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繰り返すこと

本を改めて作るプロセスの中で、反復することは新たなことに広げ、機会を与えてくれる。

オランダで追加コピーを制作したとき、採用した印刷方法に対して疑問を抱いた。日本では特定の場所で印刷することが意義深かった。違う国では、境遇が異なる。以前は収入があり、時間の縛りがあったが、今は学生としてお財布にやさしい行動を取らないといけない。印刷しながら反省したとき、穏やかな版画家が私の本を手にとってめくり、「一冊欲しい!」と粘り強く言ってくれて、「ここのリソーインクジェットプリンターで第二版を作ったら?」と直ちにコストを細かく計算してくれた。彼女の反応と熱意に心打たれたことで、第二版が生まれた。

オリジナル版では、製本家がプロセス全体を導いてくれた。別の国で改めて作るとき、本を形成される異なった方法を発見した。第二版の最初の数部、最終ステップである本を断裁するとき、プロの人がそばに立ってくれないと不安が付きまとった。この段階でミスをすれば、すべての努力が一瞬で消えてしまう。今は、最初から最後まで一人で判断でき、意識的にステップごとを決められるようになった。繰り返すことで、改善の反省が生まれ、シンプル化できる。

第二版が出来上がった際、経験豊かなブックデザイナーに「これは重くて硬い。紙はもう少し薄い方が良かった...」と私は満足できなかった顔をした。彼女は「あなたはとても几帳面(precise)だ。本のデザイナーだ!」と微笑んでいた。「几帳面」という単語に驚き、私が普段受け取られているものとかかけ離れた言葉である。もしかすると、自分が気づかないうちに、そうなった。

紙の束折り、穴開け、製本の長時間、いつもなぜ私はまたこれをやっているのか、次に進まないのかを自分を問いかけた。もし、これらの時間を全く進捗のないMax/MSPソフトウェアに注いたらどうなる?途方もない作業をすると、もう本を作らないと思ってしまう。しかし、相手が本を持った瞬間、その場で生な反応を感じられたとき、全てはやる価値があると辛さがぱっと消える。「継母への完璧なプレゼントだ!彼女は日本人で、音楽と音が大好きなの!」こうして、ブックフェアで、一冊目の本が売れた。作って良かったのだ。

直近、ブリュッセルを訪れたとき、本屋に二冊の本を持っていった。キュレーターのテーブルに歩いていく勇気をもてる前に、友達が「とにかく行って!」と静かに叫んだまで、隅でためらっていた。キュレーターの質問にこわばった声で答え、全てがあっという間に終わった。その後、その二冊はお店に出したやいなや、売れ切れたというメールが届いた。

続けることで、一つのことが次へつながった。日本でオリジナル版を作ったことをはじめ、オランダでブックフェアので展示、第二版の制作、そして本屋にへ持ち込みをした。この本は周りのリソースによって形成され、知識を深めるにつれて進化していく。もうすぐ、ヘルシンキに引っ越して、ブックフェアのために、現地のリソースで5冊を作る予定。次に、何が起こるのか分からない。

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