手づくりグリーティングカード11:すばらしきラバースタンプPerlenfischer
グリーティングカードづくりになぜスタンプを使うのか。
わたしの場合、その理由は、以前にもお話ししたとおり、スタンプを使えば短い時間でカードを仕上げられたり、同じカードをつくりやすかったりするからなのですが、ただ純粋に、スタンプを使うのが楽しいからという理由もあります。
「楽しい」はハンドメイドで何よりも大切なことです。
今回は、わたしの手づくりタイムを何倍にも楽しくしてくれている Perlenfischer のスタンプについてお話ししたいと思います。
ドイツのラバースタンプ
Perlenfischer (perlenfischerdesign.de) は、2008年にKatjaさんという方が始められたラバースタンプ(ゴム印)専門店です。現在(2023年10月)、オンラインショップのほかに、ドイツのフランクフルト、ケルン、ハイデルベルグに実店舗があります。
お子さんのお誕生日パーティーに招待状をつくりたくて、でも「シンプルでビューティフル」なスタンプが見つからず、ご自身でデザインを始められたのだとか。
ウェブサイトにはこうさらりと書いてあるのですが、頭の中にあるアイデアを実際のスタンプという形にするまで、ひいてはショップをオープンするまで、その過程はきっとそれほどシンプルではなかったことでしょう。
イチョウの縁
わたしが Perlenfischer と出会ったのはパソコンの中。「イチョウ」のスタンプを探してネットサーフィンをしていたときのことです。イチョウはわたしにとっていろいろな思い出のある木です。
いつくかあった中で、いちばん気にったのが Perlenfischer のものでした。そこからウェブサイトにたどり着き、訪ねてみると、どうやらドイツのお店のよう。
かの国にもイチョウの木があるのだと知り少し驚いたのですが、それよりも何よりも驚いたのはショップにずらりと並んだスタンプの数。何百個とあります。
しかも、すべてラバースタンプ。クリアスタンプに押され気味のクラフト界に昔ながらのラバースタンプ専門店を発見したことも驚きでした。
美しいデザイン、ユニークなモチーフ
ページをたぐれどたぐれど現われてくるスタンプに目を通し終えて、大きなため息。
花や植物のスタンプは繊細で美しく、動物や昆虫はシンプルながらも温かみがありユーモラス。毛糸玉や鍋や鍋つかみといったほかでは見たこともない生活用品のモチーフもウィットに富んでいます。
どれも絵本から飛び出してきたような素朴なかわいらしさがありながら、甘すぎず、モチーフのセンスもすばらしい。
恋に落ちました。
持ちやすく、押しやすい
困ったのはラバースタンプの品質がオンラインショップではわからないことです。値段もけっして安くはありませんし、海外から取り寄せるのも勇気がいります。
しばらく悩やんだ後、はるばるドイツから届けられたスタンプは、果たして期待どおりの、いえ、それを上回るスタンプでした。
スタンプの台木(持ち手)はノスタルジックな木製で、手に馴染みます。
大き目サイズのスタンプの台木には指を置く場所にくぼみがつけられ、小さいスタンプのほうは、つまみやすい「どんぐり型」。これは見ているだけでも楽しくなるユニークな形です。
印面にも工夫が見られます。
インクをつける印面は硬いラバーで、このラバーと台木の間に薄いスポンジが挟まれています。このスポンジが適度なクッションとなり、スタンプがきれいに押せるようになっているのです。
モチーフのデザインだけでなく、スタンプに使用されているすべての材料や仕様が優れており高価なのも頷けました。
限りなく繊細な線
Perlenfischer のスタンプは「シンプルで美しい」と言われるとうれしい、と Katjaさんは おっしゃっています。
でも、シンプル=単純ではありません。
例えば「にんじん」のスタンプは、縦2㎝ほどの小さなスタンプなのですが、葉の部分は針先のように細かな線で描かれています。初めてこのスタンプを押したときには、その細かさに目を見張りました。
このような巧みな表現ができるのも、スタンプに使用されている高い品質の材料と職人技の証です。
サステナビリティを大切に
スタンプは、サステナビリティのために、すべてドイツ国内でつくられているそうです。
オンラインショップから届く小包の箱は段ボール製で、スタンプも紙袋の中に納められ、パッケージングはすべて紙。プラスチックがまったく使われておらず、環境への配慮がうかがえます。
もし Perlenfischer とめぐり会っていなければ、これほどグリーティングカードづくりを好きになることもなかったかもしれない。そんなふうに思えるほどたくさんの魅力のつまったスタンプです。