冷凍だから、袋を開けた瞬間、香りが溢れてくる「冷凍キノコ」の実力。
文・撮影/長尾謙一
【モンテベッロ 冷凍きのこシリーズ】
いつでも香りと歯ごたえのいいポルチーニ、ジロールを使いたい!
イタリアをはじめ海外から航空便で届く生の〝きのこ〟の価格は気になるところだ。「モンテベッロ 冷凍きのこシリーズ」がこのストレスから解放してくれる。
モンテベッロ フローズン・ポルチーニ・ホール
モンテベッロ フローズン・ポルチーニ・ダイスカット
モンテベッロ フローズン・フィンフェルリ(ジロール)
(素材のちから第43号より)
一般的に、素材は冷凍せずにできるだけフレッシュな〝生〟のものを使った方が香り高く食感のいい料理ができるが、どうやら〝きのこ〟の場合は違うらしい。〝冷凍〟のポルチーニとジロールを使ってその香りと食感を試してみたい。
オーナーシェフ 今井 寿 さん
きのこは〝生〟より〝冷凍〟の方が風味が高いという事実
〝冷凍〟きのこを使ったメニューの試作をお願いしたのは「タベルナ アイ」の今井シェフ。
シェフは、きのこ類を冷凍して使うそうだ。〝冷凍〟することによって繊維が壊れ香りが出る。だから絶対に〝冷凍〟の方が風味もあるし味もあるという。なので〝生〟を仕入れた時にはすぐに冷凍するか、炒めてソフリットにして冷蔵保存する。
〝冷凍〟きのこを炒める時には凍ったままか、溶けはじめてドリップが出るギリギリの半解凍状態で炒めれば、ドリップもそのまま料理に取り込めるのだと教えてくれた。なるほど、そういうことか!
試したのは、モンテ物産(株)が輸入する「モンテベッロ」ブランドの「フローズン・ポルチーニ・ホール」と「フローズン・ポルチーニ・ダイスカット」、そして「フローズン・フィンフェルリ(ジロール)」だ。
〝冷凍〟のポルチーニは袋を開けた途端に香りが流れ出る。凍っているにもかかわらず香り高い。傘が厚く、開いていないし虫食いもない。形が綺麗だ。妥協しないで丁寧に選別されている。冷凍状態もよくバラ凍結だから使いやすそうだ。
〝冷凍〟のポルチーニで素材が香る料理を楽しむ
まず「フローズン・ポルチーニ・ホール」で〝ポルチーニのグリル〟をつくっていただいた。
グリルされたポルチーニの香りはぐんぐん広がってくる。トリュフ、松茸と並び世界の三大きのこと言われるだけあって、この独特の香りがたまらない。香りだけでもワインが飲める。半解凍のまま切ってグリルしているが、まったくドリップが出ていない。ずんぐりと厚みがあり、噛むごとにポルチーニの香りと旨みが口の中に溢れ出るようだ。
食感はプリプリして歯ごたえがいい。ポルチーニのこの豊かな風味が〝冷凍〟によって繊維が壊れているからだという説明にも合点がいく。
次は「フローズン・ポルチーニ・ダイスカット」を〝ラビオリ〟にしていただいた。
ポルチーニとクリームチーズのシンプルな組み合わせだが、生地の中に閉じ込められた風味の凝縮感がたまらない。生地が香りも包み、口に入れると一気に香りがふくらんでくる。ポルチーニの味が濃い!
最後は「フローズン・フィンフェルリ(ジロール)」を使った〝タリオリーニ イン ブロード〟だ。
〝冷凍〟すると折れたり割れたりするものだが、このジロールは形が綺麗で存在感がある。比較的風味が淡白なジロールは食感を楽しむきのこだから、チキンスープの中でレバーとの旨みの絶妙なマリアージュが成立している。
なるほど、久しぶりに〝素材が香る料理〟が楽しめた。このクオリティを使いたい時に、使いたいだけの量を無駄なく使える。「モンテベッロ 冷凍きのこシリーズ」の実力はかなり高いと言える。
(2021年12月28日発行「素材のちから」第43号掲載記事)