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【4分で解説:絵問題】PTOT国家試験 脊髄損傷領域 第48回 PM-問題17 #せきそん国試
今回は第48回PT国家試験の午後:問題17を解説します。
今回は完全損傷者の移乗動作の獲得上限を問う問題です。
おそらく迷うのは”2”と”3”じゃないでしょうか?
この問題文にはZancolli分類の記載は無いので
C6=上腕三頭筋が効かない C7=上腕三頭筋が効く
と考えてもらうと分かりやすいかと思います。念の為にZancolli分類を載せておきます👇
ここで唐突ですが、皆さんは側方移乗(サイドトランスファー)には2タイプの方法があることをご存知でしょうか?
■前傾タイプ
体幹を前傾し頭部を前方に移動させることで、プッシュアップの際に臀部を挙上させやすくする方法です。この方法の問題点として、体幹の過度な前傾により倒れ込みのリスクが高くなることです。前傾タイプはプッシュアップの際に肩関節軸が前方へ移動しても肘関節の伸展位固定(いわゆる肘のロック)が可能なレベル、つまり上腕三頭筋が効くC6BⅢ以下の頸髄損傷者で広く使われます。
■直立タイプ
側方移乗において最も危険である前方への倒れ込みを極力起こさないようにしたいので、通常であれば前方移乗を目指すレベル、つまりC6レベルで言うとC6BⅡ、C6BⅠのような頸髄損傷者が、リハビリテーションにより肘関節の伸展位固定がしっかりと保持できるようになれば、プッシュアップの際に肩関節軸が前方へ移動しないようにコントロールできてきます。そのため前傾タイプよりも体幹の前方への倒れ込みが少なくなるのが直立タイプのメリットです。
直立タイプで側方移乗を目指すのはC6BⅡ、C6BⅠといった上腕三頭筋が効かず(肘関節の伸展筋力が弱く=MMT0-2)、体幹を前傾すると肘関節の伸展位を維持できないような頸髄損傷者で目指します。
このように2タイプがあります。これを知っていればこの問題が解けます。
ではもう一度、問題の絵を見てみましょう👇
この絵の側方移乗は前傾タイプの移乗方法です。なぜかと言うと頭部や肩関節軸が身体重心位置よりも前方にあることが分かります。この場合、両上肢(肘関節)には屈曲させようとする力が働きますので、この姿勢を維持するには上腕三頭筋の作用が必要不可欠となります。
なので
正解は 3.C7 となります
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