父の近づけない場所と、人生の目標
#大学生〜大学院生
父が言うには人生は8回だか6回だかの繰り返しで、その間に達成すべき目標があるらしい。
そしてその目標は自分で見つける必要があり、困難な道でもあるらしい。
父が言うには、
父には近づけない、近づきたくない場所があるという。
具体的に言えばそれは、
「高層ビルに囲まれている狭い車道」
だそうな。
その理由は不明。
なにはともあれ、そのような場所が苦手であることに、最近父は気づいたのだ。
だから一緒にこれを克服する方法を考えようという話をしてきた。
「これが解決できれば、きっと色んな人が助かる。それ自体が俺の目標かもしれない。」
と。
ぼくとしては言いたいことがたくさんあったが、
とりあえず問題を次のように解釈した。
「一般的に特定の場所に対する苦手意識を解決するにはどうすればいいか。」
他のことはとりあえず置いておくことにした。
最初から一般的な方法を考えるのは難しいので、
まず特解の1つとして、父の苦手な場所を解決するべきだと思い、
その場所が苦手である原因の究明をするべきだと言った。
そして、具体的にどういった条件なのか詳細に考えるべきだとも付け加え、いくつか質問をした。
周りの高さだけの問題なのか? -> 多分違う
道路の幅だけの問題なのか?-> 多分違う
道路の幅と周りの高さの比の問題なのか? -> 多分違う
歩道は? -> 感じない
具体的に不快感を感じるのはどこか? -> 新宿とか
澁谷は? ->そんなに
池袋は? ->感じる
映像だけでも不快感を覚えるのか -> 全然感じない
適当だったがこんなことを聞いた気がする。
とにかく新宿と池袋が部分的に嫌いだということ以外はなにもわからなかった。
原因がはっきりしないので、クリティカルな解決策は導けなさそうだと思った。
それならば、安易に思いつく解決策は1つしか無かった。
「とにかく、苦手な場所に行きまくって慣れるしかないかもね。
怖がる理由がないと自分が無意識レベルで学習するまで行けばいいんじゃないかな」
しかし父はこう返してきた
「いや、苦手だから行きたくない。」
なるほど、それは難しい。
そして自身に思い当たる原因や解決策がないのか聞いてみたところ、このように言ってきた。
「たぶん、前世の記憶のせいだと思うんだよね。」
ここでようやく合点がいった。これが伝えたかっただけなのだと。
父は続ける。
「前世の強い記憶が無意識に苦手意識を持たせていて、それを克服するのが人生の目標なんだ。」
更に続ける
「今まで、仕事でも色んな人をみてきたけど、みんなきっと前世の記憶のせいで、苦手意識を持ってたりする。だからそれを解決したいんだ。そうすれば、人生の目標も解決できるはずなんだ。」
いろいろ意味不明だったので。詳しく話を聞いた。
ここで人生の目標やら、カルマやら、8回の人生やら、そういう話を聞いた。
要するに父が考えはこういうことだった。
人生は8回繰り返される(同じかどうか、時代の前後は不明)
8回を通して達成すべき目標がある(設定者、内容は不明)
8回のうちに目標を達成すると、所謂天国的なところに行ける可能性がある。
父としては天国に行きたい
苦手意識、トラウマを克服することが、目標達成と密接に関連している気がする
だから楽に克服したい
きっと苦手意識、トラウマは前世のせいだ
どうにか前世の記憶を深層心理から消す方法がないのか
ということだった。
ぼくは、全体的に疑問が多かったが、
とりあえず、何をどう考えても5以降はおかしいと思った。
仮に輪廻転生があるとして、
苦手意識、トラウマが前世で植え付けられたとしても、
目標達成と密接に関連している可能性は不明である。
というのも、
仮に人生の目標が設定されているとすると、
それは1回目の人生の前になされるべきものだと思ったからである。
しかしながら、8回あるうちの人生を前後半に分けて、
前半で課題を得る。
後半で解決・克服をする。
といった目標設定の可能性も否めないのは確かである。
しかし、なにかを克服すること自体が神もしくは自身が定めた目標だとするならば、
それ相応の苦労をすべきであり、楽をしてなんて発想はおかしい。
あるのか知らないが、そもそも前世の記憶を消してしまったら、
苦労して前世でゲットした課題がパーになるので、せっかく得られた課題を失くしてしまうことになる。
父の立場にたち、全知全能の神が目標を設定するとするとしても、
現世において、楽をして克服することで、目標を達成できるような仕様にするわけがない。
だからぼくはこう伝えた。
「何かを克服、会得したいなら、それなりの努力をした方がいいんじゃないかな。」
「楽をしようなんて、思ってる限り克服なんて出来ないと思うよ。」
父に伝わったのかしらないが、
「君にはわからないと思うけど、これはカルマなんだよね。」
といっていた。
確かにわからなかったので、ぼくは自室に行き就寝した。
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