵「バリ山行」
朝比奈秋氏の「サンショウウオの四十九日」は、結合双生児の姉妹を主人公に、人間の存在意義やアイデンティティを深く掘り下げた作品です。
医師としての経験を持つ朝比奈氏ならではの視点と、豊かな想像力が融合し、読者に強烈な印象を与えます。
一方、松永K三蔵氏の「バリ山行」は、社内で孤立しているベテラン社員と若手社員が、難易度の高い登山「バリ山行」を通じて自己の内面と向き合う物語です。
山岳小説としてのスリルと、人間ドラマとしての深みが融合した作品として評価されました。
第172回(2024年下半期)
直木賞受賞作:伊与原新『藍を継ぐ海』
伊与原新氏の『藍を継ぐ海』は、科学をテーマにした連作短編集です。
各編で異なる科学的テーマを扱いながら、人間ドラマを巧みに織り交ぜています。
例えば、ある編では、海洋生物学者が未知の生物を発見する過程を描き、科学の探求心と人間関係の葛藤を浮き彫りにしています。
科学的知識と文学的表現を融合させた独自の作風が評価され、直木賞受賞となりました。
芥川賞受賞作:安堂ホセ「DTOPIA」、鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」
安堂ホセ氏の「DTOPIA」は、南太平洋の楽園・ボラボラ島を舞台に、10人の男性が白人女性を巡って競うという物語です。
視聴者たちが「自分だけのDTOPIA」を編集し始めるというメタフィクション的な要素を持ち、現代社会のメディア消費や自己投影を風刺的に描いています。
鈴木結生氏の「ゲーテはすべてを言った」は、高名なゲーテ学者が、未知のゲーテの名言を探求する過程で、自身の研究生活や創作の本質に迫る物語です。
学問と創作の境界を問い直す深遠なテーマが評価され、芥川賞受賞となりました。
感想とまとめ
これらの作品は、現代日本文学の多様性と深みを示すものとして、多くの読者や批評家から注目を集めています。直木賞と芥川賞は、それぞれ異なる文学ジャンルに焦点を当てることで、日本文学の多様性を支えているのです。その歴史や意義を知ることで、両賞が果たしてきた重要な役割を理解することができ、特に直木賞は「大衆文学」を、芥川賞は「純文学」を評価することで、作家や作品の幅広い可能性を広げています。
さて、2025年に早速芥川賞と直木賞が発表されましたね。前回より発表に時間が掛かっていた事から迷う要因があったのでしょう。お恥ずかしながら私は、受賞作品を読めていないので早急に手に入れ読んでみたいと思います。私自身も物書きのはしくれ、勿論芥川賞と直木賞を狙っている一人であります。このように発表される時期になると何もできていない自分と照らし合わせ複雑な気分になりますが、自分自身のヤル気にも繋がるのです。
作品が選ばれ受賞できる人は決して一握りではないと思っています。誰よりも勉強し、誰よりも努力した人に与えられる勲章です。今書けずに悩んで居る人も一度切り替えて進んで行きましょう。受賞者たちの嬉しそうな顔を見て、自分があの場に居たいと思いませんか。私は思います。
物書きみんなで作家界隈を盛り上げていきましょう。
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