諦めの悪い母が娘の背中を押すこともある。
せっかく新幹線に乗って遠くの街までやってきたし、この街のアニメイトにも行くことを予定に立てておいた。
アニメイトでグッズを買うにも、推しが決まっているのに中身は閉ざされ運任せの品々が多数。
私「推しが分かれば必ず買う子がいるんだから、中身ぐらい見せてよねぇ・・・」
ぴぃ「中身が分からないからこれくらいの値段設定になってるんだよ。」
確かに・・・狙い撃ちで買えるグッズは少々割高。
中身が見えなくて割安の方が、まとめ買いしちゃうもんね。(そこまで安いとも感じないけど・・・。)
まったく、良くできたシステムだよ。
そして、それをちゃんと理解してるぴぃもさすがだよ。
それでもいいからと、ぴぃはこの街のアニメイトで推しキャラをGETして帰りたいという意欲満々でやってきた。
ともかく、せっかくここまで来たんだから、ぴぃの推しがGETできますように・・・
ぴぃは最近夢中になっているリズムゲームの中身の見えないグッズを3個選びお会計。
ドキドキしながら中身を見る。
奇跡的に箱推ししている4人組グループのうちの3人をGET。3/8の確率で引き当てた。
ただ、4人の中でぴぃが一番推している子だけがいなかった。
「でも箱推ししてる内の3人が出るなんてやばくない??ぴぃはひきが強いよね!」
と、推しキャラが欲しくて来たのに、これでよかたんだと一生懸命に自分に言い聞かせているぴぃが逞しかった。
いっぽう、納得のいっていない諦めの悪い私、ぴぃへ旅の思い出と推しキャラを!と思い、ぴぃに「いいよいいよ」と止めれらながらも3つ購入・・・するもぴぃが買ったものと2個被りと1個別キャラ。
謎にぴぃに慰められる。
ぴぃ「もういいんだって、1/8の確率ってそんな簡単じゃないから。」
私「でも少し期待したよね・・・なんか、余計なことしてごめん。」
ぴぃ「いいのいいの、箱推しの子3人GETしたし。」
と言いながらも、なんだか複雑そうなぴぃ。
やっぱ欲しかったよね、推しキャラ。
ぴぃ「・・・・・」
私「・・・・・」
なんだかなの時間が過ぎる。
ふとぴぃの顔がピッと引き締まる。
「やっぱりあと一個買ってダメなら諦める。」
と言って、売り場へ行き、選びに選び抜いた一個を持ってお会計。
そして推しキャラ、GET。
結局1人で4人GETした。
私なんていらなかった。
もしかしたら、最初の3人が出た時点で諦めていたかもしれない。
もしかしたら、私のダメおしがぴぃの背中を推したのかもしれない。
それにしても、ぴぃの最後の引きは神がかっていた。
ぴぃは、2度諦めかけたためか、喜びのあまり、目に涙をいっぱいためて言葉にならない表情をしていた。
そうとなったら思い起こすことはないぴぃ。
「歩き回りたい気分♪」と言って知らない街を弾むように歩き出した。
安堵で一気に疲れ、座りたい、お茶したい、と言う私の声は届かなかった。
結局それからずっとぴぃは、自分の引きの強さを称え続けた。
私「ぴぃの日頃の頑張りを見て、神様がご褒美をくれたのかな。」
ぴぃ「神様っているんだなって思ったよ。頑張ってきて良かったよ。
でも、ママが諦めなかったから、ぴぃも諦められなかったんだと思う。ママの分は無駄じゃないよ。それも込みで最後に引き当てたんだよ。」
おう・・・ぴぃよ。
君は本当に優しくていい子だね。
ママは気づいたよ。
自分のことは諦めが早いけど、ぴぃのことになると諦めが悪くなる。
それが時々災いにもなったけど、いい結果を生むこともあるのね。
お金はかかったけど、ぴぃの日頃の行いの良さだよって自覚になったのならママは言うことないっす。