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動物病院の院長と我が家の新しい歴史の始まり

1年ぶりに新しい家族を連れて動物病院へ。

先代のワンコがお世話になった院長に、診察と今後ともよろしくお願いしますのご挨拶も兼ねて。

先代ワンコはそこで15年お世話になった。

院長とは後半の6年ほどお世話になっただろうか。

前の院長がかなりお年を召していて、お話に夢中になりすぎて、診察を疎かにしてしまうので、当時、副院長だった今の院長に担当を変えてもらった。

いい意味でマイペースというか、どれだけ混んでいても、しっかり丁寧にゆっくりと診察してくれる安心感がある。

先代ワンコが何度か窮地に立った時も、「必ず助けます!」と力強い言葉で救ってくれたこともある。


1年前、先代ワンコは、入院中に天に召された。

術後の経過が悪く、院長が朝まで付き切りになってくれていたのだが、朝方ほんの数時間自宅に戻っている間に息を引き取ってしまった。

最後、手術をするか、入院したまま投薬治療するかという選択を迫られた時、手術を選択したのはこちらだ。

でも院長は、予期せぬ死ではあったけど、助けられなかったことに責任を感じ、私たちと一緒に泣いてくれた。

もう何度も院長には救われたから、その責任を負わせるのが申し訳なくて、失望ではなく感謝の気持ちしかないと伝えた。

先代ワンコの亡骸に向かって、ぴぃは何度も「ありがとう、ありがとう」と泣きながら言い続けた。

その姿が印象的だったのか、後日お世話になったお礼をパパと2人で持って行ったときに、「僕にも娘がいるのですが、どうしたらあんなに感受性豊かで素敵な娘さんが育つんですか?」と聞かれた。

その時すでに学校に行けていなかったぴぃの現状をお伝えした。

感じすぎてしまう部分もあるのかもしれない、そんなことも言った気がする。

すると院長は「僕もいっとき精神科にかかって薬を飲んでいました。」と教えてくれた。

お仕事柄、動物たちに気持ちを持ってかれすぎてしまうのだと。

それを聞いて私は、院長に希望の光を見た。

大丈夫、感じすぎることも、優しすぎることも、誰かのために活かせる紛れもなく素敵な長所なんだと。


新しい家族ができたら、絶対にまた院長にお世話になろうと決めていた。

院長は、連れてきた小さなワンコを見る前に、体を前に倒すようにして、

「本当に嬉しいです。本当に。お待ちしてました。」

と言って、私たちの来院を喜んでくれた。

なんだか私も感極まってしまい、2人で先代ワンコの話で盛り上がった。

改めて小さなワンコを見るなり、先代にそっくりだと言ってまた喜んでくれた。

「娘さん、お元気ですか?」と聞かれ、「学校には行けてませんけど、頑張ってます。」と伝えると、「この病院には、〇〇さんご家族とワンちゃんの思いがたくさん詰まってるんですよね・・・」としみじみしていた。

同情するでもなく、励ますでもなく、ただ現状に寄り添ってくれる院長。

またここで、新しい歴史をまた刻むんだな、と思うとワクワクした。

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