
脊髄損傷と高圧排尿
脊髄損傷後の生活はさまざまな課題に満ちていますが、その中でも特に見過ごされがちなのが排尿に関する問題です。特に高圧排尿は、膀胱の健康だけでなく、腎臓をはじめとする全身の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。この記事では、脊髄損傷後の高圧排尿のリスクや対応策について分かりやすく解説し、皆さんの生活の質向上に役立つ情報をお届けします。
高圧排尿とは?
高圧排尿とは、排尿時に膀胱内圧が異常に高まる状態を指します。これは、脊髄損傷によって神経が損傷し、膀胱の制御機能が失われることで引き起こされることがあります。膀胱内圧が上昇すると、尿が逆流して腎臓にダメージを与えるリスクが高まり、最悪の場合、腎不全を引き起こすこともあります。
主な原因
膀胱の過活動:損傷した神経が膀胱を過剰に収縮させる。
排尿筋括約筋協調不全:膀胱が収縮しても尿道括約筋が弛緩しない。
カテーテル管理の不適切:尿道カテーテルが正しく機能していない。
不適切な排尿方法:手圧排尿(クレーデ排尿。膀胱にたまった尿を恥⾻上から⼿で圧迫することにより尿を排出する⽅法)、腹圧排尿(バルサルバ排尿。横隔膜や腹部の筋⾁を⾃⼒で動かせる患者が、腹圧を上昇させることにより膀胱にたまった尿を排出する⽅法、反射性排尿(下腹部など trigger zone と呼ばれる部位を⼿で叩き、排尿反射を誘発し排尿する⽅法。通常 10 回程の連続した叩打とクレーデ/バルサルバ排尿とを併⽤し、これを繰り返し数分間かけて排尿することが多い。)
高圧排尿のリスク
高圧排尿のリスクを理解することは重要です。以下の症状や兆候に注意してください。
膀胱の変形(下写真参照)
膀胱の柔軟性の低下
尿路感染症
腎盂腎炎
腎不全
尿路感染症の場合は一気に高熱が出ますのですぐに主治医もしくは看護師に報告をしてください。

高圧排尿への対処法
医療的アプローチ
定期的な膀胱内圧測定:膀胱の健康状態を把握するために必要です。
適切なカテーテル管理:自己導尿や留置カテーテルの使用について、医師と相談しながら管理を徹底します。
過活動膀胱を抑える薬物療法:薬が有効な場合があります。
自分でできるケア
水分管理:過剰摂取を避けつつ、適度な水分を摂取する。
定期的な排尿スケジュール:規則的な排尿を心がけ、膀胱の過剰な負担を防ぐ。
社会的な課題と啓発
脊髄損傷者が直面する排尿の問題は、個人の努力だけでは解決できません。医療機関でのサポートが欠かせません。また、高圧排尿のリスクを理解してもらうための啓発活動も重要です。
読者の皆さんも、ぜひ身近なところから意識を変え、脊髄損傷の排尿についての理解と支援を広める行動を起こしてみてください。
高圧排尿への適切な対応は、長期的な健康を守るための重要な一歩です。
この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。皆さんの生活が少しでも快適になるよう、これからも役立つ情報をお届けしていきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
脊髄損傷における下部尿路機能障害の診療ガイドライン [2019年版]
こちらの診療ガイドラインのp70に詳しく載ってますのでご参照ください。
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