手づくりグリーティングカード③:スタンプの世界/ラバーandクリア
ぺたんと押すだけですてきなイラストが描ける。
美しい文字があらわれる。
白いキャンバスを瞬く間に一枚のアートに変身させてくれるスタンプは、まるで魔法使いのよう。カードづくりにはこの上なく頼りになる相棒です。
そして、わたしは紙にスタンプを押すという作業、そのものも好きです。
スタンプを紙につける瞬間のドキドキや、紙に絵が文字が映された瞬間の喜び。スタンプには、それを押す人を童心に還らせてくれる不思議な力があると思います。
才能豊かなアーティストの手によって描かれた絵やデザインの美しさや、それをスタンプというわたしたちが日常で使えるツールにしてくれるクラフツマンの技。
スタンプのひとつひとつに、いくつもの創造とスキルが凝縮されています。
魅力いっぱいのスタンプ。
クラフト用のものは大きく分けて、ラバースタンプとクリアスタンプの2種類があります。それぞれの特徴についてお話しします。
ラバースタンプとは
昔ながらのスタンプ
ラバースタンプはゴム製の印面があるスタンプです。お名前印や住所印などお馴染みのスタンプもこれにあたり、ゴム印とも呼ばれています。
ゴム印、ラバースタンプ、いずれの呼び方でもかまわないと思いますが、ここではクラフト用のものはラバースタンプと呼び表すことにします。
良いところ
ただインクをつけて押すだけですから、作業がとても楽です。
ラバーの質にもよりますが、スタンプ専門の会社によって制作された上質なラバースタンプは、しっかり押しても印面が崩れず、押しやすいです。
細かな線が美しいのもラバースタンプの特徴で、わたしが好きな Perlenfischer (perlenfischerdesign.de) のラバースタンプは、毛髪より細い線まで見事に表現できます。
ラバースタンプにはたいてい台木(持ち手)がついています。(印面のみのラバースタンプについては別の機会に。)木製の持ち手は手になじんで、押しやすいです。
クリアスタンプより丈夫で、耐久性があると言われています。
ちょっと困ったところ
ラバースタンプのマイナスポイントは、なんといっても狙った場所に正確に押すのが難しいというところです。印面は不透明なゴム製ですから、紙に押すときには「だいたいこのあたりかなぁ」と、勘を頼りに押さなければいけません。
押し直しをすることもほぼ不可能です。インクがかすれてしまったときなど、もう一度押し直せたらと思うことがあります。ですが一度目でも正確な場所に押すことが難しいのに、その寸分たがわぬ所へ再び押すのは宝くじに当たる確率に近いというもの。ラバースタンプは一度きりの勝負! そう思うと、緊張から手があらぬ方向にいってしまうことも。
使用されている素材や製造過程ゆえに、高品質なラバースタンプは値段が高くなります。安価なラバースタンプもありますが、それは往々にして品質と比例しています。
台木がついている分、保管スペースもかさばります。
クリアスタンプとは
21世紀のスター
クリアスタンプはその名のとおり、クリア=透明のスタンプです。ラバースタンプより歴史は浅いながらも、今やクラフト用スタンプととして圧倒的な存在感を誇っています。
クリアスタンプはおもにフォトポリマーやアクリルやシリコンなどを原料につくられています。わたしの持っているものの中には pvc(ポリ塩化ビニル)という表示もあります。
フォトポリマー製が最良質だと言われていますが、素材表示がないかぎり原料を特定することは難しいかもしれません。
良いところ
ラバースタンプの「困ったところ」をすべて解消してくれているのがクリアスタンプです。
クリアスタンプは印面だけのもので、ふにゃふにゃとしています。そのままでは使えませんので(実証済みです)、押すときには「アクリルブロック」と呼ばれる台や、「スタンプ・プラットフォーム」なる専用のツールが必要ですが、これらはすべて透明です。スタンプを裏にしても印面が透けて見えますから、押したい場所に正確に押すことができます。
スタンプ・プラットフォームを使えば、押し直しも可能です。
クリアスタンプは製造がしやすく、そのぶんラバースタンプより低価格なのもクラフターにはうれしいところ。クリアスタンプはシート状になっており、何個かセットになって売られています。わたしがよく使うメッセージのクリアスタンプは、シートに30個もずらりと並んで、それでいて値段は上質のラバースタンプをひとつ、ふたつ買うのと同じくらいです。
薄いシート状ですから、保管スペースもさほどとりません。
ちょっと困ったところ
前述のとおり、クリアスタンプのみでは使えません。アクリルブロック、またはスタンプ・プラットフォームを別に購入しなければいけません。
スタンプ・プラットフォームは、近頃は大手通販サイトなどでも見かけるようになりましたが、クラフトブランドのものは高価です。
スタンプを押す前に、アクリルブロックやスタンプ・プラットフォームにセットするひと手間が必要です。
収納時にも手間がかかります。クリアスタンプを使ったあとは、アクリルブロックなどからはがし、また元のシートに戻して保管しなければなりません。
小さい、あるは細い線のあるスタンプはやや押しづらいと個人的には感じます。力を入れると印面が崩れやすいようです。
素材の性質上、クリアスタンプは熱に弱く、また、ラバースタンプに比べると劣化が早いと言われています。
次回につづきます。
さらにスタンプについてお話しする予定です。
※見出し写真のカードのつくり方は、以下でご紹介しています。
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