壮大な夢物語 #2『インセプション』

2010年公開。『ダークナイト』の快進撃の後に『ダークナイト ライジング』とのバットマントリロジーの間を挟んで公開された今作。
主演にレオナルド・ディカプリオを据え、トムハーディー、渡辺謙、そして後に『オッペンハイマー』で作品賞と主演男優賞を獲得するタッグのキリアンマーフィーもダークナイトシリーズから続いてキャスティングされています。

後の『インターステラー』と並び監督の科学考証を交えながら時間軸を操り、スパイアクションを足しながら、リアリティを描いているようで実はこの映画内と同様に一度浮かんだアイデアを限界まで膨らませたような、そんな”空想化学アクションSF”のような監督の味が出たまさに出世作。そしてもちろん映像は当時とても話題になったり、傑作の呼び声も高い名作になりました。

おそらく私は一回ほどしかこの映画を見ていなかったので、とても頭でっかちになり、なんだか複雑な映画だったようなという印象を描いていたのですが、見返したところそこまで複雑な要素はなく、監督のここ最近の作品群と比べれば結末などもすっきりした印象でした。
それよりもむしろ今回味わいたかったのは監督らしい緊張感のあるアクションだったのですが、逆に少しハードルの高い設定を敷くことで集中が持続しながら映画を見ることができるし、やはりあの大袈裟な映像と音楽が相待って重量感も増してとても楽しい体験になりますね。

しかしそんなお話の核はというと、主人公が潜在的に忘れられないでいる妻との別れを目指すというだけといえばだけのお話。
そんなともすればくだらないような話を壮大に写すことができるのが改めてクリストファー・ノーラン監督の魅力だと感じました。

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