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黒を用意する。

   

   

     
  
昔買った「自殺マニュアル
と言う本が有るんだけど、
 
   
私はずっと大切に持っている。
 
 
それは別に自殺したくなったとかそういうのは
全然無くて(もしかしたら無意識にあったかもしれないけど)
私は身近に自殺で亡くなった人が居て、
どうしてだったのか、とか、
死ぬ時、どうだったのか、とか
純粋に知りたかったから。
 
 
私は死んでいい人なんて居ない、
と思っているんだけど、
    
 
でも、人は皆いつかは死ぬよね?って言う。
 
 
以前、友人が母親に、
「おじいちゃんだってもう90歳近いし、
そろそろ黒(喪服)用意しておきなさい。」
 
と言われ、
 
「そんなの、おじいちゃんが死ぬの待ちわびてるみたいで嫌だ!」
 
とケンカになった事があるらしい。
 
 
気持ちは分からないでもない。
友人にとっておじいちゃんは大切な人で、死んで欲しくないと思うのは当然だ。
 
 
だけど、人はいつかは死ぬのだ。
 
    
しかも突然。
悲しいとか涙が出てくるとかそんな事を思う間もなく、ただただ驚き、
頭が真っ白になる、
何も考えられなくなる。
 
と言うのが、私が死を目の前にした実感である。
 
 
そんな状態で喪服を用意するなんて難しいんじゃないかなとか思う。
 
例えばそれが親が亡くなったパターンだと、
   
喪服だけでは無く、
病院で亡くなれば、病室にはずっとおいて置けるわけではない、
親戚の誰に知らせたら良いか?とか、
葬儀は?通夜は?
        
泣いてる暇もなくどんどんやらなければ行けない事が押し寄せてくる。
 
    
準備をする事は、死ぬのを待ちわびるとか不謹慎とか言っても、
いつかは人は死ぬものだし、
準備したって、その人が亡くなるのが早くなったり、
かといって準備しないから遅くなるわけでもない。
     
  
大切な人を思うなら慌てずちゃんとお別れをする為に、
準備は必要なんじゃないかと思う。
      
    
   
で、私が持っている「自殺マニュアル」は
初めて読み終わった時に、
     
強い気持ちで生きたい、と思ってしまった。
 
  
私は辛い事が有ると、 
「死んだ方がマシだ」と思ってしまう。
      
だけど自殺マニュアルを読むと、どの自殺方法も簡単ではなく、
「生きてる方がマシかもしれない…」
と思ってしまう。
   
  
だから私はこの本はずっと大切に持っている。
    
   
   
死ぬとか生きるとか、
そんな事を時々考えていると、
子どもの頃に戻るような懐かしい感覚に陥る。
  
  
私は仕事をしたり、絵を描いたり、ブログを書いたり、
そうやって生きていても、無。
何も残らず死ぬのである。
    
     
それが、上手く説明できないけど、
子供の頃に戻るような、初心に戻っていくような懐かしい気持ちになる。
    
   

以前、老人ホームで介護をしている友人が、
 
「おじいちゃんおばあちゃんは
皆、赤ちゃんみたいでかわいいよ」
 
って言っていた。
     
    
ああ、帰っているのかもしれないなと思った。
   
  
私は、仕事をしたり、絵を描いたり、ブログを書いたり、
そうやって生きていきながら、
   
  
帰る。
     
    

  

   

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