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ぼくの地球を守ってをお勧めしたいのだ

某所で音声にてご紹介した私の大好きなコミック。
『ぼくの地球を守って』のご紹介台本です。
大体1巻から3巻までの大まかなあらすじを語っています。かなり昔の作品で、今となっては話題にあがることもありませんが何とか布教したいので、ここにも落としておきます。どうしても今話したい!と慌てて殴り書きしたものです。乱文失礼いたします。

こちらの作品は1986年から1994年にかけて月刊誌「花とゆめ」にて連載されたSF少女漫画となっております。
前世の記憶を共有する七人の男女が過去と現在を交差させて行くお話。
ではこの物語の重要な人物から。

物語冒頭から登場する本作ヒロイン「坂口亜梨子-サカグチアリス-」
彼女は内気な性格で、北海道から転校して来たばかり、友達とも中々馴染めず、知り合いもお隣の小学二年生、小林輪ぐらいしかいません。

彼女は小さい頃から植物や動物が大好きでした。何となく彼らの気持ちがわかるからです。
例えば、お母さんが頭痛そうにしていたら「あ、痛いのかなー」と、わかるみたいなそんな感覚です。

そしてもう一人の主人公「小林輪-コバヤシリン-」
何もかもが楽しくて仕方がない小学二年生!新体操とガムとイタズラが大好き!

高校に転入しても中々友達が出来ない亜梨子は偶然にも熱っぽい会話をする男の子二人を目撃します。
茶髪のイケメン「迅八-ジンパチ-」は意味深にこう言います。

迅八「どう考えても、普通じゃないよな…」

そこに黒髪美人系男子「一成-イッセイ-」は流し目で答えます。

一成「……そーゆーことに…なるの…かなあ…?」
迅八「なるさ!そうだろう…!?オレも…ショックだったけど…でも、お前の方が倍ショックだっただろ…?ゆうべ…俺達…!」

そして、頬を赤らめながら見つめ合う二人。
そうです。アレです。

と、勘違いしてしまった亜梨子でしたが、後日彼らは亜梨子に秘密を打ち明けます。

双子でも親戚でもない二人は毎晩同じ夢を見ていること。

そこでは迅八は「玉蘭-ギョクラン-」という男性で、一成は「槐-エンジュ-」と言う女性なこと。

そして二人が昨日の夢で、ベットインしたこと。二人は恋人でもない関係で、玉蘭は実は、別の女性にベタ惚れ。
二人がいる場所からはいつも地球が見えること。まるでスペースシャトルや月から見下ろしたような。

予想外の話に興味を引かれる亜梨子。
そんな彼女に迅八はさらっといいます。

迅八「なんだか坂口さんって、初対面って感じがしないだよな。」


そして実は、この時亜梨子ちゃんは輪くんの子守を頼まれている最中で、この話を輪は隣で聞いていました。

幼心にもちょっとしたジェラシーが芽生え、それをからかった亜梨子。輪は反抗的な態度で、その日亜梨子が買ってくれたクロッカスの球根を、ベランダからわざと落とします。

怒り出した亜梨子が軽く頬を叩くと、ベランダの柵に座っていた輪の体重がぐらりと外側に傾き、何とか引き上げようと叫ぶ亜梨子の手から、輪は落下してしまいます。

その高さ、15階。

半狂乱の輪の家族。
現実を受け止められない後悔。

輪は奇跡的に一命は取り留めたものの、頭を強く打って意識不明の重体。
自責の念で壊れてしまいそうになりながら

「こんな時だからこそ、家族みんなで頑張ろう」と支えてくれる亜梨子の家族。

ここのシーン本当にお母さんと弟の優しさと心の強さがジンときました。

そして亜梨子は強く強く輪の目覚めを神に祈ります。
その結果彼は奇跡的に目覚めることになりました。

今までは持って居なかった記憶も一緒に。


目覚めた輪は亜梨子を寄り一層強く慕い、亜梨子も輪の事を大切に思います。
その結果、彼は彼女に婚約を申し込み、亜梨子も受け入れます。輪は小学2年生、亜梨子は高校2年生。年の差にして9歳。

同時進行で
迅八と一成の夢を詳しく聞くことになった亜梨子。
彼らの夢は、まるで誰かの記憶をランダムに再生されているかのようで、毎日繋がっているわけではありません。
ただ、いつも同じ登場人物が7人いること。舞台は月。その基地や研究所のような場所に、どうやら7人の科学者がいて、地球のデータをとっているようです。

玉蘭、槐の他に
玉蘭が恋する女性「木蓮-モクレン-」
彼女は容姿端麗、才色兼備、沈着冷静、温厚博識、それでいて女性らしい丸みのある性格で、彼女に会った男はみんな彼女に惚れてしまうような誉れ高い生物学者。
そして不思議な力も持っている。所謂ESP。
彼らの世界にはそういった超能力みたいなものが普通に存在しています。

そして玉蘭の幼なじみの「紫苑-シオン-」
エンジニアリングの天才で、でも今にも非行に走りそうなツッパリ。正義感は人一倍強くて不器用。それでも何かにつけて優秀。だから玉蘭はどうしても紫苑を越えられないってコンプレックスを抱いている。そして、昨日の夢でどうやら紫苑は木蓮と「婚約」を宣言したらしい。

それにもう一人の幼なじみ、おっとりおじいちゃんタイプの「秋海棠-シュウカイドウ-」
槐の親友でもある活発サバサバ女子「繻子蘭-シュスラン-」
リーダーのぱっつんキノコヘア「柊-ヒキラギ-」

彼らの世界は今の地球よりも格段に優れた文明を持っていて、地球にはなんていうかノスタルジーみたいなものを感じています。まるで彼らの故郷の古き良き惑星みたいな。

ともあれ亜梨子は言います。
「他の五人も探せば現れるのでは?」と。

そんな状況の中でたった一度だけ月での夢をみる亜梨子。それは彼らの言うような地球の見える場所で、自分はブロンドの美しい女性。浅黒い肌の黒髪の男性と何やら会話しています。

まさか、…?自分が?
そんな訳ない。彼らの話に影響を受けただけだ、と亜梨子は自分に言い聞かせます。その事を迅八と一成に話すと、2人はとても興奮します。

その頃深夜目覚めた輪は不穏な動き。
家族が寝静まった頃超人的なパワー15階のベランダから軽く飛び降りたり、暴走族を空中に浮かせて脅し、脅迫を始めます。
彼の目的は「東京タワーを貰うこと。」

所変わって、元やくざ、建築業を営む所謂あっち系の会社でぼっちゃんのお世話を任されている厳つい系お兄さん田村は、近頃のぼっちゃんに不振さを感じます。暴走族でぶいぶい言わせていたはずなのに、今は部屋でめそめそ泣いているばかり。

タカシの現状を探るため、調査を始めた田村はとある手紙をもらいます。

「やっさしーい
タカシくんのマーマの田村さん
タカシくんをたすげたげてね。
タカシくんの親友のSくんより。」

このSくんとは、何を隠そう輪のこと。
輪はESP能力を使って、タカシの声色を再現し彼の舎弟に電話をします。命令は迅八と一成へのお礼参り。
この結果身に覚えのない襲撃で亜梨子まで巻き込まれ、怒った迅八のESP能力が発現。

その光景をみた輪は、彼が玉蘭の生まれ変わりに間違いないと確信します。

一方、田村には仲良くしている男の子が一人いました。風間春彦という少年で、小さい頃から病気がち。実は彼も例の夢を見ている一人でした。そしてその風貌は浅黒い肌に黒髪で、紫苑そのもの。

仲間を見つける事にした迅八達はとある雑誌の記事に月の仲間を募集、との広告を載せた所、柊から連絡がくることになります。
元柊の大介と元繻子蘭の桜、一気に5人が集まることになり。過去の話題を共有する会合が開かれることになりました。

みんなで話し合う中、
アレは来世ではなく前世の出来事だということ。
前世の彼らは異星人であったこと。
彼らは全員伝染病で死んだこと。
伝染病が流行った時ワクチンもなく、母星は最悪の戦争、星間戦争で吹っ飛んで、宇宙のもくずと消えていたこと。

取り残され、途方に暮れた彼らは話し合いをし、それは議論となり、思い出したくもない争いもしたこと。

会合では有益な情報の交換が出来たけれど、何もかもか良いことだったとは言えなかった。

「何故こうして転生できて、こうして君たちと出会えたのか、とてつもなく不思議に思うよ。」柊
と、柊は言いました。


そんな折、タカシくんの元に一本の電話が入ります。


「今から港のぼろビルに一人で来い」


泣きじゃくるタカシが一緒にきてくれ、と田村に頼むと

「とんでもねえ!!行くのはこの田村一人です!!」と堅気とは思えない田村が出陣。

春彦との食事をドタキャンし、廃ビルへ向かう田村を迎えるのはオーバーオールに帽子を被った一人の男の子。

田村「何やってんだ、ボウズ」
輪「いやだなあ、約束が違うよ田村さん。ボク、貴方を呼んだつもりはないんだけどな。」

咄嗟に攻撃のポーズをとる田村に不敵な笑みを浮かべた輪はいいます。

輪「手短にいうよ、これ、この設計図通りに作れって言い渡しておいて?わかった?
ふふ、今一状況に順応出来ずにいるみたいだね。常識って素敵だよ。こんなにもボクに味方してくれる。田村さんって優しいなぁ。子供たちの味方なんだね。あなたは強そうだけど、ぼくが子供だからどうしようか困ってる。」

田村「だ、誰かに命令されてるんだろう?そうだろ?」

輪「そう言うことにしてあげといてもいいけど、でも、こんなことされても、ボクのこといい子だって思ってくれる?大丈夫、殺しはしないよ。ボクはこれでも平和主義者なんだ。でも、あばらの2、3本は折らせて貰うよ。約束だからね。」

未だ嘗て見たことのない力を使って、動かずして攻撃してくる輪に甘んじて受けることしか出来ない田村。この子供がSであると、認めざるをえない。

田村の危機を察知して、すっぽかされたご飯屋さんで夕食を取っていた春彦はいつの間にか田村のいる廃ビルに瞬間移動をします。その時、空を飛んでいる輪と目が合い、次の瞬間輪は、消えていました。


緊急入院した田村のそばに落ちていた設計図。それを目にして春彦は驚きます。

春彦「夢で見たそのままの、月でみた設計図。でもあれは夢だ、夢なのに。」



再び行われた会合へ向かう亜梨子を待ち伏せする輪。デートの約束をすっかり忘れていた為、会合に輪も同行するはめになりますが、そこで衝撃の事実を知ることになる。

輪は自分も月のメンバーの一人。
秋海棠であることを告げます。
彼しか知り得ない状況を話し、自分が子供なのは転生が2度目であること。
一度目は幼くして死に、今回も亜梨子との事故で記憶が蘇ったことを教えます。

亜梨子は自分が引き金になったことを嘆き、たった一度しか夢を見ていない自分は木蓮ではない、と、会合も欠席し始めます。


断片的な月での夢を見続ける春彦。

激しい論争と絶叫、罵倒、嘆き、悲しみ、憎悪。玉蘭が死に繻子蘭も、柊も、槐も感染、そして息絶えた月基地。
木蓮が棺のカプセルの前でうずくまり、泣きながら言います。

木蓮「秋海棠、貴方は立派よ。私達、彼らの分までとことん生き抜いてやりましょう。ね」

秋海棠は紫苑に言います。

秋海棠「紫苑。どうやら私も感染したらしい。だが喜べ…というのも変な気分だが。やっとそれらしいものが出来たんだ。これで少しは君達も長えらえる…かもしれない。玉蘭達に心底感謝すべきだよ。さあ、そんな顔しないで腕を出したまえ、木蓮はどこに?これを打たないとね、急いだほうがいい。」

紫苑「…秋海棠…恥ずかしい……オレは君を酷く誤解していた…許してくれ」

抱き合う紫苑と秋海棠のヴィジョンを夢に見ながら、違う、…と汗だくで起きる春彦。
あの日みた空を飛ぶ少年の姿が頭から離れません。



田村のお見舞いに訪れた春彦。
何故あの場所が分かったのか?と問い詰められると、偶々だ、とお茶を濁し、話して欲しいと言う田村に、力なく…今度、話すよ、今度。と春彦は返します。

帰り道。
小さな男の子が一人、階段の角にたっていました。可愛らしい笑顔で話しかけてくると、移動しよう、と言った瞬間、場所はどこかの山奥に瞬間移動します。

輪「…ボクが誰だかわかる?
フフ、察しはもうついてるんだろう?
見てのとおり、ボクはまだ七歳の小学生さ。これについては君にこぼしたい愚痴が山ほどあるんだ。
久し振り。君には心底会いたかったよ。秋海棠」

輪に呼ばれた名前。
アレは、春彦の夢の中の名前。
違う、アレは、現実ではない。

認めたくない春彦と、事実を突きつける輪。

輪「前世で君は何をした。何もかもボクが推理してみせようか。君は木蓮には薬を打たなかったんだ。」

涙を流し、夢だ、現実なんかじゃない、と、床に倒れ込む春彦。そう、彼の前世は秋海棠でした。
そして、輪の前世は紫苑。それなのに二人の容姿は全くの真逆に転生していたのです。

秋海棠がみんなの遺体から発明したワクチンを、残される二人に打ったにも関わらず、秋海棠が死に、木蓮も死に、たった一人基地で生きていた紫苑は気付きます。
彼女の結晶から、ワクチンの反応が出なかったことを。


しかし春彦は反論します。
打たなかったんじゃない、打てなかった。ワクチンは一人分しか出来なかった、と。しかしそれを紫苑にだけ、紫苑を選択して打った。

理由は「紫苑が木蓮を汚したから。」

秋海棠もまた、木蓮を愛する男の一人でした。

しかし、二人の死後、紫苑は孤独の中9年1人で生きたといいます。みんなとの年の差の分、みんなの遺体に囲まれて味わった生き地獄を、9年。

彼女の遺言は「最後まで地球を見守って」
それは即ち、自殺すら、出来ない。

精神を壊し、狂いながらも紫苑は9年後にやっと発病した時、大声で喜んだと、輪は話します。

そして、生まれ変わったこの姿。
輪と春彦の姿は、まるで前世の2人を交換したかのように真逆。
春彦はまさか、紫苑に成り代わりたいとでも思っていたのか?あんなに憎んでいた紫苑に。それは同時に春彦も彼女を汚したかったということではないのか、と詰め寄る輪。

輪は、春彦に償いを要求します。

彼の本当の目的は今も月に残されているであろう「月基地を破壊すること」

それには当時のメンバー全員のキーワードを思い出して貰わなければならない。月には前世の文明の歴史があり、科学がある。

何故母星は消滅したか。

輪「ボクは地球を守りたいんだ。前世での歴史を繰り返さない為に。過ちは償われるべきだ。」



この後輪はどうなっていってしまうのか!
前世では何があったのか!
紫苑と木蓮の関係とは!

一応これって、SFサスペンスものになるのかどうなのか?…とね、これだけだと本当に冒頭の謎だけしか感じられないとは思うんですが、

この作品では
沢山の愛の形や、人間関係についても学べるようになっています。人間や、生きる事への真理に近しい疑問なんかも出てくることもしばしば。
今の私だってきっと、簡単には答えられない。それに、人はとても脆い生き物だと言うことも感じさせてくれます。

今の所現世での話しか出てきませんが、何故輪がこんなにも地球を守ろうとするのか?それは彼の前世で、戦災孤児として生まれたという生い立ちが深く関係しています。
神などいない、自分を守れるのは自分だけ。

そんな思想とは裏腹に、木蓮という女性は地球でいう神、サージャリムの為に生まれてきた特別な存在「キチェサージャリアン」と呼ばれる人間として、生まれてきます。

額に四つの痣を持って生まれる子供。
何もかも与えられ、全ての愛を注がれ、その余裕から他の人間にすら愛を配る女神さま。

と、思うかも知れませんが、キチェサージャリアンは3歳で親元を引き離され、完全に管理された生活を強いられます。
人からは無闇に妬まれ、まるで聖女とでも言わんばかりの扱いに苦痛を感じる木蓮。普通に、大切な家族とすら暮らせない。自由などありません。

遠くかけ離れた人間同士の二人。
何故こうなってしまったのだろう、つらい…。それなのに二人が出逢うのは運命であったと思いたくなる。
衝撃的なシーンや胸が詰まるエピソードもありますが、是非見ていただきたい作品です。


もし、興味をもたれましたら是非書店まで。

著者 日渡早記
「ぼくの地球を守って」のご紹介でした。

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