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献血のすすめ
※この記事は,みんなの北星Advent Calendar 2022の1日目の記事です。(1日目といいながら限りなく2日目に寄った公開時間になりました)
突然ですが皆様、献血したことはありますか?
献血とは、己の血液を寄付するボランティア活動です。
何を隠そう私は献血を趣味としております。今の住処の最寄り駅そばにも、献血ルームがあることを引っ越し前に確認したくらいです。
※ただし、献血車での献血経験がありません
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献血を始めたきっかけ
私が初めて献血をしたのは18歳、札幌で浪人生をしていたときでした。
周囲に献血マニアがいたわけでも関係者がいたわけでも何でもありませんでしたが、高校生のときに「献血すると色々グッズがもらえるらしい」「ソフトドリンク飲み放題らしい」などと知って、がめつい私は「18歳になったら献血しよう!」と決意していたのでした。
浪人生の当時は、駿台予備校と当時住んでいた寮を往復するだけで、模試では志望校の合格A~E判定をランダムに取り続けるような不安定な日々でしたので、「社会における私の存在って…」などと思い悩んでいました。息抜きがてら、嬉々として献血ルームに訪れたのを覚えています。
ところで、私の生涯のテーマである自殺予防についても、関心を持ったきっかけに大したエピソードがありません。何かに興味を持ったりハマったりするきっかけって本当に些細なものなんでしょうね。
献血の種類
さて、献血には次の4種類あります。
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全血献血は血液中の全成分を、成分献血は下記の成分のみを献血するものです。
血小板:血管が傷ついたときに止血する役割を果たす血球(細胞成分)
血漿:血液から血球を取り除いた液性成分
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献血者の目線(N=1)で感じる違いはこれくらいです。
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可能であれば400mL献血、もしくは成分献血(特に採血後の保存期間が4日と短い血小板)の協力を求められることが多いようです。
1年に献血できる回数が大きく異なるので、献血ルームに頻繁に行ける方は成分献血、なかなか行けないけど協力したいという方は全血献血が良いのではないでしょうか。
私は最初400mL献血のことしかよく分かっていなかったのですが、途中で成分献血だとたくさん通えることに気づいてから、成分献血に通っています。
献血DAYの流れ
私の献血DAYは大体土日で、昼(11:30~)頃からか、夕方(15:00~)頃から始めることが多いです。
札幌市の献血ルームは混んでいることが多いので、予約必至です。
(つくばにいたときは、平日ふらっと行くこともあったのですが…)
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①受付・②血圧測定
見失いがちな献血カードを部屋で捜索することから始め、献血ルームへ移動。受付で献血カードを渡して、血圧を測った後ちょっと待ちます。
その後、タブレットで質問事項に答えます。この質問事項では、体調や海外渡航歴など、献血ができる状況かどうかを確認します。
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最低血圧:50mmHg以上 110mmHg未満
③問診
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次にドクターに呼ばれ、体温や血圧、消毒液で腕がかぶれた経験などの問診があります。
④事前検査
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その後、血液の基準を満たしているかどうかの事前検査があり、ちょっとだけ血を抜かれます。成分献血の場合は腕からで、本採血とは反対の腕から抜かれます。全血献血の場合は、指からの採血になっています。
私は指から採血する方が痛く感じましたが、副作用低減が目的とのこと。
⑤本採血
血液の検査で基準を満たしていれば、いよいよ本採血です!
私は血液循環が悪いのか、検査と本採血の間に、手を温めるために保温材を腕に巻かれたり、温かいものを飲んだり何か食べたりするように言われたりすることが多いです。
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本採血はベッドのような椅子に座り、リラックスした状態で行われます。ブランケットをかけてもらったり、水分補給のための飲み物をもらいます。
検査のときより太めの針(外径1.2mmだそう)なので、初めての方は結構痛いかもしれません。私は、刺さりどころにもよりますが大分慣れました。
女性の成分献血の場合は、40~50分くらいだと思います。私は備え付けのタブレットでYouTubeを見たり、たまにはスマホで原稿を書いたり、看護師さんと世間話をしたりして過ごしています。
献血中は、ちょくちょく様子を見に来てもらえるので、痛かったり寒かったりしたら伝えます。(これまで2回ほど、刺した部分が痛くて献血を中断したことがあります)
⑥休憩
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献血が無事に終わったら、献血ルームで30分程度休憩する必要があります。飲み物を飲んだり、PC作業をしたり、お菓子を食べたりしてのんびりします。献血協力の御礼の品を色々もらって帰ります。
私のよく行く献血ルームには、献血者の皆さんが書き込んでいる雑記帳が置いてあって、他の献血マニアや初めて献血した若い人のコメントを読んで、思いを馳せたりします。
献血の魅力
私が献血によって得られていると感じる報酬は、大体こんな感じです。
ティッシュや食器用洗剤、食料などの物理的報酬がもらえる
(長い学生時代には特にありがたかった…)飲み放題で休憩ができる(飲み物ぐらい自分で買えよとは言わずに…)
看護師さんに優しくしてもらえる(癒されて有難いです)
社会貢献ができる(ということの満足感)
献血後、血液の検査結果がわかる(健康管理)
特に5についてですが、ウェブ上で過去3回分までの記録を確認できます。
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また、出先や出張先で時間を持て余したときに、現地の献血ルームに行ってみるのも楽しいです。献血ルームによって、雰囲気やレイアウト、もらえるもの等(ハーゲンダッツがもらえることも!)が異なります。全国の献血ルームを色々まわって、そのうち献血旅行記を発行したい!という野望があります。
行ったことのある献血ルーム
予約しないで行ったら入れなかったところ…スカイツリーのソラマチにあります
献血の意義
ここまで献血者目線のだいぶ浅めの綴りでしたが、献血の社会的意義を確認しておきたいと思います。
献血をする人がいるということは、どこかで輸血を受ける人がいる、ということになります。
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輸血について
・赤血球、血小板などの機能が低下したり、量が減少した時に補充する治療法
・輸血に使用する血液は、まだ人工的に造ることができず、長期保存することもできない
・輸血用血液製剤の多くは、悪性新生物(がん)の患者さんの治療に使用されている(2020年東京都福祉保健局調べでは36.4%)
私は帝王切開で生まれているのですが、そのとき母親は多量の輸血を受けています。献血を趣味としていることと、そんな自分のルーツのつながりに気づいた時は、運命を感じました。
母親が輸血を受けた代わりに、私が献血をしてどこかの誰かの役に立てていたら…と思っています。
献血の心理学的研究
最後に、私も心理学者の端くれなので、献血の研究について触れておきましょう。
吉武(2020)は、私のような「献血を重ねる人」(50回以上)に半構造化面接を行い、献血動機を調べています。特に、身近に血液製剤を使用する「受血者」がいない人が、なぜ献血を重ねるのかが関心の対象でした。
対象者70名のうち、身近に受血者がいなかったのは45人でした。
聞き取りの結果、初回の献血も継続的な献血も、「役に立つ」こと、家族や友人などにおける献血者や医療関係者の存在、いつか自身や家族が輸血を受けるときのために、といった動機が示されたそうです。中には「なんとなく」というきっかけの人もいたようです。
また、初回においてはお菓子やジュース、処遇品の存在が有効で、継続するには健康管理や落ち着ける場所としての献血ルームの存在、表彰制度などが有効と考えられたそうです。
私がこれまで綴ってきた内容も、この研究で示されている献血動機とほとんど同じですね。自分が逸脱しているわけではなく、一安心です。
献血者を増やすには、「痛そう」「怖そう」といった初回のハードルを乗り越えてもらい、「落ち着ける」「健康を管理できる」といったメリットを早めに感じてもらうことが重要と考えられますね。
献血仲間募集中!
献血に行ったことがないけど興味が出た、ちょっと怖いけど行ってみたい…という方は、ぜひ献血マニアの私にお声かけください。
また、若年層の献血者数が減っているそうです(少子化ですし…)。現代医療を支えるために、献血促進のための研究をする意義も高いといえます。
吉武(2020)に似て、私も献血する人としない人を分ける要因に関心があります。人々の献血に関する意思について、私の妄想研究を実現してくれる方もぜひ!お誘いお待ちしております。
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