Asumi Takahashi

自殺や喪失を研究テーマとしている私立大学教員です。臨床心理士、公認心理師。 自殺研究や…

Asumi Takahashi

自殺や喪失を研究テーマとしている私立大学教員です。臨床心理士、公認心理師。 自殺研究や自殺予防対策に取り組みたい人や自分に向けて、色々まとめてみます。 研究者としてのプロフィール→https://researchmap.jp/asumi03takahashi

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ファンが抱えるグリーフ:有名人の死に直面した私たちはどうすればいいのか

2022/5/13 この記事を発展させて制作したウェブサイトを公開しています。こちらもご覧ください。 有名人とのパラソーシャルな関係性私たちはテレビ、動画や映画、雑誌などのメディアを通して、さまざまな有名人を知っています。―――俳優、役者、芸人、歌手、ミュージシャン、アーティスト、アイドル、タレント、Youtuber、モデル、声優、ラジオパーソナリティ、作家、漫画家、アスリート、ダンサーなど、挙げればきりがありません。 このような有名人に対して、私たちは個人的に親近感や友

    • 愛犬とグリーフの日記(1)

      先日急いで綴ったnote (まだお読みでない方はできればお先にお読みいただけたら) (1)と名付けたのは日記が予期のままで続くことを願ってのことでしたが、この記事のタイトルからおわかりのように、9/7の夕方に愛犬くりんが虹の橋を渡りました。 学会のために遠い熊本の地におり、ホテルに帰ってきて、ペットカメラを見て後輩犬かりんが珍しく鳴いているなぁと思ったのですが、くりの姿が見えず。 母からの報せのLINEに気づくのが遅くなり、冷静に文字を読んで返信したあとはもう、泣くばかり

      • 愛犬の喪失に備えて:予期グリーフの日記(1)

        一昨日の夕方、ヨークシャーテリアのくりん(16)の調子が良くなくもう長くないかも…と母より連絡があり、急遽実家に帰っていた。 もとより愛犬の喪失に備えていた私は、連絡をもらって即、後悔の少ないようにするには実家に駆けつけて犬の様子をこの目でみることである、と決断。出発前に「うちの犬が危ないらしい」と、言える人たちに伝えて心の安定を図りつつ、夜4時間半かけて車を走らせ実家へ向かった。 (支えになる返信をもらい、ありがたかった) 道中、出没した多数の鹿や狐の姿に愛犬の姿を重ねつ

        • 「大学における自殺予防対策 理解と実践的アプローチ」を出版しました

          2024年6月11日付で、『大学における自殺予防対策―理解と実践的アプローチ』という学術書を出版しました! 本書は学苑社よりお声かけいただき、1年半の歳月をかけて書き下ろした単著です。若輩者ながら、このような機会をいただいたことを有難く思っております。 読者は大学教職員、大学関係者、自殺対策に取り組まれる自治体の方、学生さんとかかわる支援者の方々を想定しています。大学に特化した自殺予防における初めての専門書になります。 そもそも自殺の予防という領域の研究は、研究者単独で行

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          初めての翻訳出版

          2023年8月に、『メディアと自殺:研究・理論・政策の国際的視点』(トーマス ニーダークローテンターラー ・スティーブン スタック (編著)・太刀川 弘和・髙橋 あすみ(監訳)田口 高也・白鳥 裕貴・菅原 大地・小川 貴史(訳))を人文書院より出版させていただきました。 経緯企画を立てたのは、まだ博士課程に在籍中のときです。メディアによる自殺報道の問題は、2020年以降に特に高頻度で議論となっていました。私はそのころ、報道とは異なる角度で「有名人の死」に関するレビュー論文を

          初めての翻訳出版

          ペットロスに伴うグリーフへ備える(追記)

          車で5時間の距離の実家@田舎で、2匹の犬(わんこ)を飼っています。ヨークシャーテリアのくりんは高校2年生のときに我が家へ来ました。その3年後に来たダックスフントのかりんは、私と入れ違いで実家へ。くりんはもうすぐ16歳(H20年7月生まれ)、かりんは13歳(H23年3月生まれ)になるところで、人間にしてみれば60~70代くらいでシニアに相当し、そろそろ小型犬の平均寿命です。ただ現在までありがたいことに2匹とも大きな病気や怪我もなく元気に過ごしています。 2匹が生きている時間の

          ペットロスに伴うグリーフへ備える(追記)

          『メディアと自殺:研究・理論・政策の国際的視点』出版されました

          師匠の太刀川弘和先生とともに監訳した『メディアと自殺:研究・理論・政策の国際的視点』(トーマス ニーダークローテンターラー ・スティーブン スタック 編著)が、2023年8月10日に人文書院より発売となりました。 メディアと自殺といえば、紹介にもあるように「ウェルテル効果」が知られています。これは自殺の報道によって自殺者数が増加する現象のことを指します。日本でもマスメディア(特に新聞やテレビ報道)を対象にウェルテル効果をテーマとした研究が多くなされ、報じられる内容や量、報じ

          『メディアと自殺:研究・理論・政策の国際的視点』出版されました

          NPO法人OVAで制作した数々のまとめ

          NPO法人OVAは、ICT(情報通信技術)を活用してアウトリーチやインターネット相談、ソーシャルアクション等に取り組む団体です。 私はこちらで相談員として約1年、研究員として約5年勤務する中で、さまざまな研究やプロジェクトに参加しました。ここで一度、自分が開発・実施・分析・執筆等に携わった調査報告書(中間報告を除く)、手引き・ガイドライン、研究論文をまとめることにしました。 すべて公表されているもので、自殺予防やICTを活用したアウトリーチ等の活動に有益なものとなっています

          NPO法人OVAで制作した数々のまとめ

          研究室をつくる(物理的に)

          4月になり、元々働いていた大学内で転職しました(詳細はこちらの記事で)。それに伴って諸々変わったのですが、個人的に大きな変化のひとつが個人研究室をもらえたことです! 1.それまでの研究環境 それまではラーニング・コモンズの中にある「学習サポートデスク」と呼ばれる、事務室のような場所に在席していました。 こちらの学習サポートデスクは働く者としても快適空間で、仕事も大変やりがいがあり、同僚も学生も大好きでした。 しかしながら、助教の業務のひとつである「研究」に取り組む場所と

          研究室をつくる(物理的に)

          職が変わったことの報告

          こちらの記事で綴った就活から早2年、学内で新しい職に変わりました。 これまでの職 博士課程を修了して初めて就職したのは、嘱託教員でした。つまり、任期が決まっている契約社員みたいなものです。 一応文学部に所属する助教でしたが、担当授業や会議の出席義務はなく、シフト制で、研究室もありません。基本的には大学の学習相談窓口に在席し、学生と関わりつつ、ピアサポートや学びに関する企画実施、研究をすることが主たる業務でした。(詳細は論文もぜひ) 任期は3年(希望して承認されれば+2年

          職が変わったことの報告

          献血のすすめ

          ※この記事は,みんなの北星Advent Calendar 2022の1日目の記事です。(1日目といいながら限りなく2日目に寄った公開時間になりました) 突然ですが皆様、献血したことはありますか? 献血とは、己の血液を寄付するボランティア活動です。 何を隠そう私は献血を趣味としております。今の住処の最寄り駅そばにも、献血ルームがあることを引っ越し前に確認したくらいです。 ※ただし、献血車での献血経験がありません 献血を始めたきっかけ私が初めて献血をしたのは18歳、札幌で

          献血のすすめ

          自殺の予防か防止か対策か

          自殺と言葉日本において、「自殺予防」と「自殺対策」は各々の考えや文脈によって使い分けられています。 私自身もなんとなくですが感覚的に使い分けたり、好んで「自殺予防対策」を使うようにしたりしています。しかし、他の方はどういう意図で使い分けているのか(あるいはいないのか)、どのように使い分けるべきなのか、といったことについては、明確に言語化したことがありませんでした。さらに私はほとんど使いませんが、「自殺防止」という言い方もあります。 これから自殺について学んだり関わったりしてい

          自殺の予防か防止か対策か

          こなれた出張を目指したい

          コロナ禍での移動制限が緩和されてきた現在、学会や講演会なども対面形式に戻ってきました。そのため、所属先に留まらずに移動して仕事することも増えてきました。 私は、各地の大学に出向いて自殺予防教育を実施し、その効果を検証するという研究を長らく続けています。学会発表にも積極的な方なので、研究において出張機会は(フィールドワークを行う研究者ほどではないと思いますが)比較的多いです。 その他、居住地とは異なる地域での非常勤をいくつか掛け持ちしていることもあり、出張先に滞在する期間は短

          こなれた出張を目指したい

          情報サイト「有名人が亡くなったら」を公開しました

          有名人が亡くなったときに、報道の悪影響に対する懸念の声や、メディア関係者への注意喚起は聞いたことがあっても、私たち一視聴者やファンは、どのように「有名人が亡くなったことそのもの」(≠報道)を受け止め、どのように日々を過ごしていけばよいのか、今まで情報を手に入れることは、ほとんどできませんでした。 2020年からこのテーマに取り組んできましたが、ようやく少しまとまった情報として提供できるようになってきました。 このサイトでは、できるだけ分かりやすく、下記の内容を解説しています

          情報サイト「有名人が亡くなったら」を公開しました

          Reflection of Suicidal Ideation in Terms Searched for by Japanese Internet Users

          NPO法人OVAで取り組ませていただいている研究のShort Reportが、オンライン公開されました。 Asumi Takahashi, Hajime Sueki, & Jiro Ito. (2022). Reflection of Suicidal Ideation in Terms Searched for by Japanese Internet Users. Crisis. https://doi.org/10.1027/0227-5910/a000854 自殺

          Reflection of Suicidal Ideation in Terms Searched for by Japanese Internet Users

          有名人の死後の心理的影響およびグリーフワークに関する文献展望

          熱心に取り組んでいる研究の第一弾であるレビュー論文がようやく手元に届きました。(発行日は2/28になっていますが…) 髙橋あすみ・大井瞳(2022)有名人の死後の心理的影響およびグリーフワークに関する文献展望. 心理臨床学研究, 39(6), 564-574. 心理臨床学研究はオープンではないため、この分野の研究にご関心をもっていただける方には、それほど数はありませんが別刷をお送りいたします。多くの方に読んでいただきたいです。 共同研究者は、同じ志をもつ大学院時代からの

          有名人の死後の心理的影響およびグリーフワークに関する文献展望