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「長男の読書傾向は間違ってなかった」

できるだけ本好きになるように、長男が自ら読む本については何も口を挟まないようにしていたが、学校から借りてくる本は「なんじゃ、こりゃ」というものが多かった。
彼が借りてくる本は、様々なものの断面図解の本とか、ミイラの絵が描いてあった本とか・・・(^_^;)
もっとおもしろい物語とかいっぱいあるだろうに・・・と思ってしまう親心。

その中でもよく借りてきていたのが、当時自他共に認める「ドラえもん」愛好家の長男らしく、「ドラえもん」ファミリーが案内役の、からだのしくみをおもしろく教えてくれるシリーズものの学習漫画だった。

もちろん本人自身でも読んでいたが、いつぞやは寝る前の読み聞かせにこの本を頼まれた時は、あとあと後悔することに。
気分を出すためについ、ドラえもん・のび太君・しずかちゃん・ジャイアン・スネ夫の声色をまねしながら読んでしまったのだ。我ながらお調子者の母親である。

しだいに声がガラガラになってきて、つらくなってきて、でもやらずにはいられない性分の私。
別の日にまた「ドラえもんの、読んで!」といわれた時はさすがに「他のにして!」と断ってしまった。

ある日突然長男が「ねえ、お母さん。どうして食べ物は肺に入っていかないのか知ってる?」と聞いてくる。
う~む…確かになぜだろう??と、根っから文系の私は改めてしくみがよくわからずに食べたり飲んだりしていた。そういうものだと何も考えていなかった。

なので「さあて、どうしてかな?」と正直に言うと長南が、
「あのね、食べ物が咽頭に少しでもあたると喉頭蓋(こうとうがい)が自然と閉じて、肺の方に入っていかないようになっているんだよ。」と得意満面に言うのだ。
難しい言葉が長男の口からスラスラ出てくるので一瞬ビックリしたが、
「はは~ん、例のドラえもんの本のおかげか!」と納得しつつ、伊達に読んでなかったんだなあと感心した一幕だった。

この頃の親としての私は、本当に未熟だったと今更ながらに思う。
彼は彼なりに自分の興味を素直に追求し、自分の好きな分野の知識を広めたがっていただけだったのに。

やっぱり「好きこそものの上手なれ」
自分で選んでおもしろく読んだ本だからこそ、頭にもしっかり入っていってるのだなと、読書のすごさを改めて感じた。
もう、なんでもいいや、どんどん本を読んでおくれと願ったのである。

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