「あっ、なるほど」が持つ力(2)
「括ること」と腑に落ち感
前回の記事では、悩んでいたり、困ったことがあっても、
「あっ、なるほど、この悩みはこういう意味だったのか」とか
「今は大事な時なのでこういう出来事に出会うこともあるんだ」
のように、ある枠組みの中に、器に入れるような感じで括る(くくる)ことができると、問題自体は解決していなくても、なにかほっとするような安定感や安心感が生まれることがある、というようなことをお伝えしました。それは、単に頭で分かるのとは少し質が違う、「腑に落ち感」みたいなものといえます。
代替療法の良さと落とし穴
なぜカウンセリングでは当たり前とも言える「ある枠組みを支えに意味をみつけていく」ということに今さらこだわっているのかというと。。。
私は心理学専門出身ながら身体とか代替療法にも興味があってホメオパシーという、薬のように直接口に入れる「レメディー」というものを処方する療法の資格もとったり、と両方の世界の間をうろうろしています。
ホメオパシーのレメディーは目に見えない微細なエネルギーレベルに働きかけるものですが、その意味などわからず口に入れても、プラシボだけでは説明できない心身への効果が確かにあると思える。というのも赤ちゃんや物心がついていない子供がホメオパシーをとると、一瞬で落ち着いたり症状が消えたりするということなどがとても多いのです。非常事態や心身のトラウマからの回復を早めたり、そういうことにはもっと広まって使われていくとよいのになー、と思います。
ただ、自然のものだからよいだろうということで、西洋医学の薬をとるときと同じ態度で、症状を軽減するために気軽に頻繁にレメディーを口に放り込むという人も多いです。私もついそうしてしまうことがあるのですが。ちなみに我が恩師はそういう人のことをhomeopathy junkies(=ホメオパシー中毒患者たち)と呼んでいました(汗)。
心身のエネルギーを変えると言われるこうした物質や療法たちはパワフルで魅力的ではありますが、症状を緩和するだけのために摂ると、一時的に軽減されても、また同じ症状が繰り返される、ということがよくあります。身体症状であっても、心の症状であっても、症状は
「今、なにか大切なことが起きてるよ。注意を向けたほうがいいよ」
というサインのようなもの。たとえば、「だるさ」という症状は
「身体が休みを必要としているよ」とか
「頭で考えるだけでなく、自分の内側にも目をむけたほうがいいよ」
など、人によって色々な意味があったりします。
「意味がわかる」というところを飛ばして、だるさを消す薬やドリンク剤、または自然系の薬だけを摂って、同じやり方で仕事を続けたりすると、身体がもっと疲弊してしまうかもしれません。
真の治癒とは
薬類に反対しているわけではなく、そういったものの助けを得るにせよ、「症状の意味が腑に落ちて、自分のあり方や物事への取り組み方を変えていく」みたいなことと合わさったときに、真の治癒や自己変容が起きるように思います。
自分が主体となり、症状や困難を「経過」したことで、以前とは違う自分が生まれていく、みたいなイメージでしょうか。
逆にいうと、エネルギー療法のようなことをしなくても、普通の対話療法のカウンセリングの中で「あっ、なるほど」と腑に落ち体験があったときなど、実は同じような、もしくはよりパワフルな体ごとの治癒が起きていることも多いのでは、と思ったりします。そういうときには、面接中に、「来談者の方、もしくは部屋全体のエネルギーがシフトした」と体感で感じるカウンセラーの方も多いのではないでしょうか。
* * *
「ホメオパシーのように生体の微細なエネルギーに働きかけることと、心理療法でやるように意味が腑に落ちる、ということをセッションの中でどういうふうに組み合わせていくとよいのか」というのが私の目下の興味です。このことについては、面白い体験をしたのですが、長くなりましたので、次回に書こうと思います。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
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