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早稲田大学 箱根駅伝区間エントリーを受けて

2023年も終わりに近づく、12月29日。卒論に手が付かないほどそわそわしていたのはほかでもない、箱根駅伝の区間エントリー発表だ。

年明け1月2日、3日にはいよいよ第100回を迎える箱根駅伝が行われる。通常より3校多い、23大学が参加する記念大会だ。新型コロナが収まり沿道での声出し応援が解禁されることも考えれば、盛り上がることは間違いないだろう。

私も往路の現地観戦に行く予定だ。今年は1~4区までを追っかけたが、5区は早稲田には間に合わなかった。今回は5区でも早稲田の選手を見たいので、1区、2区を複数地点で観戦した後、ロマンスカーに乗って箱根湯本に向かう算段なのだ。卒論?そんなものは知ったことか。箱根駅伝で早稲田を応援することは、2011年から始まった私の必要不可欠、不要不急の対極にあることなのだ。

2011年は早稲田大学が総合優勝を飾る。往路は東洋に5区でかわされたものの、6区で高野選手がスライディングを見せながら逆転。史上最少21秒差の優勝を飾った。東洋大学の5区は山の神、柏原選手だった。柏原さんは文化放送のラジオ「箱根駅伝への道」でも、たびたび早稲田には油断できないといった趣旨のコメントをされる。1、2、4年次に優勝を果たした柏原さんにも3年次の敗戦の悔しさと早稲田へのリスペクトがいまも大いにあるというのは何か感慨深い。それはさておき。

12月に入って16人のエントリーメンバーが発表され、早稲田に関する情報を色々集めながら楽しみに迎えた今日、区間エントリーの発表が行われた。区間エントリーは、ある区間にエントリーされた時点で、その区間を走るかその選手は走らないかの2択となる。箱根駅伝は全部で10区間あり、走る可能性のあるエントリーメンバーは16人だ。つまり補欠登録は6人であり、この6人当日する可能性がある。ただし、1日にできる変更は4人までだ。

私は、早稲田ファン、というか早稲田ヲタなので、早稲田以外の選手はあまり詳しくない。なので今日は早稲田のエントリーに絞って考えてみる。(以下敬称略)

早稲田のエントリーは以下の通りだ。

1区 間瀬田純平(2年)
2区 山口智規(2年)
3区 山﨑一吹(1年)
4区 長屋匡起(1年)
5区 工藤慎作(1年)
6区 北村光(4年)
7区 佐藤航希(4年)
8区 伊福陽太(3年)
9区 菖蒲敦司(4年)
10区 菅野雄太(3年)

補欠
辻文哉(4年)
栁本匡哉(4年)
石塚陽士(3年)
伊藤大志(3年)
諸冨湧(3年)
宮岡凜太(2年)

これを見て最初に感じたのは、工藤の山登り5区への登録の驚きと喜びだ。夏合宿時点で、工藤の登りの強さはテレビの取材でも取り上げられるほどだった。夏合宿の練習消化率はほぼ100%で、10000m持ちタイムもチーム2位の27分31秒87を持っている。1年生とはいえ、5区で活躍できる可能性は十分にあるだろう。

一方で、出雲駅伝は4区で区間10位、全日本大学駅伝は4区で区間13位と苦戦していた。調子が上がりきっているか微妙なところで、2年連続山登りを任されてきた伊藤が5区と思っていた。なぜなら5区は経験値が重要であり、差がつきやすい特殊区間とされるからだ。しかし、次回大会以降も見据えての判断とすれば、登り適正のある工藤5区は最良の選択だろう。

工藤が5区に入ったことで伊藤が平地には入れれば、もともと適正としては登りが得意というわけでなく、走力で山登りに挑んできた伊藤がより活きる展開になり得る。

次に目についたのは3、4、5区に1年生が並んでいることだ。箱根駅伝はセオリー上往路に主力が配置される傾向にあり、1年生が往路に3人並ぶのは珍しい。ここは当日変更の可能性が十分にあるだろう。

ここを踏まえて往路のベストメンバーを考えると、次のようになる。

1区 間瀬田純平(2年)
2区 山口智規(2年)
3区 山﨑一吹(1年)→伊藤大志(3年)
4区 長屋匡起(1年)→石塚陽士(3年)
5区 工藤慎作(1年)

昨年も箱根1区を走り、全日本1区でも区間2位をマークした間瀬田が絶対的スターターとみていいだろう。もともと1500mの選手でラストスパートもキレるので、上位を期待できる。

2区山口は11月の上尾ハーフマラソンで日本人トップ、1時間01分16秒で大迫さんの持っていた早稲田記録を更新した。伊藤、石塚も好調の山口のペースにはついていけないほどであり、順調であれば2区で攻める走りができるだろう。昨年は直前の胃腸炎で無念の欠場。各校のエースがひしめく中で、堂々たる走りに期待がかかる。

さて、山口、伊藤、石塚は3本柱と花田監督からも評され、往路に並べることが示唆されてきた。これと石塚が1年次に4区を区間6位で好走していることを踏まえると、3区伊藤、4区石塚が妥当だろう。伊藤は5区工藤のリザーブ、石塚は2区山口のリザーブと考えれば、どちらも経験があり替えの気かない主要2区間をリザーブできているといえる。

伊藤は5000m13分30秒台の常連であり、出雲1区4位、全日本7区6位と安定して好走しており、さらなる爆発を期待したい。責任感が強く練習を引っ張る存在で、次期駅伝主将にも就任が決まっている。石塚は10000m27分台をもつトップランナーだ。安定感がウリの選手だが、出雲3区、全日本3区ともに突っ込んで入って区間7位。結果としては少し物足りないが、ゲームチェンジャーを目指した今季の集大成を箱根で見せてくれるはずだ。現在は1月2日締め切りの実験レポートに追われている理系学生であり、文武両道の早稲田らしさを体現しながらの走りに注目だ。

次に復路について考えてみる。往路は上記メンバーで、全員が実力発揮できれば、5位以内、3位以内に入っていくことは十分可能だ。復路はどちらかというと、区間中位で粘りの走りを続けていくことが求められてくるだろう。したがって、往路が思うように流れなければシード権争いに巻き込まれる可能性も排除できない。
とはいえ、復路のメンバーも期待値は高い選手がそろっている。復路のメンバー予想は次のようになる。

6区 北村光(4年)
7区 佐藤航希(4年)→辻文哉(4年)
8区 伊福陽太(3年)
9区 菖蒲敦司(4年)
10区 菅野雄太(3年)

6区北村は下りの走りが非常に上手く、最後の箱根で区間賞を十分狙える下りのスペシャリストだ。しかも今年は非常に調子がいいと複数の部員が日記に書くほどだ。貧血もあって苦しんだ大学生活、最後の箱根で有終の美を飾ってほしい。リザーブは経験者の栁本だろう。

7区に登録された佐藤は本当ならば往路に登場してもおかしくない選手だ。が、出雲全日本ともに出走せず、上尾ハーフではまずまずだったものの、調子が上がりきっていない可能性がある。調子が良ければ、往路のリザーブとしてほしいところだからだ。ここは4年生の辻に期待がかかる。1年生の全日本1区6位の好走以来の駅伝であるが、ハーフマラソンなどの長距離でタフに走れる適性があり調子も悪くなさそうだ。

8、9、10区は今年と同様の陣容であり、あまり変更は見たくない。8区伊福、10区菅野はともに一般組である。推薦枠の少ない早稲田にとって、一般組が底力を見せることが目標の5番以内を実現するには欠かせない。伊福は全日本大学駅伝アンカー区間8区で脱水症状となってしまい、悔しい区間19位。早稲田はシードを落とす結果となってしまったこともあり、リベンジに燃えている。菅野もまた全日本で6区区間11位と不本意な結果に終わり、その後練習量を増やして復調してきている。また9区菖蒲は駅伝主将であり、3000mSCでワールドユニバーシティゲームズ銅メダルという逸材だ。3000mSCと箱根駅伝の20kmロードは別物ではあるものの、最後の箱根に向けてしっかり調整してきていることだろう。

ここまで、比較的ポジティブに区間エントリーをとらえながら予想を行ってみた。しかし不安要素がないわけではない。それは復路のエントリーに表れている。

7区に佐藤が配置され、それ以外も復路で走ってほしい選手は全員、補欠にならずに最初からエントリーされている。一方、往路は3区、4区2枚替えが妥当な配置だ。この場合、仮に往路の山口、工藤のどちらかにアクシデントがあり、リザーブとなっていた石塚、伊藤が入った場合、3区、4区を誰が走るのかということだ。往路は基本的に復路よりスピードも出せる走力が求められる。走力的にはおそらく辻が補欠の中で候補にあがるだろう。もしくは1年生がそのまま走るのかだ。山崎は5000m13分50秒をもち徐々に長い練習につけるようになってきた選手だが、おそらく今回の出走は厳しいだろう。長屋に関しては高校時代からロードに強さを見せ、大学初駅伝で出雲のアンカーに抜擢され区間6位で走っているので、出走の可能性はある。ただいずれにせよ、万全とはいいがたい往路になる可能性はある。

つまり、理想的には復路に登録されている佐藤や菖蒲を補欠において、往路アクシデントの場合に往路出走の可能性を残しておく方が良いと思われる。しかしそうなっていないということは、佐藤や菖蒲が本調子ではない可能性も最悪想定しなければならない。諸冨、宮岡がここに代わって復路で登場することも、あるいはあるのかもしれない。1年次の箱根5区で味わった悔しさを晴らすべく最後の箱根に挑む諸冨、今年は当て馬として配置されたが夏合宿の走り込みなども通じて自信をつけてきた宮岡どちらも期待できるが、どの程度主力の調子が戻っているかとの兼ね合いで監督も直前まで悩むのかもしれない。


ここまで勝手な個人的妄想を、全く内情を知らない私がつらつら書いてきた。ここに書いた予想は全く間違っているかもしれないし、何が起こるかわからないのが駅伝の醍醐味だ。区間予想ももちろん楽しみの1つではあるが、今まで調子が上がっていなそうに見えた選手が思わぬ好走を見せたり、走りたくても調整がほんの少し合わなかった選手が仲間のために全力でサポートをする姿。これらがやはり駅伝の魅力だろう。
1月2、3日。私が、全国の駅伝ファンが、1年で最も心待ちにする2日間。早稲田大学はもちろん、全大学が悔いのない走りを見せ、最高のドラマが生まれることを楽しみに、卒論を少し進めてみながらあと4日を過ごそうと思う。



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