やっぱり苦手な児童精神科の先生
成長も伴ってか、自分の気持ちを少しずつ言葉にできるようになったぴぃ。
親以外の第三者の大人に、自分の不安な気持ちを打ち明けられるようになってきた。
学校の先生を含め、支援してくれている大人たちはみんな味方。
ぴぃの不安を受け止めて、大丈夫と言ってくれる。
ぴぃは吐き出すことと、受け止めてもらうことで「安心」を手に入れる。
・・・でも、
病院の先生だけは違った。
強迫性障害という診断を受けた時から通っている児童精神科の先生。
少しでも胸の内を言おうものなら、現実的な言葉ばかりが返ってくる。
決して、ぴぃがほしがる安心はくれない先生。
毎月通院して4年目となるのに、ぴぃは病院の先生をほとんど信頼していない。
診察に来ても自分のことを多くは話さないぴぃ。
ところが、「安心」を担保しておきたくなっているぴぃが、珍しく先生に自分の気持ちをたくさん打ち明けた。
ぴぃ「学校に行かなきゃと思うんですけど、行きたくないんです。体が動かないんです。でも、行かないと罪悪感に押しつぶされそうになるんです。毎日です。」
先生「入院してみる?」
ぴぃ「えっ!?入院!?」
先生「そう。入院して、院内学級に通ってみる?同じぐらいの年頃の子と触れ合って、一緒に生活するの。だってこのままじゃずっとお家の中じゃん。ずっとお父さんとお母さんだけじゃん。いなくなったらどうするの?ぴぃちゃんの周りの人はみんな優しいから、みんな「大丈夫」って言ってくれるかもしれないけど、このままだとニートになるよ。ニートでいいの?」
ぴぃ「・・・入院したら、自分のタブレットで絵を描けますか?」
先生「タブレットの持ち込みはだめ。院内学級のみんなと少しずつ勉強したりするの。だって高校はどうするの?勉強してないんでしょ?受験をしないと高校には行けないよ。このままだったら義務教育終わっちゃうよ。」
ぴぃ「・・・・・・・」
先生「ぴぃちゃん、部屋の外で待っててもらっていい?お母さんと2人でお話しさせてくれる?」
今にも泣きそうなぴぃが診察室を出ていった。
先生「お母さん、おうちで話し合いできますか?」
私「先生、高校については、通信制を考えてます。高校には行きたいという意思が本人にはあるみたいなので、通信制高校というものがあるとつい先日話したばかりなんです。通信制には受験しなくてもいける学校があるし、週1回登校すればよかったり、毎日通えるようになったらコースを変更できる学校もあります。とにかく、ぴぃのペースを大事にしながらと思ってるんで。オンライン授業もありだと…」
先生「結局それって、ずっと家の中にいる状態は変わらないってことですよね?ニートになっちゃいますよ?お母さんとお父さんが倒れたり、いなくなったらぴぃちゃん大丈夫ですかね?」
私「少しずつですけど、私以外の人との繋がりを持とうと頑張ってます。」
先生「とにかく旦那さんともちゃんと話し合ってください。」
私「・・・・・はい」
・・・そんな話の展開になるとは思っていなかった。
うまく整理できなくて、思ってることが半分も口に出せなかった。
診察室を出て廊下で待っていたぴぃは案の定泣いていた。
怒ってもいた・・・そらそうだ。
ぴぃ「入院なんかしたくない。」
私「びっくりしたね。あそこまで言われると思わなかったね。あくまで選択肢の一つ、どうしても入院しなきゃということでもない。」
なんとか言葉を搾り出そうとしているとぴぃは言った。
「もうやめよう。この話はしばらくしたくない。」・・・そらそうだ。
ぴぃと繋がってくれている第三者の人たちが優しくて、頼もしくて、心強くて、私も少し油断してた。
思わないように、考えないように、心の隅の隅のすみーーーーっこにしまっておいたモヤっとしたものを、無理にこじ開けられたような感覚になった。
いるだけで身を削ってしまう学校に行かせることが、ぴぃの幸せとは思えないと思ってきた。
ぴぃにはぴぃの良さがちゃんとあって、それは学校へ行かなくても培えたし、何よりちゃんと成長もしてる。
学校へ行くことが全てじゃない。
たくさん時間はかかったけど、ちゃんとそう思えるようになった。
でも、すみっこに隠していた不安・・・
モヤっとした不安を病院の先生に引っぱり出されて、しっかり根を張っていたはずの自分軸が大きく揺れた。
児童精神科の先生とはみんなこんな感じなのかな?
不安が強い患者に、大きな不安を振りかざして煽ってくる。
それが治療というものなのか。
ぴぃの何を診てどう判断して、その言葉たちが出たのか。
結局病院の先生も、ただぴぃに「甘えるんじゃないよ」と言っているだけな気がした。
正面切って受け止めきれない。腹も立つ。
そういえば、何度もこんな気持ちになって帰ることはあった。
その都度、病院の先生は専門家だから、何か意図があるんだと信じよう。どう感じて、どう受け止めて、どう行動するかはぴぃの問題なんだ。あとは薬を処方してもらうことだけを考えようと思ってきた。
でもどうしよう・・・このままこの先生でいいのかな・・・という思いが渦巻く。
ぴぃは、もう話したくないと言った後、驚く早さで気持ちを切り替えていた。
きっとぴぃも心のすみーーーーーーっこに隠したんだ。
パパに話してもきっと、「先生のいう通りだよ。」と言われそうだなと思いながらも、結局1人で抱えきれず話してみた。
パパ「まぁ、先生の言ってることはわかるけど、ぴぃが入院を望まなかったら意味ないからね。俺の中でも入院は一つの選択肢にあってもいいと思ってたよ。ただ、入院する時は強迫の症状が悪化した時と思ってたんだよね。」
私「そうなんだよね。私も入院に反対とかじゃないのよ・・・
ただなんかもう、せっかくぴぃが胸の内をちゃんと言葉にして伝えたのに、寄り添うでもなく頭ごなしに追い込んだのが、意味がわからなくて・・・
ここまで言う?って・・・
もう・・・先生代えたいなって思っちゃって。」
パパ「代えてもいいんじゃない??」
私「・・・え?パパこっち側の人??」
パパ「もうぴぃが無理でしょ?w」
パパがこちら側と分かって妙に安心した。
ぴぃには落ち着いてからもう一度話してみよう。
なんて思っていた年末。
年が明けて、初詣でひいたぴぃのおみくじは小吉だった。
そして、「病気」という欄には、
「医師を選べ」
と書いてあった。
思わずパパと目が合い笑ってしまう。
ぴぃ「医師を選べってどういう意味?」
私「ぴぃが選んで、決めるってことだよ。」
ぴぃ「なるほど…選びたいなぁw」
私「だよねw」
嫌だから代える。
この決断が果たしていい出会いを呼ぶかは分からない。
院内で別の先生に変更するとなると、なんか気まずいしな…
でも、違う病院となると、予約から初診までに時間がかかりすぎるし…
誰に相談するべきかも分からず未だ宙ぶらりん。
医師を選ぶって難しい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?