
父の血
あけましておめでとうございます。
2022年は変化の年。
息子の小学校入学、ネイビー一色の日々。
私の転職、次男の幼稚園受験の準備開始。
目まぐるしく過ぎていった下半期は、なかなか筆が進まず。
#note書き初め
という便利なタグとともに、また思ったことをチラリと。
夫の子煩悩
私の夫はすごい。
惚気ではなく、子にとっての父として、こんなに献身的な人はいない、と本当に尊敬している。
子に対して面倒だと思うことがないのだろうか、いつかストレスで倒れるのではと心配になるくらいだ。
毎日欠かさず、長男の縄跳びや鉄棒の練習につきあい、
兄弟たちの習い事の送り迎えに車を何往復も走らせ、
やれ、仮面ライダー展だ、ウルトラマンショーだと見つけてきては兄弟を連れて行き、
冬はスキーだ、夏は海だと旅行を計画する。
今日も雪降りしきる中、兄弟の雪遊びに付き合っていた。
母は何をしているかといえば…暖かい部屋でnoteを書いている。
いや、もちろん遊びも習い事もやるし、母業はある程度こだわってやっている…と思う。
でも、寒い日に公園に行くのはやっぱり嫌だから、家の中でできる遊びに付き合いがちだし、
今日も、雪遊びをねだられた時は「氷点下だよ、明日明るい時にしたら…」と提案してしまった。(結果、夫がエスキモーのような格好で足取り軽く、連れ出してくれたというわけ)
なんというか、追加サービスのような気持ちになるのだ。100%望みを叶えなくても、代替案でも100点満点の満足になるんだから、そんなに無理しなきゃダメかな…という。
もともと出不精なのも相まって、そこまでしなきゃだめー?となる自分本位な私。
夫の献身を見ると、そんなのは言い訳に過ぎない、と思い知らされる。
そして、私って、私の父の子なんだなといやでも再確認させられるのだ。
父は王様
我が家で、父は王様だった。
芸術家に育てられた、これまた芸術家の父は、
誰かの為に我慢することも、誰かの言うことを聞くことも、ましてや子供のために尽くすなんてことも絶対にできない人だった。
父がダメと言えば絶対にダメ。
父の機嫌を損ねないように、
そして、父の機嫌を損ねて母に迷惑をかけないように、子供の頃の私は必死だった。
小さい頃に1度だけ家族でディズニーランドに行ったことがある。
父が起きるのを待って、十時過ぎに出かけた我々は、あんまり並んでない乗り物にいくつか乗って、夕方前には帰宅した。それを何にも疑問に思わなかった私は、数年後、友達家族と父抜きで再訪して、ここが早朝から気合を入れて来園し、並ぶのすら楽しみ、へとへとになるまで遊ぶ場所だということを知った。
今でも忘れない(そして母に今でも覚えてるってことは相当根に持ってるねぇ、と言われる)のは、おもちゃのレジ。
急に片付けのスイッチが入った父が、戸棚を整理し始めて、小さい頃に買ってもらった、私のお店屋さんごっこの大事なお供だったそれを見て、「もう使わないね?捨てるよ?」といった。私はまだまだ遊んでいたのに、嫌といえず頷いてしまった。
それから何度も「あの時、まだ使うっていえば遊べたのに…」とごっこ遊びの度に思い出し、落ち込んでいた。
けど、嫌という選択肢なんてなかったのだ。
ふと気づく父の影
パパ嫌いー!なんていう思春期が許されないまま、
大人になった今、父とはここ数年色々あり、最低限の関わりしかもたない距離となった。
父がひどい父だったとは思わない。
(ここ数年は別として)
そういう時代だったんだと思うし、
父もそう育ったんだと思う。
ただ…
あの時嫌と思ってもいえなかったこと、
守ってあげられなかった幼い自分のこと、
数十年の間に積もってきた様々な歪みがここにきて出ただけ。
でも、ふとした時に思うのだ。
あぁ、私はこの父に育てられたんだなと。
夕方、寒い中、雪だるまを作りたいと言い出した次男に、うわーめんどくさい、やだなーと思う時。
これはだめ、と注意して、小さな反抗を見せた長男に「何、親に口答えしてんの?はいっていいなよ」と小さなイラつきを覚える時。
子供のためならと労を惜しまない夫と自分を対比させると尚更思うのだ。
夫の父も仕事人間で、何かをしてもらった思い出は数えるほどしかないらしい。
義母はいつも、「反面教師なのよね、こんなに子供のためって何かやるのは。やって欲しかったんだと思うわ。」という。
私だって同じはずなのに、
なんで夫は、自分がしてほしかった分まで尽くしてあげようと思えるのか。
かたや私は、自分がしてもらえなかったのにと嫉妬してしまうのか。
血、なんだろうかと。
父を遠ざけようとすればするほど、
父の血をしっかり感じる出来事が増えていく。
子供が与えてくれる無償の愛は有限だから、
こちらが与えなかったらいつかは途切れてしまう。
私がそうだったように。
今からでも遅くないだろうか。
私は自分の意思で血を超えられるのだろうか。