日本語学習者と最も効果的な漢字習得方法
語源学が大好き
10代の頃、英語を話す人が日常的に使う単語の多くがロマンス語、主にフランス語とスペイン語に由来していることがわかった時、とても興味を持ちました。それから、フランス語とスペイン語の単語のほとんどがラテン語またはギリシャ語に由来し、ラテン語とギリシャ語の単語がインド・ヨーロッパ祖語に由来していることを知った後、興味がさらに高まりました。表面上は似ていない言葉でも、その間に存在するつながりがある:大発見のような感じでした。
日本語を学び始めたとき、語源学を自分の学習コースに適用するつもりでした。しかし、すぐにこの考えを実践するのは不可能だとわかりました。その理由は2つあります。
日本語とインド・ヨーロッパ語族の大違い
まず、日本語の語源を解明することは、インド・ヨーロッパ祖語の語源を解明することとはまったく異なります。長年にわたる学術研究により、インド・ヨーロッパ祖語の基本語彙と、それらの用語がさまざまな子言語でどのように発展したかについて多くのことが明らかになっています。一方、日本語の起源は依然として不明なところが多くあります。
次に、日本語の語彙の多くは漢字の導入とともに日本語に入りました。漢語のことです。日本語学習者が漢語の語源を理解するのには、漢字を生み出した古代中国語の語源を学ばなければなりません。ところが、中国語は先史時代から使用されてきた言語のため、古代中国語の語源は非常に複雑です。現在でも、その起源と発展について研究を必要とする側面がたくさんあります。
自分の興味を満たすために研究を
とはいえ、自分の母国語である英語の単語が他の多くの関連言語とどのように関連しているのかを学んできたのと同じように、日本語の漢語の語義上のつながりについてもできるだけ多く知りたいと思いました。
研究成果の普及が不発
長年の研究成果をオンライン辞書やさまざまな電子メディア、印刷メディアを通じて共有してきました。多くの肯定的なフィードバックをいただいていますが、正直に言って、研究成果を広め始めたとき、普及活動が「多くの肯定的なフィードバック」よりも遥かに大きい反応を起こすのではないかと予想していました。
「いったい、何を期待していたの?」と聞かれたら、正直、答えは
「日本語学習者が漢字を学ぶ方法に革命が起こるであろう」、と。
その期待は大げさで、ないしは滑稽にも聞こえるでしょう。革命どころか、今もなおこの研究の内容を聞いたことがある日本語指導者はほぼいらっしゃらないのが事実なので、笑われても仕方がありません。
3 つの漢字習得方法
しかし、漢字を学ぶ方法には 3 つの選択肢があるという前提で考えてみましょう。
丸暗記法
・伝統的な暗記法。この方法では、類似した漢字の要素 (部首、つくり) や類似した漢語の発音を持つ漢字間の意味的つながりには焦点を当てません。その結果、漢字表記体系は数千の断片的で無関係なデータで構成されているという見方が生まれます。
記憶術法
・漢字の形とその意味を関連付けるための記憶術として物語を作る。その結果、脳に数千のおとぎ話が詰め込まれると同時に、第一方法と同じく実際の漢字表記体系は数千の断片的で無関係なデータで構成されているように見えます。
漢字性質把握法
・各漢字が特定の意味を持つ理由と、類似した漢字の要素 (部首、つくり) や類似した漢語の発音を持つ漢字間の意味的つながりの両方を説明する方法。その結果、漢字表記体系の論理的性質が理解されます。
3 つの選択肢の中で、漢字を面白く学習でき、その結果漢字表記体系を把握し、得られた漢字の知識をフル回転で活かすのには、漢字性質把握法が絶対に効果的だと自信があります。
現実は甘くないぞ
この自信は的外れ?違う気がします。研究結果の普及活動が単純に下手すぎる?それは、大いに有り得ることだと思います。
まあ、現実的に考えれば、漢字教育に革命を起こすのには、ハードルがかなり高いと言えるでしょう。漢字という商品で利益を得る出版社や団体にとっては、漢字をはるかに効率的かつ面白く学ぶ方法があるよと言われても、反応は「せっかくですが、結構でございます」となり、結果は現状維持に違いありません。
それでも、やはり日本語学習者、日本語指導者と他の教育者、保護者、非日本語ネイティブなど、様々な方々から漢字教育に関するコメントを頂けると嬉しく思います。よろしくお願いいたします。