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早稲田大学 箱根駅伝振り返り

少し間が空いてしまったが、卒論も無事なんとかなりそうなので、第100回箱根駅伝を振り返ってみる。大方の予想に反し、駒澤の三冠が阻まれ、青山学院が圧倒的な強さを見せた大会となった。私はとにかく早稲田ファンなので、早稲田の結果を振り返ってみたい。



出走メンバー振り返り

予想との違い

さて、箱根駅伝の迫る年の瀬、12月29日に、「早稲田大学 箱根駅伝区間エントリーを受けて」という記事を書いた。

この記事では、区間予想を行ったので、まずは区間予想と実際の区間配置を比較して振り返ってみる。なお、本記事では名前は敬称略とさせていただく。

区間 予想  実際
1区 間瀬田 間瀬田
2区 山口  山口
3区 伊藤  辻
4区 石塚  石塚
5区 工藤  工藤
6区 北村  栁本
7区 辻   諸冨
8区 伊福  伊福
9区 菖蒲  菖蒲
10区 菅野  菅野

このように、3、6、7区の3区間が私の予想と違っていた。

体調不良の発生

この配置となった理由は、年末に発生した体調不良によるものである。残念ながら、年末に伊藤と北村がインフルエンザに感染してしまい、出場がかなわなかったのだ。当初は私の予想と同じく、伊藤を3区、好調な辻を7区(佐藤は調子があがらず?)の予定だったが、伊藤の代わりに辻が7区から3区に上がることになった。その結果、次に調子のよかった諸冨が7区に入った。また、特殊区間の6区を走る予定だった北村に代わっては、リザーブだった経験者の栁本が入った。

この件については、1月4日の伊藤の部員日記が参考になる。辻3区、伊藤7区も直前まで考えたが、病み上がりの伊藤よりも諸冨を優先したということだろう。

まずは直前に起こったアクシデントについて話さなくてはいけません。試合当日まで残り1週間となり、チームの誰もが良い準備ができていると思っていた矢先、12/24に北村さんが、12/26に僕がインフルエンザA型を発症しました。僕は幸いにも症状がかなり軽く済んだため、急ピッチで準備を勧め、なんとか復路での出場を目指していましたが、大事を取って1/2の夜に出走しないことが決まりました。

伊藤大志:大きな、追いつきたい背中

症状が軽かったとはいえ、大事を取った花田監督の判断は正しいと思う。おそらく花田監督の頭の中には、第67回大会で早大の三羽烏の1人だった櫛部さんが大ブレーキを起こしたことがあっただろう。2日前の体調不良をおして出場した結果大ブレーキになってしまった事例を目の当たりにした花田監督だからこそ無理をさせなかったのではないか。櫛部さん自身も自分のブレーキにショックを受けたようだ。

ただ2日前に体調を崩していました。今考えるとノロウイルスか食中毒だったと思います。

 それまで大きな失敗や、レースで他人に迷惑をかけたことはありませんでした。だから衝撃は大きかった。以後、自分をコントロールできない状態がずっと続きました。

箱根の屈辱「ブレーキ」はなぜ起きたのか

ということで、残念ながらベストメンバーを組むことはできなかった早稲田大学だが、往路5位、復路10位の総合7位という結果になった。目標としていた5位以内には食い込めなかったものの、主力を欠く中で来年に向けてシード権を確保したことは評価できるだろう。

早稲田の選手事情

さて、早稲田大学は優勝を狙うことが求められる大学だ、ということは花田監督も何度も公言している。オリジナル4であり、歴代2位の13回の総合優勝を経験している名門早稲田大学。来年以降、より上位、そして優勝を目指していく上では現状分析が欠かせないだろう。

もちろん、スカウト枠が他大学と比べて圧倒的に少ないというハンデはあるものの、全員が理想の走りをすることができれば十分に上位を狙える可能性がある。

スカウト枠という話で言えば、今年の箱根10区間のうち、実に半分の5区間がスポーツ推薦以外の選手だったというのは早稲田大学だけだろう。

3区 辻(早実から内部進学で政経) 区間7位
4区 石塚(早実から内部進学で教育) 区間13位
7区 諸冨(洛南から指定校で文) 区間14位
8区 伊福(洛南から指定校で政経) 区間5位
10区 菅野(西武文理から一般入試で教育←東大落ち)区間5位

これを見ると、いかに早稲田が文武両道を体現するプライドを持った名門なのかがわかるだろう(別に他大学をdisするつもりはないが)。しかも、結果を見れば足を引っ張るどころかむしろ、チームを引っ張る活躍をしているのだ。一般組が強いときの早稲田は強いと昔から言われるとおりだ。

これを踏まえれば、1学年10人以上当たり前のようにスポ推を取る大学がある中で、スポ推を取れて3人程度の大学が上位に進出し優勝をも狙うという普通なら不可能と思われるようなチャレンジすら、早稲田ならできるのではないかと期待してしまうのだ。

レース振り返り

区間タイム分析

さてここからは、今回のレースをタイムで振り返りながら、もし当初の予定通りのメンバーが組めていたらどうなったかなどを含めて考えてみたい。

まず、今回の箱根駅伝における早稲田大学のタイムをまとめた表を作成したのでご覧いただきたい。

第100回箱根駅伝の早稲田のタイム

これを見ると、区間10位を下回った区間は、1区、4区、6区、7区、9区である。区間10位と大きく差がつけられたのは6区と7区でそれぞれ+1分25秒と+0分46秒であった。上位を狙う上では全員が区間1桁で走ることを目指すべきでありここは改善点だと考えられる。

次に区間賞とのタイム差を見てみると、2分以上差がつけられた区間は3区(+2分52秒)、5区(+2分58秒)、6区(+3分)、7区(+2分3秒)となっていた。区間10位との比較を合わせると、6区、7区は共通して今回の駅伝においてはブレーキ区間だといえる。一方で、区間1桁で走った区間である、3区や5区で区間賞には3分近い差がつけられていることがわかる。これが今回の駅伝において、「差がつく」区間だったといえるだろう。

3区は青山学院の太田と駒澤の佐藤が激しい先頭争いを繰り広げ、太田が日本人初の1時間切りを見せた。5区は、山の妖精、城西の山本が区間新記録をマークする素晴らしい走りを見せた。5区は特殊区間であり、例年差が付きやすいのだが、今回の区間順位とタイム差を見てもそれは間違いないといえるだろう。

3区に関しては、伊藤の不在を辻がよくカバーしたが、往路優勝などを狙っていくという観点では、やはり往路に主力を並べられないと厳しくなってくる。5区はまだ1年生の山の名探偵、工藤が、来年以降さらに走力を増して上ってくれることを期待したい。

たらればコーナー

さて、たらればになってしまうが、もし3区に伊藤、6区北村、7区辻の場合はどうなっていたのだろうか。
仮に3区伊藤が区間6位相当の1時間2分ちょうど、6区北村が昨年と同じ58分58秒(区間8位相当)、7区辻が3区と同じペースで走って1時間2分21秒(区間賞相当!)だったとすると、総合タイムは10時間51分48秒となって、総合3位相当ということになる。

これは実際の3位城西とは-38秒差、2位駒澤とは+3分48秒差である。こう考えると、理想的な配置であってもなかなか2位以上に行くのは難しいともいえる。3位に関しても城西に対して差は小さく、現実的にはかなり難しい戦いになっていただろう。

さらにたらればを考えるならば、石塚が不調気味で、佐藤が調子が上がらなかったところに関してである。4区石塚が昨年の佐藤のタイムである1時間2分18秒(区間6位相当)で走っていたとすると、総合10時間51分16秒で、城西とは-1分10秒差となって少し余裕が出る。一方で駒澤との差は依然として大きく+3分16秒である。

もともと駒澤が優勝候補筆頭であったことを考えればこれも仕方ないといえるが、なんとなく悔しいので、さらにたらればを考えてみる。

山の工藤が1年生で神になっていた場合を考える。区間賞と同タイムの1時間9分14秒である。すると、総合タイムは10時間48分18秒で2位駒澤とは+18秒に迫ってくる。さらにさらに、北村は去年タイムで仮定したが、今期絶好調だったのでこちらも区間賞相当の58分2秒で走ったと考えてみよう。総合タイム10:47:22で2位に躍り出ることになる。駒澤との差は-38秒だ。これで優勝候補駒澤を倒した!!

青山学院の異常な速さ

しかしここで立ちはだかるのが青山学院だ。総合タイムは驚きの10時間41分25秒であり、これは当然総合新記録である。このタイムは青山学院が第98回大会で作った総合記録を2分17秒も更新している。早稲田がここまでたらればを仮定しても、+6分53秒の差をつけられている。これはいくら何でもかなわないと思うのでこれくらいにしておくが、今回のたらればタイムも歴代4位相当のタイムにはなっている。にもかかわらず、これだけの差が開いてしまったということは、今回の青山学院のタイムが信じられないほど良かったという事を意味している。

来年に向けて

特殊区間の6区の対策が急務だろう、北村・栁本は卒業するので誰が走っても未経験だ。一方、5区は工藤が本線でリザーブに主力の伊藤が配置できるのでアドバンテージを取れる部分だと思われる。

あとはとにかく主力を怪我・体調不良なく配置できるかだ。そこに問題なければ、5位以上、3位以上も決して夢ではない。一方で優勝、準優勝のレベルはさらに一段も二段もハードルが高いといえるだろう。一般組も含めて中間層が復路区間賞レベルまで成長することが絶対条件になってきそうだ。今回の出場選手のうち、3年生以下は6人(留年の諸冨も競技は終了)なので、そこに伊藤を加えた7人を基本に残り3人を選んでいくことになる。

練習を積んできて2年連続エントリーメンバー入りをしている宮岡や長屋、山崎といったエントリーメンバー入りの1年生、さらに新入生の800m国体王者の立迫大徳(長距離はどうか)や都道府県対抗駅伝4区区間賞の実績を持つ5000m13分台ランナー山口竣平らが候補に挙がってきそうだ。いずれにしても、今年以上の順位は十分狙える陣容になると思われるので今からわくわくしている。

おまけ

最後に現地観戦行ったので写真(へたくそ)を3枚ほど

1区の集団の中にいる間瀬田withサングラス(和田倉門交差点)
2区を走るエースに成長した山口(京急鶴見)
5区を走る"山の名探偵"工藤(大平台駅前, タイトル写真)



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